EC担当者が仕掛ける!ファンを増やすリピート施策5選


ECサイトの売上を上げるために非常に重要な要素として「リピート率」があります。

ECサイトに訪れるユーザーを増やすためには、広告費用や労力がかかりますが、リピーターが繰り返し購入してくれるようになれば、安定して売上を上げられるだけではなく、広告費用が抑えられるため利益も大きくなります。

リピート施策にはメルマガやDMなどの施策がありますが、特に

・SNSへの誘導
・手書きのメッセージの同梱

といった方法は、自社や自社商品のファンを増やせるため、良いリピート施策と言えます。なぜなら、SNSを通じて自社の商品カテゴリーに興味を持っているユーザーにアプローチしたり、手書きのメッセージでユーザーに親しみを持ってもらったりしやすいからです。

本日は、インターファクトリーでWEBマーケティングを担当している筆者が、ファンを増やすための5つのリピート施策について解説いたします。

ファンを増やすためのリピート施策5選

施策①会員登録を促す

昨今のECサイトではCVRを高めるためのテクニックとして会員登録をせずに購入できる「ゲスト購入」も設定するのが一般的です。なぜなら、個人情報の登録には時間がかかり、多くのユーザーは会員登録を手間に感じるからです。

「Amazon」「楽天市場」「ZOZOTOWN」などの有名ショッピングモールであれば、次回の購入がしやすいように会員登録しておくユーザーもいるかもしれません。しかし他のECサイトに初めて訪れた場合、有名ショッピングモールと比べると最初の購入からリピートしたいと考えるユーザーは少ないため、手間をかけて会員登録するとは考えにくいからです。

また、会員登録後に届くメルマガを避けたいという心理も、ユーザーが個人情報の登録を避ける理由のうちの一つでしょう。

しかし、会員登録をしてもらうことはリピーターを増やすための第一歩です。会員登録した日から使えるポイントやクーポンを付与したり、会員登録後は送料無料にしたりして、会員登録のメリットを訴求したほうが良いでしょう。下記は楽天市場のカート画面のキャプチャーです。

◆楽天市場のカート画面

楽天市場のカート画面

画像引用:楽天市場

上記のように、楽天会員に登録することのメリットを訴求しております。楽天市場のような有名ショッピングモールではなく、通常のECサイトでは、このようなメリットの訴求をしないと会員登録をしてもらいにくいでしょう。

カート画面だけではなく、下記のように新規ユーザーに会員登録のメリットを訴求し続けることで、会員数を増やすことができます。

画像引用:マガシーク

このように会員登録を強く促すことは、一部のユーザーから敬遠されることもあるかもしれませんが、会員数が少ないうちは特に積極的に訴求を行い、会員数を増やしていった方が良いでしょう。

施策②メルマガ(ステップメール、One to One メール、バースデーメール)を送る

近年はスマートフォンが普及し、Gmailなどのフリーメールが一般化してきたと筆者は思います。フリーメールのメーラーにはセールス目的のメールの自動振り分け機能があるため、メルマガ配信は以前よりも効果が高いとは言い難くなっています。

また、LINEなどのコミュニケーションツールをメールの代わりに利用する人も多いため、メールを使う頻度は減ってきていると考えられます。

しかし、それでも今なお、メルマガはユーザーとの数少ない接点を生むためのポイントの一つです。

ステップメール

ステップメールを利用する際は、追加購入を促すメールを、商品購入後に定期的にユーザーに対して送ることがおすすめです。商品購入後の定期的なメールを送ることで、ユーザーが初回購入したECサイトで、再度購入したいと思う機会が増えるからです。

まずは初回購入したユーザーに、関連商品に関するメールを送ることをおすすめします。

また、一回目の訴求に反応しなかったユーザーには、二回目以降のステップメールで他の顧客のレビューや商品の活用方法を送り、そしてユーザーが自社製品に対して良いイメージを持った頃合いにクーポンを送るなど、メールの内容を変えて繰り返し購買意欲を刺激します。

