マルチドメインでSEOを最大化するために知っておきたい事


マルチドメインとは、複数のドメインを取得してドメイン毎にサイトを分けて運営することです。

例えば、あなたがアパレル会社のEC担当者で「Aブランド」「Bブランド」「Cブランド」の3つのアパレルブランドがある場合、

・1つのドメインで、A、B、Cブランドを管理・運営するのがシングルドメインであるのに対して
・3つのドメインで、Aサイト、Bサイト、Cサイトを管理・運営するのがマルチドメインです。

このように、ブランド毎にドメインを分ける事をマルチドメインと言います。

なぜ、ドメインを複数に分ける必要があるのでしょうか?それはブランド毎(サイト毎)にサイトデザインやマーケティング施策を変えることができるというメリットのためです。特にSEO施策において大きなメリットがあります。

しかし、下記のようなデメリットも存在します。

・複数のドメインの管理が面倒
・文言などの大きな更新の際、複数のドメインの更新が必要
・入力フォームやCMSなどドメイン単位で必要でシステムコストがかかる。
・ECサイトの場合も、ドメイン毎にコストが発生

しかしこれらのデメリットを最小限にする方法もあります。それは複数のドメインに対して共通のシステム(CMSやECシステム)で管理できるバックエンドシステムを導入するのがよいでしょう。

本日は株式会社インターファクトリー(ebisumart)でWEBマーケティングを行っている筆者が、マルチドメインについて詳しく解説いたします。

目次:

(1)マルチドメインとは?
(2)マルチドメインの最大のメリットは検索結果を独占する大胆なSEO施策!
(3)マルチドメインはリスティング広告も一つのキーワードに複数展開が可能
(4)マルチドメインでブランド毎にWEBのデザインの見せ方をかえる!
(5)マルチドメインのデメリットは管理・運用が面倒でコストがかかる!
(6)マルチドメインを検討するなら、マルチドメインに対応したシステムを検討する。
最後に

(1)マルチドメインとは?

マルチドメインとは、下記のように一つのドメインで管理・運営していたものを複数のドメインで、ブランド毎にに分けることです。

マルチドメインイメージ図

※サーバーが分かれていてもマルチドメインです。本日はサーバーが一つの想定でお話しいたします。

①マルチドメインでよく使われるサブドメインとは?

ドメインを分ける場合はサブドメインが使われることが多いです。サブドメインとはYahooの例で説明するのが一番わかりやすいでしょう。下記の例をご覧ください。

Yahooジャパン本体のURL  : http://www.yahoo.co.jp/
YahooオークションのURL    : http://auctions.yahoo.co.jp/
YahooトラベルのURL           : http://travel.yahoo.co.jp/

このように、”yahoo.co.jp”の前の部分をサブドメインといい、このように別サイト扱いにする事ができます。この作業はサーバー側の設定でサブドメインを作ることができます。

このように、マルチドメインにおいて、全くの別のドメインを取得するより同じサーバー内のサブドメインを利用することが多いのです。

またマルチドメインにおいてはSEOの”IP分散”の話を誤解している方が多いので説明いたします。IP分散とはいろんなIPアドレスからリンクをもらった方がSEOに良いという通説のことです。新たに設立する複数のドメインのIPが全て同じだったとしても、SEOには関係ありませんし、そもそも2016年現在、SEOにおいてIP分散の有効性は無いというのが定説ですので、IPアドレスを考慮する必要もありません。

 

②BtoCとBtoBをわけるマルチブランド

考え方は上記の図と同じですが、ブランド毎ではなく、BtoCとBtoBのドメインを分けるというマルチブランドの考え方もあります。通常WEBのアクセス数の少ないBtoBは、BtoCのディレクトリー配下にページを作成されている事が多いのですが、BtoBを独立させたドメインにする事で、独自にSEOやブランディングを行う事が可能です。

しかし、BtoCサイトからBtoBのドメインを独立させる際は以下の事に注意しましょう。

BtoCとBtoBの共通コンテンツ(共通ページ)

例えばZ製品というBtoCでもBtoBでも販売される製品があった場合、同じドメイン配下の時はどちらからZ製品ページへリンクさせてもスムーズでしたが、ドメインが別になるのでZ製品のページもBtoCとBtoB用の両方を用意する必要があります。もちろんドメインをまたいで、リンクさせる事もできますが、ユーザーがサイトを離脱してしまうので、良い方法ではありません。

単に片方からZ製品のページをコピーして、2つページを作ればいいというわけではありません。なぜならGoogle検索エンジンは同じコンテンツを嫌います。BtoB用とBtoC用それぞれに特化した独自の内容にする必要があります。どうしても同じページを複製する場合は、片方のページをGoogleのクローラーに読み込ませない下記のタグを設置しましょう。

