【2021年版】国内EC市場のEC化率|BtoCとBtoBをプロが徹底解説


経済産業省が2021年7月に2020年の日本のEC市場、インターネット・スマートフォンの利用動向などに関する市場調査を発表しました。本日は、経済産業省の調査結果をもとに、EC化率について記事にしました。2020年は新型コロナウイルスの影響により、EC業界にとって歴史的な年になったことは疑いようがありません。

当記事においてデータや図は指定がない場合、経済産業省の最新の調査結果より引用:「令和2年度 産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」経済産業省

まず、EC化率とは何でしょうか?
経済産業省のデータから2020年のBtoC物販系分野の食品産業(食品・飲料・酒類)を例に説明します。

■食品産業を例にとったEC化率

2兆2,086億円(EC取引総額) /  66兆7,250億円(全商取引総額)= 3.31%(EC化率)

食品産業のネットとリアル(実店舗)を含めた全商取引は、66兆7,250億円。そのうちECサイトなどの電子取引されているものが、2兆2,086億円です。これらの数値を上記の式に当てはめると、食品産業のEC化率は3.31%と言えます。

さらに、全産業(物販系)におけるEC化率は8.08%であることから、食品産業は、物販系の他業界に比べてEC化が進んでいないことが分かります。

EC化率は、その産業でどのくらいECサイトが使われているかという指標です。これから起業する、もしくは新規事業の担当者は、EC化率を念頭に置いてビジネスプランを立てることで、将来性や競争環境の概要を把握することができるのです。

EC化率が高ければ、オンラインを基軸とした戦略になりますし、一方でEC化率が低ければ競合他社の参入が少なく、チャンスかもしれません(業界によってはEC化のハードルが高く、参入が困難な場合もあります)。

本日は、このEC化率について、最新の経済産業省のデータをもとにインターファクトリーでWEBマーケティングを担当している筆者が解説いたします。

BtoBのEC化率は記事最下部で紹介しております。すぐに見たい方はこちらをクリックして、ページ下に移動してください。

日本国内のBtoCのEC化率は8.08%(物販系)

◆BtoCのEC市場規模(物販系)とEC化率の推移(単位:億円)

経済産業省の調査結果には、世界のBtoC-EC化率は18.0%と推計されており、日本の8.08%と比べると、日本でのECの普及は遅れているのが現状です。しかし、日本国内のBtoC市場におけるEC市場規模は毎年右肩上がりで伸び続けており、コロナ禍の2020年はかつてないほどの伸長率になりました。

しかし、「①物販系」「②サービス系」「③デジタル系」3分野合計のBtoC市場における日本国内のEC市場規模は19兆2,779億円で対前年比約0.4%減というほぼ横ばいの結果になりました。

BtoCのEC市場規模(物販系・サービス系・デジタル系)の推移(単位:億円)

物販系分野が急激に伸びているにもかかわらず、3分野合計のEC市場規模が横ばいなのは、2020年は新型コロナウイルスの影響により、特に飲食サービス、旅行サービス、チケット販売などのサービス系分野が急激に落ち込んだためです。

それではECに限定せず、日本のGDP全体に及ぼした、新型コロナウイルスの影響を見てみましょう。

実質GDPの増減率

出典:統計表(四半期別GDP速報)内閣府)2018年~2020年分をもとに筆者作成

政府による緊急事態宣言の発令に伴い、個人への外出自粛要請や事業者への休業・時短要請が出された結果、2020年4~6月期の実質GDPは、リーマンショックを超えて戦後最大となる▲27.8%の落ち込みとなりました。反対に、外出自粛や休業・時短によって、実際に店舗に行く必要のないオンラインサービスやECの需要が高まったことが、EC化率が大きく伸びた要因になっているのです。

それでは次に物販系、サービス系、デジタル系の各分野のEC市場規模を見てみます。

日本国内の3つのBtoC分野別EC市場規模

分野別のEC市場規模は、以下の表の通りです。

◆分野別のEC市場規模

EC市場規模の内訳は、
物販系分野が12兆2,333億円、伸長率21.71%
サービス系分野が4兆5,832億円、伸長率▲36.05%
デジタル系分野が2兆4,614億円、伸長率14.90%

総計としては、伸長率が▲0.4%と、ほぼ昨年並みの市場規模になりました。

昨年並みの市場規模となったのは、サービス系分野の急激な落ち込みと、物販系・デジタル系分野の大幅な伸びが相殺される形になったためです。

サービス系分野の伸長率は、昨年の7.82%から一転して▲36.05%と急激に下がっています。これはサービス系分野の中でも、「飲食サービス」「旅行サービス」「チケット販売」において大きなダメージがあったことが要因と言えます。

