【2017年度版】越境EC市場のまとめ!日本・中国・アメリカ

越境ECの市場規模は年々拡大しております。その要因となったのは、世界中にスマートフォンが普及したことにあります。スマートフォンにより人々は、いつでもオンラインに繋がることができ、ECサイトにより誰でも、いつでも買い物ができるようになりました。

世界中で自国にはない品質のよい商品を低価格でECサイトで購入する動きが活発となり、越境ECの市場規模は2016年には約44兆円(4000億USドルを1ドルあたり110円で計算)と巨大な市場になり、さらに2020年には109兆円を市場になると経済産業省の下記レポートに報告されています。

この記事で紹介するデータや図・表は全て、経済産業省の最新の調査結果より引用:平成 28 年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)

本日は越境ECの市場規模について、インターファクトリー(ebisumart)でWEBマーケティングを担当している筆者が経済産業省のレポートに基づき越境ECの市場規模について詳しく解説いたします。

2020年には世界の越境ECの市場規模109兆円に成長する!

まずは世界の越境ECの市場規模を紹介します。下記は2017年4月に経済産業省から発表された「平成 28 年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」の表に赤字で日本円換算を付け加えたものです。

中国とアメリカを中心に越境ECの世界の市場規模は2020年まで毎年、対前年20%以上で成長すると予測されております。この背景には、PCとスマートフォンが世界中で普及したことにより、海外の商品であっても誰でも、手軽に購入できるインターネット環境が整ってきたことや、中国人ユーザーの高い消費意欲が世界の越境EC市場を牽引していることが挙げられます。

それでは、日本、アメリカ、中国各国の越境EC市場規模を見てみましょう。

2016年度の日本・アメリカ・中国の越境EC市場規模

まずは、下記の経済産業省のレポートの図をご覧ください。

◆この図の読み方の日本の例
「日本国内から、越境ECで米国から2170億円、中国から226億円それぞれ購入した」

この図を見ると、日本・アメリカ・中国の三ヵ国間では、日本の商品は越境ECによって、中国・アメリカからの購入金額が多いのに対して、日本から、アメリカ・中国への購入が極端に低いことがわかります。日本は越境EC市場においては販売国でありながら、日本人は越境ECでの購入が三ヵ国の中で極端に少ないのが特徴です。

これは言語による問題や、海外で商品を購入することに抵抗があることが要因です。一方で中国やアメリカからの越境ECによる日本製品の購入額は高く、特に中国からの日本製品の購入額は1兆円を超えており、対前年比30%と急激に成長していることがわかります。

この図からも、日本のEC事業者に大きなチャンスがあることが一目瞭然です。では、越境ECでの需要の今後どのように推移していくのでしょうか?経済産業省のレポートには2020年までの予測がありましたので紹介いたします。

日本・アメリカ・中国の越境EC市場規模推移(2016年から2020年まで)

この表を見ると、日本からアメリカ・中国への越境ECでの購入額は2016~2020年まで、ほとんど成長することがなく、対2016年の成長率はわずか1.18%に終始しているのに対して、アメリカは1.72%、中国は1.84%と高い市場の成長率が予測されております。この結果をグラフにしたものが下記グラフです。

アメリカと中国は消費国として2020年まで毎年20%以上の成長率で推移していくと予想しています。しかし、経済産業省のレポートはあくまで予想であり、この予想は法規制や為替の変動に大きく影響をうけます。

例えば、最近では2016年4月8日に中国財政部が行った越境ECに関する税制度改革により新税収制度が発表されました。この制度は中国政府(税関)は、海外からの越境ECに対しての全てに課税をする目的に作られたものです。

ネットショップ担当者フォーラム:【詳報】中国で始まった越境ECの新税収制度。増税? 減税? 日本企業への影響は?

こういった中国政府の動きや為替の変動リスクは、越境ECで事業を行う際は常に留意しなくてはなりません。

中国人向けの越境ECの動向はインバウンド(訪日外国人旅行者)に関係している!

2016年に日本を訪れた旅行者は2400万人を超え、その内の約40%にあたる637万人は中国からの旅行者でした。そして中国人訪日旅行者が2014年あたりから、急激に増加していることがわかります。

そしてこの急激に増えている中国人旅行者が越境ECを使う理由が、インバウンドと密接な関係があることが調査によってわかりました。下記のグラフを青い四角の中をご覧ください。

日本を訪れた中国人の約35%が、自国に戻ってからも越境ECによってリピート購入を行います。さらにそれだけではなく、訪日経験者のSNSや口コミによって、商品の評判が中国国内で広がることも珍しくはありません。

◆中国人が越境ECで日本製品を購入するまでの一例

①中国人が日本を訪れ、日本の商品を購入
②中国に帰ってからも、越境ECを使って、中国国内から日本製品をリピート購入
③訪日経験のある中国人がSNSや口コミで評判を形成
④訪日経験のない中国人も越境ECを使って、日本製品の購入

このような流れで、日本製品のニーズが広がるのは日本経済にとって大変好ましい流れと言えます。インバウンドが増えることで、日本の越境ECの市場規模も拡大していくことが期待できます。

