ネットショップを始める際に必要な「BASE」や「STORES」などといったサービスは基本的に無料で利用できます。そのため、個人でも手軽にネットショップを開業できるようになりました。
ただ、ネットショップの開業を検討している方の中には、以下のような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?
「副業でネットショップを開業したいが、何から始めたら良いのか?」
「趣味で製作したハンドメイド商品を売るなら、どのサービスを選べば良いのか?」
また、サービス自体は無料であっても、開業準備や運営にはそれなりの手間がかかるもの。下調べや、最低限の知識も必要となります。
本日は、ネットショップを始める際に知っておきたい基礎知識と、個人向けのサービスの概要について解説します。
ネットショップの開業に必要な3ステップ
まず、ネットショップの開業に必要な3つのことについて解説していきます。
①ネットショップの構築サービスに登録する
ネットショップを始める際には、無料ASPやメルカリShopsなどのネットショップ作成サービスを利用するのがおすすめです。一部のサービスにおいては機能が制限される場合がありますが、何といっても無料から利用を始めることができ、手間も少なく、セキュリティ面でも安心です。このサービスを利用してネットショップのデザインを構築し、商品を登録したのち、運営開始となります。
②必要な許可や届け出を確認する
ネットショップで扱う商品のカテゴリによっては、安全な売買のために特定の資格を持っていることや届け出が必要となる場合があります。たとえば、ワインやビールといったアルコール飲料を販売するなら「通信販売酒類小売業免許」、中古品なら「古物商許可」などが該当します。
また、食品を扱う場合は、食品衛生法や景品表示法などの規制対象となるため注意が必要です。飲食店として営業許可を取得済みの店舗であっても、ネットショップを開設する場合は追加の営業許可が必要となるので、必ず所轄の保健所に問い合わせて確認しましょう。
③ネットショップ開業後の運営を考える
個人でネットショップを開業した後は、商品の撮影や商品登録、ページの制作、仕入れ、発送など、あらゆる業務を一人で担当するため、業務負担が大きくなってしまうことも。ショップの人気が出れば出るほど、負担はさらに増してしまいます。特に商品を発送するまでのスピードは、ネットショップの評価にダイレクトに反映されるので、必要に応じて運営を外部委託することも検討しておくと安心です。
個人で始めるネットショップにはどのようなものがある?
個人で始めるネットショップには、どのようなタイプがあるのでしょうか。ここでは主な2つのタイプについて解説します。
①副業、趣味
副業を認める企業の増加に伴い、副業としてネットショップを始める人や、自分の趣味の延長で商品を販売したいという人が増加しています。ネットショップの開業のハードルは下がっているので、まずは無料ASPなどを活用して、副業や趣味としてネットショップを始めてみるのがおすすめです。
なお、ネットショップの運営によって得た利益は雑所得に該当するため、利益(年間の売上から経費を差し引いた額)が20万円以上となる場合、確定申告が必要です。
②個人事業主、フリーランス
個人事業主とは、法人を設立せず、個人で事業を運営する人を指します。ここで言う「個人」は一人という意味ではなく「法人」と対になる言葉であり、手続きを行えば従業員を雇用することも可能です。所轄の税務署に開業届を提出することで、個人事業主として事業を立ち上げることができます。
フリーランスについては、法令上の用語ではないため明確な定義はないものの、基本的には特定の企業との雇用関係がなく独立して仕事を請け負う人を指します。個人事業主と似ていますが、厚生労働省発表の資料においては「実店舗がなく、雇人もいない」ことをフリーランスの条件として定義づけています。また、開業届を提出しないケースもあります。
ネットショップの運営の経験がない場合、いきなり個人事業主やフリーランスとしてネットショップを開業するにはリスクが潜んでいます。事前に入念なリサーチを行いましょう。
個人でも気軽に使えるおすすめの無料サービス7選
個人でも気軽に利用できる無料サービスをいくつか紹介します。
①BASE
BASEは、ショップの開設数が200万を超えている、初心者向けの定番ともいえる無料ASPサービスです。アプリでサービスを提供しており、ブランドの世界観や欲しい機能に合わせてデザインテンプレートやパーツをカスタマイズできるほか、スマートフォンにも対応。さらに、マーケティング機能や各種SNSとの連携も可能で、さまざまな販売方法や決済方法にも対応しています。別途手続きや審査が必要ですが、Instagram販売も可能です。
