徹底比較!大手4社の「無料プランあり」の予約管理システム


美容室や塾、宿泊施設などの予約受付業務を効率化するために「予約管理システム」を使ってみたいと考えている方、利用している検索・予約サイトの手数料負担が大きいと感じている方は必見です。

一般に新たなシステム導入には予算と労力がかかる場合が多く、ためらってしまいがちですが、個人や小規模事業者の方も無料で気軽に導入できる「予約管理システム」も増えています。近年は機能の高度化が進んでおり、「Square予約(スクエア予約)」のように固定費が無料のサービスプランでも有料ツールに劣らない機能を備えているものも少なくありません。

この記事では、大手4社が提供している予約管理システムの無料プランの機能を紹介しつつ、株式会社インターファクトリーでWebマーケティングを担当している筆者が考える、予約管理システムの10の主要機能を解説しますので、特に、予約管理が必要な美容院やネイルサロン、宿泊施設などを経営する方は参考にしてみてください。

無料で使える!大手4社の「予約管理システム」の比較

以下は、予約管理システムにおける10の主要機能について、大手4社の予約管理システム(無料プラン)の提供状況をまとめた比較表です。

◆予約管理システムの主要機能の提供状況(対象:各サービスの無料プラン)

出典:Square 予約STORES 予約RESERVAAirリザーブ(2022年9月現在)のWebサイトの情報を基に筆者作成

予約管理システムの10の主要機能について、それぞれ詳しく解説します。

主要機能①予約ページ作成

予約に必要な情報を入力してもらうための顧客接点となる入力画面を作成する機能です。自社のサービス予約に必要な項目が網羅できるように作成しましょう。

予約受付機能は自社の予約管理システムではなく、「食べログ」や「ホットペッパー」など口コミやランキング機能を持つ検索・予約サイトを利用している事業者の方は多いと思います。

美容室を経営している筆者の知人は、このような口コミの予約サイトに月額約8万円を支払っているそうです。出費が大きいと感じているものの、ホットペッパービューティーの予約受付機能を利用しており、新たにWebサイトを開設したり、別の予約管理システムを導入する時間を取れないため解約に踏み切れないと話してくれました。同じような状況の事業者は多いのではないでしょうか。

このようなケースにおいては、予約管理システムを導入して予約ページのURLを顧客にブックマークしてもらうなどを検討して、予約管理システムの利用を普及させていくことなどを検討しましょう。

◆Square 予約の予約ページ

スクエア予約の予約ページ

画像引用:Square 予約公式ページより、筆者が独自に作成

このようにスクエア予約などを利用すれば、口コミの予約サイトから、自分で作成した予約ページに顧客の移行を進めることで、今まで口コミの予約サイトに支払っていた分の支払い分を店舗の利益にすることができます。

ただし、検索・予約サイト経由で集客している場合、各サービスが発行しているポイント目当ての顧客も少なくないため、予約サイトの解約と同時に顧客が減ってしまう可能性があります。そのため、解約を検討する場合は自社の予約管理システムを利用するメリットを、顧客に合わせて訴求してみましょう。

主要機能②Instagram連携

手軽に運用することができて、サービスの魅力を伝えやすいSNSといえばInstagramではないでしょうか。InstagramはLINE、Twitterに次いで10代、20代の若者層から50代までの幅広い層で利用されています(下図参照)。

◆年代別SNS利用率(2021年1月)

出典:NTTドコモ モバイル社会研究所【SNS】LINE利用率8割超え:10~30代は9割が利用」(2021年5月20日掲載)より筆者が一部加工

Instagramは強力な集客ツールです。公式アカウントのフォロワーが増えたら、投稿から予約にスムーズに誘導したいですよね。

Instagram連携機能を利用すると、Instagramに「予約ボタン」を設置できるようになります(下図の赤い四角で囲った部分)。

instagram予約ボタンの画像

画像引用:Metaニュースリリース「Instagram、アクションボタンを美容サロン予約にも拡大」(2021年11月10日発表)

