広告主がアフィリエイト施策で集客を最大化するための解説


ECサイトや事業者などのWEBマーケティングを展開している企業はあらゆる広告を使って集客努力をしていることでしょう。代表的な集客手法はSEOやリスティング広告、メールマガジン施策、そしてアフィリエイト施策です。

個人のアフィリエイターで月収が数百万円という話を聞く一方で、ECサイトや広告主がアフィリエイト施策で大成功したという話はあまり聞きません。アフィリエイトはCPAが最も安い費用対効果の高い広告である一方、広告主の手間が非常にかかる施策なので成果が出る前にアフィリエイトからの撤退、あるいは規模縮小をする事業者がほとんどです。

アフィリエイトはうまく行えば、リスティングに匹敵する集客施策になります。では、なぜほとんどのECサイトや広告主がアフィリエイトで集客を成功させることができないでしょうか?それは本気でアフィリエイト運用をしていないことが原因です。つまり月間予算も20万円未満で、手間をかけずにASP(アフィリエイト仲介会社)まかせになっていることです。これでは絶対に成功しません。

本日は、ECサイトや広告主がアフィリエイト施策を最大化させるポイントをインターファクトリーでWEBマーケティングを担当している筆者が具体的に解説してまいります。

WEBマーケティング全体の中でアフィリエイトの方針や予算を決めるプロセス

ECサイトや広告主はリスティング広告を広告予算の柱に置いているでしょう。ですから、WEB広告費の使い方としては間違っていません。もっとも獲得の見込める広告はリスティング広告だからです。

もし、まだリスティングをやっていない、あるいはリスティング予算を効率の限界まで使っていないのでしたら、アフィリエイトよりもリスティング施策に注力してください。

なぜならリスティング広告は、全WEB広告手法の中でCV数をもっとも安定して獲得できる広告だからです。ただ、このリスティング広告施策には弱点があります。

リスティング広告施策の弱点

リスティング広告施策の弱点は、CPAの限界による効率の減少です。どの業種であってもある一定のCPAにたどり着くと、それ以上予算をかけても、獲得ができなくなるラインというのが存在します。わかりやすい例で紹介します。下記の表をご覧ください。

例えばリスティングの月間リスティング予算が100万円でCPAが1万円の会社の場合、広告予算を2倍にしても、獲得件数はせいぜい1.2倍~1.3倍程度です。下記はあくまで例ですが、過去3社でWEBマーケティングをやってきた経験から間違いありません。

◆リスティング広告予算を2倍にした例

通常の月間予算 予算を2倍に!
リスティング予算 100万円 200万円
CPA 1万円 1万5000円
CV数 100件 130件

つまりリスティング広告施策の弱点とは、効率の天井があることです。

一番獲得効率が高く、CV数を稼げる広告ではありますが、予算を倍にしても成果は倍にならないのです。なぜなら競合他社も同じくリスティング広告に予算を使っており、かつリスティング広告枠は獲得できるキーワードも決まっているため、獲得CV件数には天井があるのです。

もし、ここでリスティング施策を広告代理店にまかせているなら、予算をディスプレイ広告に使うように勧められますが、思うように成果はでません。なぜならディスプレイ広告はリマーケティング施策以外は、CV数を稼げる施策ではないためです。

リスティング広告で獲得CV数が増えないのは、「自社と競合でCV可能な検索結果の広告枠ほぼ全てに出稿している」ため、これ以上獲得できる広告枠が存在しないのです。

しかし広告枠になくとも、自然検索、つまりSEOに関してはまだまだ、余地があるでしょう。ただSEOはリスティング広告と違い、お金を払って上位になる施策ではありません。

ペンギンアップデートで多くのSEO業者は廃業に

2011年以降、Googleはリンク施策による不正なSEO対策をしている会社にペナルティを課す、「ペンギンアップデート」を開始しました。当初は手動によるペンギンアップデートでしたが、2016年10月にペンギンアップデートがGoogleのアルゴリズムに完全に組み込まれたため、今や被リンクにより順位をあげることは不可能になりました。

このペンギンアップデートにより、企業がSEOで上位をとる施策は2つに絞られます。

①コンテンツマーケティングにより、SEO検索結果を独占する
②アフィリエイト施策を最大化する(現代のSEOに対応したアフィリエイターに限る)

①は以前、当ブログでもとりあげましたが、中・長期施策で、成功させるには多大な労力がかかりますが、集客を一気に増やすことが可能です。(コンテンツマーケティングについはこちらの記事をご覧ください → ECサイトの商品ページに流入を増やすSEO施策

