ECに必要な「維持費(固定費+変動費)」を事前に把握する!


新たにネット販売事業を始める際は、ECサイト開設の初期費用だけでなく、

「ECサイトを運用するための維持費(固定費+変動費)は、どのくらいかかるのか?」

についても事前に把握しておく必要があります。

個人や小規模事業者がコストを抑えて運用したいという場合には、BASE(ベース)やSTORES(ストアーズ)などの初期費用が無料で始められるネットショップ専用のプラットフォームサービスで、決済手数料(およびサービス利用料)のみのプランを選ぶことで、月額の固定費なしで利用することができます。

法人契約の場合は、ECサイトの売上規模により月額の固定費が変わります

使用するECシステム(またはサービス)によっても異なりますが、小規模のECサイトであれば月々数千~数万円程度の固定費で利用できます。ただし、月商1,000万円を超えるような中・大規模のECサイトでは月々数十万円以上の固定費が発生します。

この記事では、インターファクトリーでマーケティングを担当している筆者が、ECサイトの維持費(固定費+変動費)について詳しく解説します。

また、記事の後半ではショッピングモール(楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピング)の利用料金についても解説します。

この記事を読む前に

この記事では、「ASP」「パッケージ」「クラウドEC」「フルスクラッチ」という代表的なECシステムについて解説していきます。

各用語について詳しく知りたいという方は、この記事を読み進める前に下記の関連記事をご覧ください。ECサイト初心者向けに、ECサイトの作り方を紹介しています。

関連記事:【全方式】ECサイトの作り方|個人から企業ECサイトまで

ECサイトの月商規模別の月々の維持費を確認する

下表は、ECサイトの月商規模別に発生する維持費(月額)の一覧です。

◆ECサイトの月商規模別の維持費(月額)の概要

出典:一般的なECサイト構築経験に基づき筆者が作成

(※1)サービス利用料(%)が設定されているシステムもあります
(※2)ECサイトの決済方法にはコンビニ決済、代引き、銀行振込などもありますが、本表ではクレジットカード決済の手数料を掲載しています

ECサイトの月商規模が大きい場合には、その分多くの注文を速く正確に処理する必要があります。つまりバックエンド業務が効率化されたシステムが必要となるため、維持費も高くなります。反対に、個人や小規模事業者の場合には、固定費なしのサービスプランを利用することで維持費を抑えられます

一方で、規模が大きい場合には決済手数料率が低くなる傾向が見られます。大量取引となる場合には、ボリュームディスカウントされた決済手数料率による個別契約を提供しているサービスが多いためです。

個人や小規模事業者は固定費なしのサービスプランから始めよう!

個人や小規模事業者の場合には、BASEやSTORES、カラーミーショップなどの固定費のかからないプランを提供しているECプラットフォームの利用をおすすめします。固定費なしのプランでは、ECサイトの月々の維持費は決済手数料(およびサービス利用料や振込手数料など)だけとなります。つまり、売れた分の手数料(および利用料)を計上することになります。

◆固定費なしのプランを提供しているECプラットフォームサービス(例)

BASE(ベース)
STORES(ストアーズ)
カラーミーショップ

※各サービスのプランごとに料金体系は異なるため、詳細は公式ホームページをご確認ください

ECサイトで決済手続きが完了すると、各サービスの手数料(および利用料)が引かれた金額が売上として入金されます。

各サービスの固定費なしのプランは、固定費がかかるプランよりも決済手数料が高めに設定されています。また、場合によっては一部の機能がオプション(別料金)となる場合もあります。

とはいえ、ECサイトのデザインや基本機能は遜色なく使用できるため、最初のうちは十分に満足できるはずです。特にECサイト運用に慣れていない場合には、最小限の機能を利用することで管理画面がシンプルになり、運用もしやすいでしょう。

小規模(月商1,000万円未満程度)のECサイトでは、ASPを検討しよう!

小規模ECサイトの場合は、固定費なしプランを提供しているサービスでは、登録可能な商品数を大幅に上回っていたり、購入件数が多くて決済手数料が膨らんでしまったりすることが考えられるため、ASPを採用するケースが多いです。

ASPにもさまざまなサービスがありますが、固定費は数千~数万円程度決済手数料率は固定費なしのサービスプランより少し低めに設定されている場合が多いです。

ASPでも、ECサイトのフロント機能はパッケージシステムとほとんど変わりませんが、1日あたりの注文件数が多い場合にはバックエンド業務を圧迫する場合があります。そのため、バックエンド業務の自動化や効率化、他システムとの連携の可否なども一緒に検討する必要があります。

簡易的なシステム連携やカスタマイズに対応したAPIを提供しているサービスもあるので、サービス選定の際には提供されている機能を十分に確認しましょう。

中・大規模(月商1,000万円以上)のECサイトでは高機能ECシステムを利用することが一般的

中・大規模のECサイトでは膨大な注文件数を1日で処理しなくてはいけないため、効率よく処理するために独自カスタマイズや他システムとの連携処理を実装する必要があります。そのため、次のECシステムが利用されます。

◆高機能ECシステム

・パッケージEC
・フルカスタマイズが可能なクラウドEC
・フルスクラッチ

いずれも、月額の維持費はさほど変わりませんが、フルスクラッチの場合は、初期費用の中でも特に開発費用が高額になります。

パッケージとフルスクラッチは、ECサイトを開設してから数年たつとセキュリティや機能面が陳腐化してしまうため、大規模なリニューアルが必要です。

フルカスタマイズが可能なクラウドECは、サービス事業者がシステムを管理・更新するのでシステムリニューアルの必要はありません。

当社のクラウドコマースプラットフォーム「ebisumart(エビスマート)」は、フルカスタマイズが可能なECプラットフォームです。中・大規模向けのECシステムをお探しの方はぜひ検討してみてください。

ebisumart(エビスマート)公式ホームページ

ECサイトの維持費には「オプション」「メルマガ配信機能」「ディスクスペース」などの利用料も別途必要

ECサイトの運用には、一般に下記の利用料金が別途必要となる場合があります、その場合は、あらかじめECサイト運用の維持費として計上しておきましょう。

◆ECサイトで必要な追加費用(月額)