新型コロナウイルスによる緊急事態宣言は、サービス系分野に大きな影響がありました。

✓外出自粛要請
✓飲食店等への営業時間短縮等の要請
✓飲食店等への酒類提供の停止要請

それではEC化率が公開されている「A.物販系分野」「B.サービス系分野」「C.デジタル系分野」を順に解説いたします。

A.物販系分野のEC市場規模

A-1:EC市場において最も伸長率が高かった分野とは?(物販系分野)

出典:「令和元年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」(経済産業省)より筆者作成

1位:「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」 28.79%
2位:「書籍、映像・音楽ソフト」  24.77%
3位:「生活雑貨、家具、インテリア」 22.35%

EC市場規模の伸長率は、物販系分野は対前年比21.71%となり、急激に伸びた分野です。

特にEC市場規模の伸長率が高い分野は「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」「書籍、映像・音楽ソフト」「生活雑貨、家具、インテリア」です。

まず1位の「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」ですが、元々この分野は型番や製品名での指名買いができ、どこで買っても品質が変わらないことから、ECと相性の良い分野でしたが、コロナ禍になり需要に拍車がかかった印象です。

また、ヨドバシカメラ、ビックカメラ等の家電大手もコロナ禍以前からインターネット通販やオムニチャネル施策に力を入れ、スマホアプリの活用や物流拠点の整備などを進めていたことも大きな要因と言えます。

参考資料:株式会社ビックカメラ2019年8月期決算説明会プレゼンテーション資料

2位の「書籍、映像・音楽ソフト」(※オンラインコンテンツを含まず)ですが、書籍などは一般ユーザーが日常でよく買い求めるものと言えます。

多くのビジネスパーソンがテレワークを実施した結果、通勤の途中で書店に立ち寄る機会が減り、代わりにインターネットで書籍を買い求めたり、あるいは、コロナ禍の巣ごもり消費の一環で、趣味や娯楽として書籍やDVDなどの需要が増えたりしたことが要因ではないかと筆者は考えます。

また、2020年には「鬼滅の刃」のアニメーション映画が大ヒットしたことから、漫画などの関連商品を買い求める方が増えたのではないでしょうか。

参考記事:緊急事態宣言発令からもうすぐ1年。巣ごもりで書籍販売冊数は約20%アップ!2020年「売れた書籍」で振り返る、コロナ禍の生活とトレンドの変化PR TIMES

3位の「生活雑貨、家具、インテリア」は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、家で過ごすことが多くなった結果、家具やインテリアの需要が高まったことが大きな要因です。

また、自宅でテレワークをするために家具を買った、という方も多かったのではないでしょうか。

参考記事:コロナ禍でも好調、2020年度の家具・インテリア販売市場は過去最高更新へ―巣ごもり需要や在宅勤務拡大が追い風PR TIMES

A-2:EC化率が高い分野とは?(物販系分野)

出典:「令和元年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」(経済産業省)より筆者作成

1位:「書籍、映像・音楽ソフト」 42.97%
2位:「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」 37.45%
3位:「生活雑貨、家具、インテリア」 26.03%

順位こそ毎年異なりますが、EC化率の高い分野は、上記3分野が3年連続でベスト3にランクインしています。コロナ前からECと相性の良い分野が、コロナ禍でさらにEC化率を伸ばしている印象です。

また、今回コロナ禍において、思ったより伸びていないのが6位の「食品、飲料、酒類」で、EC化率は3.31%しかありません。これには、以下の3つの理由があると考えられます。

◆「食品、飲料、酒類」のEC化率が伸びなかった理由

①生鮮食品は直接手に取って選びたい需要がある
②配送に時間や送料がかかる
③スーパー・コンビニが近くにあり、ECよりも利便性が高い

このような理由があるため、EC化が非常に進みづらいのです。また、EC化を進めるにあたっては、企業側でも物流拠点を整備する必要があり、コロナ禍においても急激にEC化率が伸びることはありませんでした。この点は下記記事でも触れましたが「Amazonフレッシュ」や「楽天西友ネットスーパー」が物流拠点の整備を進めています。

参考記事:食品ECの3つの課題とAmazon・楽天等の取り組み紹介

現在は配送エリアが限られていることが多いですが、拠点整備を行い、全国に配送が可能になればEC化率が大幅に伸びることが期待されます。

A-3:ECの市場規模が大きい分野とは?(物販系分野)

◆物販系分野のBtoC-ECの市場規模

出典:「令和元年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」(経済産業省)より筆者作成

1位:「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」 2兆3,489億円
2位:「衣類・服装雑貨等」 2兆2,203億円
3位:「食品、飲料、酒類」 2兆2,086億円