One to One メール

会員登録してくれたユーザーに対して、メルマガに「差し込み機能」を利用するのがOne to One メールです。例えばメールタイトルに会員情報や購入履歴を利用し、「○○様、この度は○○のお買い上げありがとうございます。」と送るものです。ユーザーに「自分だけに送られたメールだ!」と思ってもらうことで開封率を高める方法として有効です。

ただ、ユーザーが自分の名前に反応して開封したとしても、内容がパーソナライズされていなければ、「なんだ、ただのメルマガか」と思われてしまい、メルマガの登録解除の原因となってしまうだけです。

そのため、ユーザーの購入した商品と同じカテゴリーの商品を訴求するなど、ユーザーにパーソナライズされた内容にしなくては、なかなかリピート購入につながりません。メールの送信を自動化するには、ユーザーを購入履歴などからセグメントし、各セグメントに適した商品を紹介する内容のメルマガを用意することが必要です。

バースデーメール

会員登録の際、生年月日や誕生月の情報を取得することで、バースデーメールを送ることができます。筆者が以前在籍していた会社でメルマガ施策をしたときの経験ですが、普段全くメルマガの開封を行わないユーザーもバースデーメールだけは開封する可能性が高い傾向があります。また、筆者自身もメルマガをあまり開封する方ではないのですが、バースデーメールが届くと特典が気になって開くときがあります。

ですから、開封率の高いバースデーメールという方法を使わない手はありません。バースデーメールのタイトルは、差し込み機能を使って「○○様 誕生日おめでとうございます!」などのようにすれば、さらに開封率を上げることができるでしょう。あわせて特別のクーポンや特典を送り、リピート購入を促すこともおすすめです。

施策③SNSに誘導し、フォローしてもらう

メルマガは有効なリピート施策です。しかしスマートフォンの普及によりLINEなどのメッセンジャーアプリケーションの利用者が増えたことで、メール自体が日常的にユーザーの使用頻度が高いコミュニケーションツールとは言えなくなってきております。そのため、ユーザーと接点を広く持つには、SNSの利用が有効です。

ユーザーが、あなたのECサイトで商品を購入したということは、その商品カテゴリーに興味を持っている可能性が高いです。ですから、商品発送の際は、QRコードを印刷した紙などを同梱し、QRコードのリンク先をECサイトではなく、自社のSNSに設定して、フォローを促しましょう。

「宣伝の投稿が多いSNSアカウント」では、せっかくSNSアカウントをのぞきに来てくれたユーザーもフォローしてくれません。SNSをフォローしてもらうためには、「ユーザーの役に立つ情報を発信し続けるアカウント」にした方が良いでしょう。

◆アパレルのECサイトの場合
・おすすめのコーディネートを写真や動画で紹介
・トレンド商品の紹介

◆食品のECサイトの場合
・カンタン料理を動画で紹介
・健康の豆知識を紹介

このように、ユーザーの役に立つ内容であれば、フォロワーを増やすことができ、フォロワーを増やすことができれば、メルマガを送らなくとも、ユーザーが積極的にSNSを通じて、自社の情報を見てくれるようになります。

SNSアカウントを運用して最初のうちは、商品に関係のない雑談をするなど、中の人をアピールするような投稿は止めておいた方が良いでしょう。なぜなら、毎回面白い投稿を考えるのは非常に大変ですし、何より、「バズ」が生まれたとしても、商品と関係ない投稿であれば売上につながらないからです。

施策④商品に手書きのメッセージを同梱する

ECサイトの規模が小さいうちは、労力を惜しまずリピーター獲得に向けての施策を打つことをおすすめします。デジタルな時代だからこそ、商品に手書きのメッセージが同梱されていれば、ユーザーは購入先のECサイトに親しみを覚えてくれるでしょう。