そして、もう一つが②のアフィリエイト施策を最大化することで、SEO上位をアフィリエイターに獲得してもらうのです。※アフィリエイターの中には、SEO施策以外に注力する人もいますが、凄腕アフィリエイターのほとんどがSEO施策です。

話を戻しますが、リスティング広告予算が効率の限界にたどり着いた時に、残りの予算をリスティング広告やディスプレイ広告に使うのではなく、アフィリエイト広告に予算を使うのです。

間違ったアフィリエイト広告予算の決め方

間違いとはアフィリエイト広告予算を決める時に小さい予算からはじめることです。戦略としては下記のような意見です。

マーケーティング担当「まずは小さい予算からはじめて、うまく行ったら、徐々に予算を大きくしよう。」

この方法は、テストマーケティングをしてから、獲得効率が見込めそうなら、さらに予算をつぎ込むという方法で、一見正しそうですが、まったく成功しないアフィリエイトの予算の使い方です。

なぜならアフィリエイト広告は、広告代理店が行うのではなく、アフィリエイターがSEO施策を行います。つまりアフィリエイト施策の成功の可否は、アフィリエイターのがんばり次第なのです。凄腕アフィリエイターは月間数百万円を稼いでいますから、小さい予算の広告主には興味がありません。

ですから、凄腕アフィリエイターを囲うためにも、アフィリエイト予算のために最低でも50万円以上は予算を確保しましょう。

※50万円の予算を取得しても、50万円を消化できるようになるには、早くても半年はかかります。予算の確保しておくという観点の意味です。

後ほど解説しますが、アフィリエイターに本気になってもらうためには、高報酬を設定する必要があります。ですからアフィリエイトに使う予算も多くとる必要があるのです。アフィリエイト施策で成果を出している企業は月間数百万円~数千万円の予算を使っています。

アフィリエイト会社(ASP)を選ぶポイント

おそらく多くの広告主は、大手のASPと付き合っていると思います。大手のASPのメリットは広告主にとっては、当然多くのアフィリエイト会員を囲っていることです。ですから大手ASPの営業を受けると、アフィリエイト会員の数や所有しているネットワークの広さをアピールされるでしょうが、それらは成果とはあまり関係がありません。

なぜならアフィリエイトの成功の可否は、多くのアフィリエイト会員を囲うことではなく、一部の凄腕のアフィリエイターに自社の広告を貼ってもらうことです。多くのアフィリエイター会員を囲っても、CV数はほとんど増えません。

私もアフィリエイト施策を数々実施しましたが、私の会社のアフィリエイト広告を1000人以上のアフィリエイターが参加していましたが、CV数は上位3名のアフィリエイターで90%以上を占めていました。つまり、アフィリエイターの会員数はあまり関係ないのです。

また大手アフィリエイトASPの弱点は、担当者がつかないことや担当がいても熱心なフォローは見込めません。大手には多くのクライアントがいて、限られた営業担当は、売上の多い広告主に優先的にフォローしますから、メリットはないのです。

ですから、アフィリエイト広告を行うASPは、小中規模のASP会社がおススメです。

◆小中規模アフィリエイトASPがおすすめな理由

①広告主が少ない分、フォローが大手より手厚い
②広告主とアフィリエイターとの距離が近くなる
③大手のASPはシステム使用料など固定費として5万円程度毎月とられる

例えば、レントラックスというASPは、あまり聞いたことがないかもしれませんが、アフィリエイターを一般公募しておらず、クローズドの会員制度です。会員には月収100万円を超える凄腕アフィリエイターが数多く所属しています。固定費もかかりません。また定期的にセミナーを行っており、広告主も自社の製品の広告を貼ってもらうようにプレゼンテーションを行うことができます。

アフィリエイターの報酬設定の決め方

まず、間違った報酬設定の決め方から解説します。

×間違った報酬の決め方「ライバル企業との関係のみから報酬単価を決める」

例えば、これからアフィリエイト広告を開始するときに、すでに先行して参入している競合各社の報酬単価を参考にするはずです。

◆競合各社のアフィリエイト報酬単価の例

A社の報酬単価 2,500円
B社の報酬単価 2,000円
C社の報酬単価 3,000円

※参考情報:リスティングのCPAは1万円程度

このような場合、あなたはいくらに設定するでしょうか。2500円?それともがんばって3,500円?残念ですが両方とも間違いです。その理由はアフィリエイター報酬は、競合環境からのみ決めるものではなく、下記の3つの要素から報酬金額を決めるのです。

◆正しいアフィリエイト報酬の決め方

①自社のリスティング広告のCPA
②アフィリエイト全体の中での高い報酬単価
③競合の報酬単価(判断基準①と②より優先度は低い)