例えば美容室であれば、ヘアースタイル提案やセット方法などの投稿から予約ページに直接誘導することができます。このInstagram連携機能は、無料プランでは「Square 予約」が対応しており、Instagramの予約ボタンを押すと、そのまま予約ページにユーザーを移動させることできます。

参考:Instagram・Facebook経由でSquare 予約の予約を受け付ける

Instagramの標準機能ではホーム画面にURLを1つしか設定できませんが、Square 予約のInstagram連携機能では投稿記事から予約ページに直接リンクを設定できるので、興味を持ったユーザーにアクセスしてもらいやすくなります。

このようなInstagram連携を利用したい場合は、まずは、下記の「Square 予約」からアカウント作成を行いましょう

昨今、若い女性たちはハッシュタグ検索や、Instagramリールのおススメ表示によって、新しいサロンを見つける人も増えてきており、Instagram連携機能はサロン経営には有力な機能となるのでないでしょうか?

しかし、Instagramからの予約にはデメリットもあります。筆者の知人経営者の話ですが、Instagram経由で予約した顧客は気軽に申し込むためなのか、ノーショー率も高いという話を聞きました。

Instagram連携を実施する場合は、合わせてノーショー対策も実施するのがおススメです。

主要機能③キャンセル料金徴収

※この記事では、無料プランの機能をメインに紹介しておりますが、キャンセル料金徴収機能は、ノーショー対策に非常に有効なので、主要機能の一つとしてあわせて紹介します。

事前決済を行わない美容室やサロンであれば、無連絡キャンセル、つまりノーショーは絶対に避けたいところです。特に事前決済ができない場合はノーショー対策を立てなくてはなりません。

しかし、Square予約であればキャンセル料金を徴収する機能(有料プラン)があります。クレジットカード情報を事前にSquare予約に登録してあるので、そのカード番号に対してキャンセル料金の徴収をする仕組みになっているのです。

先ほども解説した、Instagramを使った集客を実施する場合や広告を使う場合などは、予約率だけではなく、ノーショー率も高くなるケースがあるので、そのような場合は、キャンセル料金徴収機能や、次に解説する事前決済などをあわせて実施すると良いでしょう。

主要機能④事前決済

2018年のデータではありますが、経済産業省が公開している報告書(7ページ参照)によると、飲食店におけるノーショー(無断キャンセル)率は平均0.6~0.8%とあります。業態や立地によってはノーショー率が1%を超える店舗もあるでしょう。

飲食業界は薄利多売型のビジネスモデルが多いため、コロナ禍の自粛要請のように不可抗力要因の営業制限下などには、1件の無断キャンセルが大打撃となります。

出典:経済産業省平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(サービス産業の高付加価値化に向けた外部環境整備・規制改革に関する基礎的調査)報告書」(株式会社野村総合研究所による2018年3月報告)

ノーショーを防ぐ方法の1つに「事前決済」があります。予約時に入金してもらうことで顧客の安易なキャンセルを防止でき、当日来店がなかった場合にも料金は回収できているため経済的損失はありません。

大手4社の予約管理システムでは、Square 予約、STORES予約、RESERVAの3社が事前決済機能を提供しています。

現金決済の場合と比較した場合の事前決済のデメリットは決済手数料が発生する点です。手数料の分だけ利益が減ることになります。

そのため事前決済を導入する際には、決済手数料の料率が低いシステム(またはプラン)を検討すべきでしょう。決済あたりの手数料率の差は小さくても、年間で積算するとそこそこの差額が生まれます。

他にもノーショーを防ぐための取り組みとしては、予約のリマインド通知などで顧客とのコミュニケーション機会を増やすという方法があります(主要機能⑧で解説します)。事前決済と併用することで、より高い効果が期待できるでしょう。