EC市場規模では2019年は「衣類・服装雑貨等(アパレル)」が1位でしたが、2020年1位の「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」の市場規模が急激に拡大したことにより、2020年は2位となりました。

「衣類・服装雑貨等(アパレル)」は靴やスーツ、パーティードレスなど、実際に着てサイズを確かめることが重要視されるため、実はそこまでECと相性が良いとは言えないのですが、ユーザーが買いやすいサイトデザインや、ロコンドのような原則返品無料で、自宅にいながら試着ができるという新しいサービスの導入により、EC化が進んだ分野になります。

また、アパレルはInstagramと非常に相性が良い分野であり、数十万人のフォロワーを持つインフルエンサーが立ち上げたブランドなども注目を集めています。

さらにユニクロやZOZOTOWNなど、大手企業がしのぎを削っており、新しいソリューションやサービスが次々に生まれています。このようなことから、筆者はアパレル業界のECへの取り組みは常に最先端であり、アパレル業界はEC業界のけん引役であると考えています。

B.サービス系分野のEC市場規模

サービス系分野とは、旅行・宿泊、あるいは飲食などのサービス分野です。

◆サービス系分野のBtoC-ECの市場規模

コロナ禍において「旅行サービス」「飲食サービス」「チケット販売」の3分類が大打撃を受けたため、かつてないほどに大きく市場規模を縮小することになりました。ただ、これらの業界はコロナの状況が落ち着けば急激に回復することは間違いないと思います。

参考記事:「コロナが落ち着いたらやりたいこと! 2位は外食、1位は?」(BCN+R

「旅行サービス」におけるEC化の歴史は早く、1990年代後半にはスタートしていました。国内外にかかわらず、インターネット上でいつでも手軽に航空券や宿の予約ができることや、チケットレスサービスの「eチケット」などは消費者にとっては便利なシステムです。

また、「エクスペディア」や「じゃらんnet」といったインターネット専業の旅行代理店(通称OTA)の台頭もBtoC-ECの活用度の高さの一因とも言えます。実店舗の需要もあり、ユーザー動向は二極化しておりましたが、新型コロナウイルスの影響により、今後は実店舗よりもインターネット予約の需要が上回ってくるのではないでしょうか。

「飲食サービス」においては、コロナ以前はネットで事前予約する機会が増えている印象がありました。大手の「食べログ」や「一休.com」といった予約サービスに登録するレストランが充実し、カンタンに予約ができるようになっています。しばらくは店舗の感染対策がサイト上で把握できるようにするなどの工夫が必要となるでしょう。

「チケット販売」は、チケットの二次流通(転売)を防ぐため本人確認を必要とするケースが増えました。電子チケットをスマートフォンに登録することで、他人への譲渡ができなくなることからスマートフォンとチケット販売は相性が良いと言えます。このため今後チケット販売のEC化が進んでいくことが予想されます。

「金融サービス」は2018年、2019年と2年連続で、EC市場規模が減少傾向にありましたが、コロナ禍で一気に需要が高まりました。これはビットコインなどの仮想通貨取引が再び過熱したためではないでしょうか。もともと金融サービスは電子商取引が普及しており、サービス拡充の要素よりも、マーケットにEC市場規模が左右される分野と言えます。

2020年にはコロナ禍の大不況により投資を始める人が急激に伸び、またビットコインの価格も高騰しつつあったので、再びEC市場規模が高まったと予想されます。

C.デジタル系分野のEC市場規模

デジタル系分野とは、電子出版、有料音楽・動画配信、あるいはオンラインゲームなどの分野です。

◆デジタル系分野のBtoC-ECの市場規模

デジタル系分野全体で見ると「電子出版」が36.18%、「有料動画配信」が33.10%とこの2つの分野が大きく伸びています。

これはコロナ禍において、家で過ごす時間が多くなったことが影響しているのは間違いないと思います。通勤時間や、飲み会・イベントなどに使っていた時間を、電子書籍や動画配信サービスの利用に切り替えるユーザーが多かったことが、この分野の伸長率に表れたのではないでしょうか。

参考記事:大手出版社参入により電子コミック群雄割拠の時代へ 苛烈するマンガアプリ市場、鍵は「デジタルと紙の“循環”」ORICON NEWS

動画配信サービスに関しては、今までは携帯電話キャリアとの契約で「通信制限」のある契約形態がほとんどでした。しかしソフトバンクからデータ通信量が無制限のメリハリ無制限という新プランが生まれたり、格安SIMのキャリアにおいても特定サービスのデータ通信量をカウントしない契約形態が生まれたりしたことで、データ通信量を気にせず視聴できる環境ができたためだと筆者は考えます。