この3つを踏まえると筆者なら6000円からはじめます。スゴ腕のアフィリエイターは”もうかる広告”にしか興味がありません。ですから、競合他社A社やB社より数百円高いことに意味はありません。なぜならアフィリエイターは一件5000円を超える高単価の商材を扱いたがりますから、A社、B社どころか、その業界すべてに興味を持っていません。

つまりアフィリエイトの正しい報酬設定とは、凄腕のアフィリエイターを本気にさせる報酬単価を設定することです。もし実績のありアフィリエイターと個別に取り組める場合は、通称”特単”とよばれる特別単価を設定します。アフィリエイターは特別単価には強く心を動かされるからです。また儲かっているアフィリエイターは、ほぼ全員が特別単価を受け取っています。

では、報酬設定まで解説したが、つぎにアフィリエイト施策を最大化するポイントを解説します。

広告主がアフィリエイト広告を最大化する取り組みポイント

ポイント① 毎日承認作業を行う

ほとんどの広告主は月末に1回しか承認作業をおこないません。しかし、これを営業日の毎日行うことで、アフィリエイターのやる気がかわってきます。

アフィリエイターの心理としては未確定報酬では安心できません。そして承認作業は早いと、確定報酬が早く決まりますから、アフィリエイターも毎日ASPの管理画面をみて、やる気を出ます。またこれを行う広告主はあまりいないので、アフィリエイターからみると「この広告主はやる気があるな」と差別化をはかれます。

ポイント② Yahooの不正リスティングを確認する

どんなASPでも、残念ですが不正が消えることはありません。アフィリエイターの中には、一定数の不正行為を働く人がいるからです。よくある手法がYahooのリスティング広告による「貴社名でのリスティング広告」です。これが意外に広告主やASPが気付かないのです。なぜなら皆さまは今、この記事をどうやって検索しましたか?Googleですよね?

WEB担当者の99%はYahooではなく、Googleを使っておりYahooで検索を行う習慣がありません。不正アフィリエイターは、その点をついて、さもあなたの会社のようにYahoo広告をだして、CVを稼ぐのです。なぜなら気づかれることはないからです。ですから、アフィリエイト広告を開始したら、毎日Yahooで自社名で検索して、不正アフィリエイターがいないか確認し、みつけたら、即刻ASPに通報しましょう。

ポイント③ セミナーや懇親会に出席して、アフィリエイターと直接コンタクトをする

ASPまかせにせず、アフィリエイターと直接コミュニケーションをとりましょう。相手も人間ですから広告主が直接話かけると喜びます。また彼らと交流することで、アフィリエイターの観点が学べまし、直に交流することで、他の凄腕アフィリエイターがあなたの広告に参加してくれる可能性があります。

こういった取り組みも大手のASPよりも、小中規模のASPが頻繁に行っていますので、セミナーや懇親会に出席しましょう。

アフィリエイトが効果がでるまでは半年から1年

アフィリエイトは、短期的なWEBマーケティング施策ではありません。効果がでるまでに半年から1年はかかる中・長期的な施策です。最初に大きな予算を用意しても、初月は数万円しか消化しないでしょう。ですから広告主は「アフィリエイトは効果がない」と撤退する企業がほとんどです。

しかし、アフィリエイトをうまくいっいる企業は、月間CVを5000件以上とっている企業もあるのです。そこに行きつくまでには、Googleの検索順位があがるまでに、今は時間がかかります。なぜならGoogleはサイトの信用性を重視しており、良いコンテンツであっても急激に順位があがることはありません。

本日はアフィリエイト広告で最大化するためのポイントを解説いたしました。どこの会社もCV数を増やすために、リスティング広告を中心に、成果を拡大しています。

競合他社を先駆けて、対前年度を上回る施策を仕込むにはコンテンツマーケティングにしろ、アフィリエイトにしろ本気で向き合うのがキーになってきます。なぜなら予算を払って代理店まかせのマーケティングでは成果にも限界があるからです。

このブログを読んでECサイトのアフィリエイト施策の参考にしていただければ幸いです。とくにECサイトは、承認率が高く報酬設定額を高くすれば、アフィリエイターをWinWinの関係を築けますよ!


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ABOUT US
井幡 貴司
forUSERS株式会社 代表取締役。 株式会社インターファクトリーのWEBマーケティングシニアアドバイザーとして、ebisumartやECマーケティングの支援、多数セミナーでの講演を行う。著作には「図解 EC担当者の基礎と実務がまるごとわかる本」などあり、執筆活動にも力を入れている。