筆者も昔、楽天市場で「エア・ジョーダン」を数回購入したことがありますが、とある楽天市場内のショップで複数回商品を購入すると、

「以前ご購入いただいた、エア・ジョーダン3はその後いかがでしょうか?」

というメッセージが入っており、非常に親しみを覚えました。その後も楽天市場内では、このショップで靴を買うようになった経緯があります。

筆者の知り合いにも、副業で月商10万円以下の小規模ECサイトを経営している方がいるのですが、手書きのメッセージを同梱することで、確実にリピーターが増えているという感想を聞いたことがあります。

もちろん、一日に数百件も注文が入るようになれば、このような手書きのメッセージのオペレーションは不可能ですが、そうでなければ、すぐにでも試してみた方が良いでしょう。

施策⑤ECサイトのUI(ユーザーインターフェース)を徹底的に改善する

優れたUIのECサイトがあれば、それだけでリピート施策となります。
例えば、Amazonで商品を購入した場合、過去に届けた先の住所が登録されており、商品のお届け先をカンタンに切り替えることができます。筆者はよくAmazonで商品を購入しますが、お届け先に会社を指定することもあれば、自宅を指定することもあるので非常に良いUIだと思います。

また、Google Developers Blogで紹介された事例では、決済画面でGooglePayボタンを設置し、Googleアカウントに保存しているユーザーのカード情報下4桁が表示されると、下記のような効果があったそうです。

カード情報の下4桁を決済画面で表示した場合
・30%多くのユーザーが表示されたカード情報を使用
・コンバージョンが3.6%アップ

出典:Updated Google Pay button increases click-through ratesGoogle Developers Blog

カード情報を表示したことで、カード情報の入力が手間でECサイトから離脱することを防ぎ、CVRの向上につながったと考えられます。このように、ユーザーにとって使いやすいECサイトに改善しつづけることで、利用しやすいECサイトにはリピーターが自然と増えていきます。しかし、これらのECサイトのデザイン改修は、カスタマイズ可能なECシステムでなければ難しいでしょう。

もし、ASPなど複雑なデザイン改修のカスタマイズが難しいECシステムを利用している場合は、Amazon PayなどのID決済を導入して、UIを向上させることもできます。Amazon Payであれば、顧客情報を取得することができるので、その情報を元にリピート施策を実行することも可能です。

関連記事:2つのID決済「AmazonPay・楽天ペイ」導入前に押さえるべきポイントとは?

まずは、利用しているECシステムがAmazon Payに対応しているかどうか、確認してみましょう。

まとめ:真のリピート施策とは、良い商品・サービスをつくること

本日は、多くのEC事業者が実行できるリピート施策を紹介しました。少なくとも手書きのメッセージの同梱やSNSへの誘導などは、ECシステムに頼らずともできる施策ですので、まずは試してみてください。

そして、真のリピート施策とは、やはり良い商品、良いサービスをつくることだと筆者は考えます。例えば筆者は最近「リライブシャツ」という、着るだけで筋力が向上するシャツを購入しました。

そのシャツは、風変わりな商品に思われますが、着る前と比べて本当に筋力が向上していると個人的に感じています。鉱石の練りこまれたテープが縫い付けてあり、それにより筋肉が刺激されることで、筋力向上につながる仕組みなのです。

筆者は、このシャツやパンツを妻の分も含め、続けて4枚購入しました。もちろん、その会社はリピート施策など一切おこなっておりません。

このように、人の役に立つサービスや、突出した商品をつくることこそ、真のリピート施策と言えるでしょう。


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ABOUT US
井幡 貴司
forUSERS株式会社 代表取締役。 株式会社インターファクトリーのWEBマーケティングシニアアドバイザーとして、ebisumartやECマーケティングの支援、多数セミナーでの講演を行う。著作には「図解 EC担当者の基礎と実務がまるごとわかる本」などあり、執筆活動にも力を入れている。