 

中国での主要なECサイト(ショッピングモール)は「天猫(Tmall)」と「京東(JD.com)」

下記は中国のEC市場のシェアを現したものです。これによると「天猫(Tmall)」と「京東(JD.com)」でシュアの8割近くを独占している状態です。

一般的に中国人は検索エンジンで商品を検索しません。よく使うショッピングモール(「天猫(Tmall)」と「京東(JD.com)」)で商品を検索するのが一般的です。

こういった背景から、中国では自社サイトは普及しておらず日本企業が独自に越境ECを作るよりも「天猫(Tmall)」と「京東(JD.com)」の日本製品専用モールに出店する方が、集客は圧倒的に有利になります。モール出店の場合においても、日本から直送する「直送モデル」と「保税区モデル」の二つがあります。

中国越境ECの2つのスキームの「直送モデル」と「保税区モデル」とは?

直送モデル(小規模越境ECの最適)の特徴

・注文があれば、日本から国際スピード郵便(EMS)を使って中国に発送
・小規模の越境ECに向いている
・税関に時間がかかり、商品到着まで10日かかるケースもある
・中国政府が規制する可能性も
・発送費用が高い

保税区モデル(人気商品はこのモデルが最適)の特徴

・中国政府が実験的にはじめた規制緩和の実験区(上海や広州等)
・コンテナ船で商品をまとめて日本から中国に安く輸送
・中国国内の倉庫で商品を保管。
・中国の倉庫から発送するため2日間程度で商品到着
・倉庫使用料や売れ残り商品の日本への返送送料がかかるため、売れ筋商品に最適
・問い合わせ先や返品先が中国だから、中国人ユーザーも安心

保税区モデルは、物流のコストが飛躍的に下がり、しかも中国国内からの発送となるため、商品の到着が早い。さらに中国の2大モールでこのモデルを活用すれば、集客も心配がありません。

しかし、実際には売れ筋商品には「保税区モデル」で、販売数の少ないロングテール商品は「直送モデル」と使い分けているEC事業者が多いようです。

中国とアメリカの主流のEC決済方法とは?

経済産業省のレポートには中国とアメリカの決済方法のデータがありましたので、紹介いたします。

中国の越境EC決済方法は支付宝(アリペイ)等の第三者決済が72%!

中国では不正が多いという理由から、クレジットカードはあまり普及しませんでした。その代わりに普及したのが、第三者決済の「アリペイ(支付宝)」です。この仕組みについては、以前書いた下記の記事をご覧ください。(このグラフを見ると最近は中国人のクレジットカードの与信枠を持つ方が増えてきた印象です)

アリペイの仕組みはこちら:中国人向けのEC決済システム

ですから、中国で越境ECでは決済方法に「アリペイ(支付宝)」が使える「天猫(Tmall)」や「京東(JD.com)」などのショッピングモールの方が、中国人ユーザーも安心して商品を購入することができるのです。

アメリカのECサイトの主流決済方法は「クレジットカード」と「デビットカード」

経済産業省のレポートには、越境ECでは限ったものではないですが、アメリカ人がECサイトで使う主要な決済手段のデータがありましたので、紹介します。

アメリカは「クレジットカード大国」と呼ばれるくらいですから、ECサイトでも主流です。デビットカードや第三者決済サービスのPaypalもメインの決済方法として使われています。

最近,中国の「アリペイ(支付宝)」や「Wechat Pay」が第三者決済サービスとして注目を浴びていますが、世界最大の第三者決済サービスはPaypalであり世界のイーコマース決済の10%のシェアを持っています。

 

中国人・アメリカ人が越境ECを使う理由とは?

それでは、中国人とアメリカ人が越境ECを使う理由のデータがありますので、まずは下記グラフをご覧ください。

◆中国人が越境ECを使う理由

◆アメリカ人が越境ECを使う理由

中国もアメリカも、低価格という理由は上位ですが、中国人が越境ECを使う理由と1番は「商品の品質が保証されているから(正規品)」というのは、偽物が多く出回る中国ならではの理由です。

日本企業が越境ECを成功させる秘訣は集客!

日本では、中国向けの越境ECを計画している会社が多くありますが、越境ECはカンタンではありません。

特に自社ECサイトで中国向けの越境ECを作る場合は中国人の集客が大変です。なぜなら中国人は検索エンジンで、商品を検索せず、モールで検索するのが一般的なので、日本の自社越境ECサイトと出会う機会がないのです。

ただし、インバウンド(訪日外国人観光客)で実店舗に多くの中国人が買い物に来日している事業者はチャンスがあります。中国人旅行者に越境ECサイトのリピート促進のチラシを配ったり、Eメールアドレスを収集できるので独自に集客が可能だからです。

いずれにせよ、中国人が日本製品に信頼を持っていてもブランド力やマーケーティング戦略がないと越境ECは成功することはありません。日本企業の越境ECの実現方法については、以前下記の記事にまとめたので、あわせてご覧ください。

中国向け越境EC構築のポイントと実現する3つの方式とは?

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