また、無料プランで提供されておりませんが、キャンセル料を徴収できる機能などもノーショー対策として挙げられます。

主要機能⑤月謝などの定期課金

子ども向けの塾やスクール事業の月謝制サービスの例で考えてみましょう。

毎月親が集金袋に入れて子どもに持たせた現金を教室で回収する、という従来の集金方法では、家庭(顧客側)は毎月の集金日を覚えておき、現金を用意しておく必要があります。また、一時的に子どもが高額の現金を持つことになるため、紛失や盗難などのリスクにも注意を払わなければなりません。

教室(事業者側)でも回収した現金の管理が必要なため、顧客と事業者の両者にとって負担とリスクが大きい方法です。

現金の取り扱いを避けるには振り込みや引き落としなどの方法もありますが、家庭側で手続きが必要となり、手数料も発生します。また、事業者側の請求業務で毎月発生する消し込み作業もかなりの手間です。

予約管理システムの決済機能を利用すると、他のサブスクリプションサービスと同じように月謝の支払いに定期課金サービスを提供できるようになります。

ただし、事業者側は新たに決済手数料の負担が生じるため、導入する場合には決済あたりの手数料を考慮したサービス料金やコスト設計の見直しが必要です。

また、解約手続きについても注意する必要があります。事前に毎月の解約期限を定めて解約する場合の通知期限を顧客に明示し、余計な返金対応業務が発生しづらいオペレーションを確立しておきましょう。

主要機能⑥定期予約受付

美容室やエステなどで安定した売上を維持するには、顧客に定期予約を入れてもらうためのリピーター施策が不可欠です。また顧客にとっても都度の予約手続きは手間なので、あらかじめ日程や回数を指定できる定期コースを選べるのは好都合です。

定期予約サービスを導入するためには、「都度予約」と「定期予約」の両方に対応した予約管理システムが必要になります。また定期予約機能では、「顧客が自分で定期予約の内容を変更できる」ことが重要です。

例えば、以下のようなケースで考えてみましょう。

(例)「火曜日の15時~」の定期予約を利用している顧客が、「来週だけ木曜日の15時~に変更したい」というケース

電話受付の場合、事業者側にとっては他の業務中の割り込み対応となるため顧客側も気を使いますし、電話がつながりにくかったり、応対が慌ただしかったりした場合には顧客はストレスを感じます。

もし、Webサイトやアプリで自由に予定変更ができれば、顧客は好きなタイミングで予定を変更することができ、事業者も定期業務フローとして対応できるようになります。無料のアプリにおいてはSquare 予約のみが、この機能に対応しております。

もちろん、緊急時の連絡などもあるため電話受付をなくすことは難しいと思いますので、電話受付時には事業者も管理者アカウントで顧客の定期予約内容を変更することができるシステムを選ぶようにしましょう。

主要機能⑦Webサイト連携

Webサイト連携機能は、既存のホームページに予約管理システムのリンクを簡単に設置できる機能です。

予約管理システムから発行される予約ページのURLを指定して、ホームページにリンクを設定するだけで、顧客はホームページから予約ページにアクセスできます。

自社のホームページの以下に予約ページへのリンクを設置することで、顧客の目に留まり、予約システムを利用してもらいやすくなるでしょう。

◆ホームページで予約ページへのリンクを設置する場所

・トップページ
・ヘッダーまたはハンバーガーメニュー
・フッター

予約ボタンの位置参考

ホームページの運用を外部委託している場合には、リンク設定の追加を依頼する必要があります。ホームページにすぐにリンクを追加できない場合や、そもそもホームページを開設していない場合には、リピーター顧客に向けてメールやSNSで予約ページのURLを案内したり、店舗にQRコードを掲示したりして、予約管理システムを利用してもらえるよう誘導しましょう。

主要機能⑧リマインドメール自動配信

顧客の「うっかり忘れ」を防ぐためには、予約管理システムのリマインドメール自動配信機能が役立ちます。顧客の意図しないノーショーを回避しやすくなり、顧客も安心して予約を入れやすくなるなど、店舗の売上に影響する重要なサービス機能です。

最近ではコミュニケーションツールとして、メールとともにSNSも使われるようになりました。そのため、SNSリマインド通知機能を提供している予約管理システムもあります。自社の顧客の傾向に合わせて検討しましょう。