参考:BASE
②STORES
STORESは、BASEと並ぶ無料ASPサービスです。ギフト設定や再入荷通知など、ネットショップの運営に必要な多くの機能を無料で提供しており、商品登録数も無制限で利用できます。Instagram販売との連携も簡単にできるうえ、英語対応や海外発送にも対応しているので、海外のユーザーもターゲットにしたショップを展開したい場合におすすめです。
参考:STORES
③カラーミーショップ
カラーミーショップは、現在は従量課金制の有料プランがメインですが、初期費用と月額費用が無料のフリープランも用意されています。有料・無料ともにデザイン性の高いテンプレートが豊富に用意されているため、アパレルや美容、食品などを扱う場合におすすめです。
参考:カラーミーショップ
④メルカリShops
メルカリShopsは、フリマアプリ「メルカリ」のアプリ内にネットショップを開設できる、月額無料のサービスです。スマートフォンで出品や受発注管理ができますが、「メルカリ」と異なり、匿名での販売はできません。また、値下げ交渉も発生しないため、ハンドメイド商品を販売する人が増えています。
販売手数料が10%と他のサービスよりも高めではありますが、利用者数の多い「メルカリ」のアプリ内での出店であるため、集客力に優れています。
参考:メルカリShops
⑤Shopify
Shopifyは、カナダで創業され、現在は世界175か国、170万以上の店舗で利用されている世界最大のECショップサービスです。無料でも利用できますが、事業規模や成長に合わせた有償プランの選択が可能となっています。さらに、拡張性に優れている点が特長で、デザインのカスタマイズがしやすく、アプリの組み合わせによってさまざまな機能を追加できることもメリットです。
多くの言語をサポートし、海外通貨や海外発送にも対応しているため、グローバルな展開を検討している場合におすすめです。
参考:Shopify
⑥minne
minneは、国内最大級のハンドメイドマーケットです。個人のハンドメイド作家が自らのショップページを作成し、手作りのアクセサリーや雑貨、衣類などの作品を出品しています。登録料や月額は無料で利用できますが、販売手数料は、作品価格+購入オプション価格+送料の10.56%(税込)が発生します。
特に女性ユーザーをターゲットとしたハンドメイド作品を販売したい場合におすすめです。
参考:minne
⑦Creema
Creemaは、minneと並ぶハンドメイドマーケットです。出品者にプロやセミプロの作家が多いのが特長。登録料や利用料は無料ですが、成約手数料として商品金額の11%、食品の場合は決済総額の一律15.4%(いずれも税込)が発生します。
また、審査が別途必要ですが、台湾や香港サイトでも販売ができるほか、追加の費用無料で海外購入代行サービスを利用できます。
参考:Creema
自分のネットショップや商品の魅力を伝える2つの方法
ネットショップを開業する場合、多くの方に自分のショップや商品の魅力を伝えることも大切です。ここでは伝える際のポイントを解説します。
ポイント①ネットショップのコンセプトや世界観を決める
自分のネットショップがより多くの方に選ばれ、かつ親しんでもらえるよう、コンセプトや世界観をしっかり作り上げることが重要です。たとえば、「ある特定のモチーフのみを扱うアパレルショップ」のように、訴求したい内容を明確にしておくと、それがそのままショップのコンセプトとなりますし、顧客に選ばれる理由にもなります。
ポイント②集客を工夫する
個人で運営するネットショップの懸念点として、集客が難しいことが挙げられます。似たようなコンセプトのショップも多数あることから、ショップの存在が埋もれてしまうことも。
解決する方法としては、SEO対策や広告、SNS、ブログ発信などさまざまですが、なかでもおすすめしたいのはSNSです。特にInstagramは、画像や動画で商品の魅力を伝えやすいため、ネットショップと親和性が高く、集客につながりやすくなります。また、Instagramと連携できる無料ASPサービスも多いため、ぜひ活用してみましょう。
まとめ
近年、さまざまな特色を持つ無料のネットショップのサービスが増えています。商品によっては、必要な許可や届出が必要ですが、たとえ販売経験がない個人の方でもネットショップを開業しやすくなっています。なかでも、定番の「BASE」や、集客力に優れた「メルカリShops」、ハンドメイド商品を軸とした「minne」はおすすめです。
ネットショップは、運営していく過程で、より多くの方に親しまれるショップへと育てていくという側面もあります。最初から完璧なショップを目指すのではなく、まずは無料のサービスから気軽にスタートしてみてはいかがでしょうか。