①オプション料金
②メルマガ配信機能の利用料金
③ディスクスペースの追加容量の利用料金

それぞれ詳しく見ていきます。

①オプション料金

オプション料金は、ECシステムの基本機能にプラスして追加できる機能の利用料金です。料金形態は数千~数万円程度の月額料金が主流で、以下のような機能がオプションとして提供されているケースが多いです。

◆ECシステムのオプション機能(例)

・ラッピング・のし選択機能
・名入れ機能
・BtoB(卸)向け機能
・電話受付機能
・定期購入機能
・頒布会機能
・ショッピングモール連携機能
※サービスによっては基本機能に含まれている場合もあります

事前に自社のECサイトで使用したい機能を整理して、基本機能の中で実現できるのか、オプションが必要になるのかを見極めることが重要です。

オプション機能は途中で解約できますが、最低利用期間など契約期間の縛りの有無を契約前に確認するようにしましょう。

②メルマガ配信機能の利用料金

メルマガ配信機能もオプションの一つですが、EC事業でよく使用する主要機能なので、個別に掘り下げて解説します。

一般にメルマガ配信機能(またはサービス)の料金体系は、配信通数が○○通までは無料、超過分は1通あたり△円、というケースが多いです。

ECサイトでは「集客」が重要課題となります。過去に商品を買ってくれたユーザーに向けて、クーポンやポイントなどの特典訴求や新商品の紹介などのマーケティング施策を打つためにはメルマガは不可欠です。

ECシステムでは基本機能としてメール配信機能が含まれているケースが多いのですが、標準実装されている機能より専用の配信システムのほうが使いやすく、機能も優れています

そのため、ECシステムから顧客リストを抽出(エクスポート)して、外部のメルマガ配信サービスにインポートしてメルマガを配信している企業も多いです。

③ディスクスペースの追加容量の利用料金

ディスクスペースとはハードディスク容量のことです。ECサイトシステムの基本機能で提供されるディスク容量を超過しそうな場合には、ディスクスペースを増やす必要があります。ディスクスペースを増やした場合、追加容量によって月額利用料が発生します。サービスごとに異なりますが、数千~数万円程度を想定しておきましょう。

小規模のECサイトの場合には標準容量で間に合うことが多いですが、画像や映像を多く掲載する、コンテンツやソフトウェアなどのダウンロード商品など容量の大きいコンテンツを扱う場合には、あらかじめ基本機能のディスクスペースで余裕があるか、追加が必要な容量はどの程度かなどについても検討しておきましょう。

ショッピングモール(楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングなど)の利用料金について

ネット販売を行う場合、ショッピングモールへの出店も選択肢の一つとなります。
下表は、代表的なショッピングモールを利用した時の月々の維持費の概要です。

◆代表的なショッピングモール別の維持費(月額)の概要(※1)

出典:出店プランと費用(楽天市場)Amazon出品サービスの手数料料金・費用(Yahoo!ショッピング)
(※1)その他のコストは、各サービスの公式サイトをご確認ください
(※2)Amazonデバイス用アクセサリは45%

ショッピングモールに出店する場合、販売数ごとにシステム利用料(販売手数料)等が発生します。

また、Yahoo!ショッピングは、各種原資(アフィリエイターへの報酬、アフィリエイトプログラムやポイントプログラム、キャンペーンなどの費用負担)の割合を出店者が設定することができます。ストアポイント原資(下限は1%)を低く設定した場合には、露出が減り商品が売れにくくなります。逆に10%以上と高く設定した場合には、露出が増えて売れやすくなります。

システム利用料がかからないため、Yahoo!ショッピングの出店事業者数は楽天市場の21倍以上※と言われます。

※参考:比較検討されている方に 他社ショッピングサイトとの違いー店舗数は楽天市場の21倍以上!(楽天出店案内サイト)

Yahoo!ショッピングはコストを制御しやすい半面、ある程度ポイント原資を投入しなければ競合他社に負けてしまうため、計画性が求められるサービスとも言えます。

一方の楽天市場は、売るためのサポート機能が豊富なため、初めてECサイトを開設する方にも心強いサービスです。

ショッピングモールに出店する際は、売上をどのように上げていきたいかを検討し、必要な維持費を試算して自社の運用に適したサービスを選定しましょう。

まとめ

維持費についての検討はもちろん大切ですが、おおよその維持費が把握できた時点でECサイトを開設して経験値を上げながら改善していくことをおすすめします。

繰り返しとなりますが、ECサイトでは「集客」が重要課題となります。

Web広告、SEO対策、SNSなど、集客のための施策は数多くあるため、自社に有効な施策を見極めるためにも、実践と評価を繰り返して経験値を上げていきましょう。

下記の関連記事では、ECサイト運用を始めたばかりの方向けにアクセス数を増やすための施策を紹介していますのでぜひご覧ください。

ECサイトのアクセス数を増やすため担当者が「すぐ」できる事


ABOUT US
井幡 貴司
forUSERS株式会社 代表取締役。 株式会社インターファクトリーのWEBマーケティングシニアアドバイザーとして、ebisumartやECマーケティングの支援、多数セミナーでの講演を行う。著作には「図解 EC担当者の基礎と実務がまるごとわかる本」などあり、執筆活動にも力を入れている。