また、リマインド通知は大切な顧客接点の機会です。できれば、事務的なお知らせだけでなく、ウエルカム感の演出やメニュー提案などで、顧客のわくわく感を高めるコンテンツを用意して、楽しみながら読んでもらえるように工夫するとよいでしょう。

リマインドメールを送信するタイミングはいくつか考えられますが、リマインドが多くなりすぎるとしつこい印象となり見てもらえなくなるので、1~2回程度の有効なタイミングを検討して設定しましょう。

◆リマインド通知の送信タイミング(例)

・当日
・前日
・3日前
・1週間前

送信時間の最適なタイミングは顧客によっても異なりますが、受け取る情報がまだ少ない午前中のほうが目に留めてもらいやすいかもしれません。

大手4社の予約管理システムもリマインドメール自動配信機能に対応していますが、ほとんどが有料プランです。無料プランで対応しているのは、Square 予約のみとなります。

主要機能⑨管理者向けスマートフォンアプリ

予約管理システムの管理機能の操作は基本的にパソコンで行うことが多いと思いますが、画面サイズに合わせて表示を最適化する仕組みを備えていたり、スマートフォンに対応したアプリが提供されていたりする場合もあります。スマートフォンやタブレットで利用できる管理機能は、着座している時間がほとんどない飲食店や美容室等では特に重宝します

どの業界も要員不足は大きな課題で、1人当たりの業務負荷の高い現場で運用するシステムには高い簡便性が求められます。スマートフォンは多くの人が使い慣れており、画面上で直観的に操作できるので、より多くのスタッフが予約管理システムを操作できるようになります。また、ポケットに入れて持ち運べるスマートフォンであれば、固定の作業場所が不要になり、手が空いた時にさっと片手で操作することができ、効率的に運用することができます。

また、予約管理アプリを導入する前に、iPhoneやAndroidのそれぞれのバージョンに対応していることを確認してみてください。「Square 予約アプリ」は両方に対応しており、スマートフォンだけでなくタブレットにもインストールが可能です。

主要機能⑩顧客情報の登録・管理

顧客カルテなどで管理している記録も予約管理システムで一元管理できると便利です。

例えば、美容室やサロンなどでは顧客の基本情報に加え、来店時の会話や提供したサービスなどの情報を、メモ帳や紙のカルテ、あるいは他の顧客管理システムに記録している場合が多いです。

紙やパソコンで入力する場合は机が必要となるため、どうしても休憩時間や営業時間後に対応せざるを得ませんが、主要機能⑧で述べたように、顧客情報もスマートフォンに対応した予約管理システムで一元管理できれば、スタッフはそれぞれ手が空いた時にスマートフォンを取り出し、さっと情報を入力できるようになります。日中の作業負荷を上げることなく残業時間の削減にもつながるでしょう。何より、スタッフの休憩時間をきちんと確保できるようにすることが大切です。

予約管理システムのまとめ

大手4社のサービスで提供されている機能を参考に、予約管理システムの10の主要機能を紹介しました。無料プランと有料プランで使える機能が異なりますので、予算と自社にとって必要な機能に応じて、利用する予約管理システムを選定しましょう。

そして、本日紹介した予約管理システムに必要な10の機能は、全てSquare 予約で無料利用することが可能です。特にInstagram連携や、リマインドメールなどの機能を無料で提供しているのはSquare 予約のみですので、無料のアプリを検討する場合は、非常に有力な選択肢となると思います。

まずは、特に費用もかかりませんので、Square 予約でアカウント作成をしてみてはいかがでしょうか?


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ABOUT US
井幡 貴司
forUSERS株式会社 代表取締役。 株式会社インターファクトリーのWEBマーケティングシニアアドバイザーとして、ebisumartやECマーケティングの支援、多数セミナーでの講演を行う。著作には「図解 EC担当者の基礎と実務がまるごとわかる本」などあり、執筆活動にも力を入れている。