また、動画配信サービスにおいては、例えばAmazonプライムやNetflix限定のような、会員限定の魅力的な独自コンテンツが増えており、その分テレビの視聴者数も減っていることが予想されます。

オンラインゲームですが、2019年度のオンラインゲームの伸長率がマイナス4%でしたが、2020年度はコロナ禍の影響により転じて、7.5%の伸長率となりました。さらに2021年は「ウマ娘 プリティーダービー」というオンラインゲームが久々にメガヒットしたこともあり、今後も伸びることが予想されます。

マーケットの状況にEC市場が左右された結果、2020年はコロナ禍で自宅での娯楽需要が高まり、大きくプラスに転じた結果となりました。

日本のフリマアプリ、ネットオークション(CtoC)の市場規模

◆フリマアプリとネットオークションの推定市場規模

「メルカリ」に代表されるCtoC市場は2019年度に伸長率が10%を切って落ち着いてきた印象でしたが、コロナ禍において伸長率が再び10%を超えて盛り上がりを見せています。

フリマアプリのユーザーインターフェースが改善され、スマートフォンがあれば誰でもカンタンに出品できるようになったことと、テレビコマーシャルなどの宣伝によりユーザーが大きく増えました。このようにネット初心者まで使い始めるようになると、サービスは一気に普及するものです。

しかし、フリマアプリ市場にも大きな課題があります。新しい市場のため、法規制が整っておらず「現金」や「入金済みSuica」が出品される行為が問題になっています。

記憶に新しいところでは2020年春に新型コロナウイルスの影響で全国的に数が不足したマスクが、メルカリで業者によって転売されることがありました。これは非常に問題になり、その後マスクの転売は禁止になりました。※政府によるマスクの転売規制は2020年8月29日に解除されました。

これらの問題が社会問題化し、フリマアプリ市場に法規制がかかれば、市場の成長にも影響しますので、そうならないためにも各社の対応が求められます。

スマートフォン経由での物販系の市場規模と普及について

◆スマートフォン経由の市場規模の直近6年間

かつて、スマートフォンはパソコンに比べて文字入力がしづらい、通信環境が一定ではないなどのデメリットがあったため、ユーザーにとってスマートフォンでの物販には高いハードルがあったと言えます。

しかし、スマートフォンや通信環境の進化、5インチ以上の入力しやすい大画面スマホが普及した影響でスマートフォンでの商品購入への〝慣れ〟が進み、スマートフォン経由の物販系市場規模の拡大につながったと考えます。

また、2000年以降の携帯電話の普及によりクレジットカード決済が広く普及し、スマートフォンにクレジットカード番号を入力することに抵抗が少なくなったことも、スマートフォン経由での市場規模が拡大した大きな要因です。

その結果、スマートフォンを経由してのEC市場規模が全体の5割を超えており、今後もスマートフォン経由の物販は広く普及していくはずです。ただし、高額商品や入力項目の多い旅行サービスなどは、スマートフォンよりパソコンで購入するニーズも一定数あることから、現在の5割程度が頭打ちではないかと筆者は考えます。

なぜなら、高額商品の購入や多数のホテル・プランから選択して旅行を申し込む場合、画面とキーボードが大きいパソコンでしっかりと比較してから申し込みをしたいというニーズがありますし、仕事で使用するためにパソコンやノートパソコンを所有するユーザーの割合は一定数をキープし続けると予想されるからです。

課題の多い〝物流〟について

新型コロナウイルスの流行によって在宅勤務が増え、実店舗よりもオンラインニーズが高まるなどして、ネットショッピング需要が急増しております。下記の図は令和元年までの宅配便取扱個数の推移ですが、コロナ以前から宅配便ニーズが年々高まっていることが分かります。

◆宅配便取扱個数の推移(単位:百万個)

※画面をクリックすると拡大します

出典:令和元年度 宅配便等取扱個数の調査及び集計方法国土交通省

ネット購入の普及により、宅配荷物の増加と、宅配業者の人手不足や残業が社会問題になっておりましたが、再配達率において改善の兆しがあります。

◆宅配便の再配達率(国土交通省調査)