<meta name=”robots” content=”noindex”>

そうすれば、片方のページしかGoogle検索エンジンは認識しませんので、SEO上の減点をなくす事ができます。

③ブログドメインを作るのもマルチドメイン

昨今話題のコンテンツマーケティングを行なう場合、ブログ用サブドメインを用意する場合がほとんどですが、公式サイトでは、訴求できない内容やSEOキーワードを狙うためにブログ用のドメインを取得して、別ドメインを立てるのも立派なマルチブランドです。以下の点を念頭に入れて置いた上で、ブログの立ち上げをマルチドメインか?同ドメインか?を検討しましょう。

ブログ用のサブドメインを作る方式のSEOの特徴

ブログURL例:blog.aaa.com (サブドメイン)

ブログをマルチドメインにした場合、本体サイトのドメインパワーは使えないので、SEOが強くなるのに時間がかかります。つまりゼロからサイトを作ると同じ事です。本体サイトからリンクを付けたとしても、すぐにブログドメインのSEOのパワーが強くなるわけではありません。

ただし、ブログにSEOのパワーがついた際は、Googleの検索結果画面に2つのドメイン(公式ドメインとブログドメイン)で検索結果を占有する事が可能になります。

同ドメインでのブログのSEOの特徴

ブログURL例:www.aaa.com/blog/ (同じドメインで、ブログ用のディレクトリーを作成)

ブログを公式サイト配下の同ドメインで行う場合、単にディレクトリーを作るだけですので、(例”/blog/”)、公式ドメインのSEOのパワーが使えて、最初からSEOが強いという特徴があります。

ただし、この手法には”マルチドメインのブログ”に比べてSEO上の弱点があります。Googleの検索結果は通常、1つの検索キーワードに対して、1つしかドメインしか表示しませんので、ブログと公式サイトが同ドメインの場合は、一つの検索結果しか表示できない点です。詳細は以下の章で解説いたします。

(2)マルチドメインの最大のメリットは検索結果を独占する大胆なSEO施策!

ではマルチドメインでどのようなSEO施策ができるのかを解説していきます。

①ターゲットキーワードに対して、1位2位を独占するSEO施策

一つの検索キーワードに対して、「公式サイトのドメイン」と「ブログドメイン」の二つのドメインを検索結果に表示することができます。

検索結果の1位と2位

上記の図のように、ドメインを分けることで、検索結果の面を独占する事が可能なのです。SEO上位にあげるには、検索したユーザーニーズを完全に満たす、質の高いコンテンツが必要です。

②自社ブランドを守るマルチブランドのSEO施策

マルチドメインの場合、例えばブランド名が同じ場合は、指名検索(ブランド名検索)の時に、下記のように検索結果を自社関連ドメインで抑えることが可能です。緑の他社の順位を下げる事ができます。

ブランド名検索

この場合、一番のメリットはSEOの2位と3位は自社関連で抑えているため、自社の関与していない評判サイトや口コミサイトの順位を下げることで、自社のブランディングを守ることができるのです。

この事自体で売上が上がったりするわけではありませんが、インターネットは常にユーザーから比較・検討にさらされています。企業のWEB担当者は自社のブランド名の検索においても、絶えず気を配る必要があるのです。

そうしなければ、知らない間に他社の評判サイトが自社のブランディングを傷つけることもあるからです。

③製品ブランド毎にSEOでビックワードを狙えるのがマルチブランドの醍醐味!

ここでもわかりやすい例はYahooです。下記をご覧ください。

”オークション”と検索

Yahooオークション

”メール”と検索
Yahooメール

 

”ショッピング”と検索

Yahooショッピング

 

この例はSEOが強力なYahooが例でしたが、各ブランド毎にユーザーニーズに合致したコンテンツを作る事ができれば、SEOも各ブランド毎に、最大化することは可能です。

マルチドメインにより、各製品のビックワードを押さえることが可能になります。

④リスク分散が可能:一つのドメインでペナルティを受けても、他のドメインは影響を受けない。

ブラックハットSEO(バックリンクを用意し意図的に張り付けるSEO施策)をしていなければ、ペナルティを受ける可能性は少ないですが、身に覚えがなくても、Googleからペナルティを受ける可能性はゼロではありません。

ですからマルチドメインで複数ドメインをもっておけば、あるドメインでGoogleからペナルティを受けたとしても、リスクを分散させる事ができるのです。

仮にGoogleからペナルティを受けてしまった場合は、相互リンクはマイナス評価になる可能性があるので、ペナルティサイトから、ペナルティを受けていないサイトへのリンクは外しましょう。

(3)マルチドメインはリスティング広告も一つのキーワードに複数展開が可能

リスティング広告(SEM)においてもマルチドメインはメリットがあります。当たり前ですが、1つのキーワードに対して1つの広告しか出稿できません。しかしドメインをマルチドメインにより分け、リスティング広告アカウントを、もう一つ作れば、1つのキーワードに対し複数の広告を出す事が可能です。

一番簡単な方法は、ランディングページをマルチドメインで作成し、本体サイトと同時にリスティング広告を行なう事です。

ただし、単価が高騰しますので、予算が十分にあり、CPAよりも獲得数を優先する場合に有効です。

(4)マルチドメインでブランド毎にWEBのデザインの見せ方をかえる!

例えばアパレルブランドがあった場合。大人向けのブランドと子供向のブランドが同じデザインでは、違和感を感じます。こういった場合もマルチドメインは有効で、ドメインを分ける事でサイトデザインから、サイトの基本カラーを変更して、ブランド毎に最適なデザインで訴求する事ができます。

 

ここまでが、マルチドメインによるメリットの紹介になりましたが、次にマルチドメインによるデメリットを解説いたします。

(5)マルチドメインのデメリットは管理・運用が面倒でコストがかかる!

①複数ドメインの管理・運用が大変

マルチドメインは複数のドメインをサーバーに設定するだけなので、たいした負荷はないと思われがちです。筆者はかつて大手英会話スクールで10以上のマルチドメイン施策を行っていた経験があり、ドメインの管理は大変でした。では何が大変だったのでしょうか?

・社内のセキュリティーチェックの際、全てのドメインをチェックする必要がある。
・サーバー移行の際、全てのドメインが移行対象。
・ドメインを増やすと、SSL証明書もその分必要になる。

ドメインが一つであれば、シンプルですが複数あると管理が大変です。

②ドメイン毎にシステムやツールが必要な場合は複数ドメインはコストかかる!

ドメイン代はたいしたコストではありません、しかしCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)や入力フォームなどシステムはドメイン毎にコストが発生します。またECサイトの場合は、システム連携などある場合は、ドメイン毎(ブランド毎)にシステム連携が必要になってきますので、コストがシングルドメインより大幅にかかります。

また導入しているツールによりますが、例えばGoogleAnalytics以外のWEB解析ツールを有料で入れていれば、ドメイン毎に料金がとられるツールもあります。マルチドメインを検討するときは、導入しているツールの契約も確認する必要があります

③会社の方針変更などの共通文言・コンテンツの変更

会社の方針により、共通の文言変更などは各ブランド毎に文言を変更せねばならず、ワークロードがかかります。

 

①から③のデメリットを紹介しましたが、マルチドメインはコストとワークロードが大幅にかかり、ドメインが多くなることで、管理が甘くなりセキュリティーリスクを抱えることになるのです。

では、マルチドメイン導入の際には、どのようにするのが最適なのでしょうか?最後にマーケティング施策を最大化し、管理も少なくするマルチドメインをご紹介いたします。

(6)マルチドメインを検討するなら、マルチドメインに対応したシステムを検討する。

CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)や、ECシステムが入っている場合は、マルチドメインのSEO上のメリットを享受し、かつワークロードがかかるデメリットを最小限にする事が重要です。

①複数ドメイン対応のCMSを導入

まずは、現在導入しているCMSが、複数ドメイン対応か確認します。現在は無料のCMSでも複数ドメインに対応しているものはあります。一つのCMSで複数のドメインを管理できれば、サイト管理が楽になります。

②ECサイトはマルチドメイン対応可能なECシステム導入で管理を大幅に簡単にする!

なぜ、ECシステムがマルチブランドに対応しているかが重要なのでしょうか?下記の図をご覧ください。

通常のマルチブランド

上記のように、ドメイン毎にECシステムで管理すると、EC担当者は二つの管理画面を使ってECを運営することになり、ワークロードが2倍かかることになります。しかし、下記図のようにマルチドメイン対応のECシステムを使えば、管理画面が一つで、マルチドメインに対応することができます。

マルチブランドのECシステム

画面はECシステム「ebisumart公式サイト」のマルチドメインより引用

顧客情報や受注情報、商品情報などを一つの管理画面で管理できるので、マルチドメインのデメリットを最大限減らすことができるのです。

③マルチドメイン対応可能なSSL証明書を使う。

通常ドメインやサブドメイン毎にSSL証明書が必要になりますが、各社からマルチドメインの設定が可能なSSL証明書がありますから、マルチドメインの際は、こちらを使ったほうがコストも運用面も楽になります。

最後に

いかがでしたでしょうか?マルチドメインはSEO上メリットが大きいということと、ワークロードやコストがデメリットになることをご理解いただけたと思います。マルチドメインを検討の際は、下記システムがマルチドメイン対応しているか?マルチドメインの場合、契約はどうなるのかを確認しましょう。

・CMS
・SSL証明書

・ECシステム(ECサイトの場合)
・WEBツール(効果測定ツール)

またマルチドメインの際は、当然下記の二つのツールの導入も忘れないようにしてください。

・WEBマスターツール(Google Search Console )
・Googleアナリティクス


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ABOUT US
井幡 貴司
forUSERS株式会社 代表取締役。 株式会社インターファクトリーのWEBマーケティングシニアアドバイザーとして、ebisumartやECマーケティングの支援、多数セミナーでの講演を行う。著作には「図解 EC担当者の基礎と実務がまるごとわかる本」などあり、執筆活動にも力を入れている。