2019年10月:都市部16.6% 都市部近郊14.3% 地方11.5%
2020年10月:都市部11.7% 都市部近郊11.2% 地方11.0%

このように、2020年に入り再配達率は都市部や都市近郊を中心に下がっていることが分かります。経済産業省の見解によると、

✓ステイホームによる在宅率の向上
✓店舗受取や宅配ロッカーの利用
✓置き配の利用

上記のことから、再配達率が下がったのではないかと言及されております。宅配業者の課題は改善の兆しがありますが、いずれにせよ物流を担うトラックドライバーの高齢化や不足が解消されておらず、この点がECサイト普及のボトルネックとなる可能性はまだ解消されておりません。

参考記事:「幹線輸送ドライバー不足の深刻化不可避」(LogisticsToday

インターネット取引ではクレジットカード決済が基本

◆インターネットで購入する際の決済方法(複数回答)

出典:「令和2年版 情報通信白書|インターネットの利用状況」(総務省

インターネットで購入する際の決済方法としては、「クレジットカード払い」が2018年よりも利用率を伸ばして79.7%になりましたが、2位以下の「コンビニエンスストアでの支払い」「代金引換」などは利用率を下げています。

筆者の仮説ですが、上記のアンケート項目として設けられていないAmazon Payや楽天ペイ等の「ID決済」が普及しはじめたため、大きく利用率を下げているのではないかと予想します。

2018年は、PayPayのキャッシュバックキャンペーンにより、リアルのQRコード決済が大きく話題となりましたが、ネットの決済も無関係ではありません。なぜならQRコード決済は「ID決済」としてネットで決済することも各社可能になってくるからです。

参考記事:「PayPay」がオンライン決済対応、ヤフーの「Yahoo!ショッピング」「LOHACO」などに順次導入へネットショップ担当者フォーラム

また、メルカリも「メルペイ」を発表し、アパレルEC事業者は、自社ECサイトの決済画面に「メルペイ」を用意することで、ユーザーがメルカリで売った服のポイントを利用して、アパレルECサイトで新しい服を購入することができるなど、QRコード決済の普及はリアルだけでなく、ネット決済にも多大な影響を及ぼします。

クレジットカード決済の不正利用

◆クレジットカード不正利用被害の発生状況

EC業界における課題は、クレジットカードの個人情報漏えい事故が社会問題になっている点です。この問題を受けて、経済産業省は「クレジットカード取引におけるセキュリティ対策の強化に向けた実行計画」を指導しており、EC事業者は以下のどちらかの対応を2018年6月までに実行する必要がありました。

・クレジットカード情報の非保持化
・PCI DSS準拠

参考記事:ECサイト事業者行うべきセキュリティ対策を徹底解説!PCIDSSへの準拠が必要な理由とは?

この動きを受けて、EC事業者はクレジットカード決済システムの入れ替えを検討していますが、間に合わない事業者も多く、責任ある対応を求められています

日本の広告費のメインは「テレビ」から「ネット」に!

◆広告費全体に占めるインターネット広告費の比率

出典:「2020年日本の広告費」(電通)2021年2月25日発表

ここ数年テレビメディア広告費は右肩下がりで、成長を続けるインターネット広告費が2019年に追い抜きました。当然インターネット広告費が増えていけば、インターネット通販での売上も上がり、結果としてEC化率が伸びる要因と言えます。

上記のグラフをご覧ください。2020年はコロナ禍により、広告費全体の市場規模は大きく下がりましたが、その中でもインターネット広告費は増加しています。

インターネット広告のメリットとしては、どのくらいのユーザーに広告が届き、その内の何人が購入に至ったか、という効果測定ができる点があります。

そのため、広告効果が分かりづらいオフラインの広告よりも、費用対効果が明確なインターネット広告の方が、広告を出稿する側も利用しやすいのです。今後も広告の主流はインターネット広告になっていくのは間違いないと筆者は考えます。

日本国内のBtoBのEC化率は33.5%

◆BtoBのEC市場規模とEC化率の推移

2020年は、コロナ禍によりBtoBのEC市場規模は下がりましたが、EC化率は31.7%から33.5%に伸びていることから、受発注のオンライン化等が比較的進んだのではないかと思います。

BtoB-ECの市場は約334兆円と非常に大きなマーケットとなり、業種別に見てもEC化率は上昇しています。その背景の一つに、ECシステム各社の新規参入や、BtoBに特化したASPサービスが出てきたこともありますが、経済産業省が出しているEC化率の33.5%という数値は、EDI※等の受発注システムとECが区別されていないため、実際のBtoBのEC化率よりもかなり高い数値になっています。

※EDIとは、Electronic Data Interchangeのことです。企業間の商取引において必ず発生する、帳票処理(注文、請求、決済など)を電子的に交換し自動化する仕組みであり、一般的に私たちがイメージするECサイトとは異なります。

EDI等の受発注システムではさまざまな制約があり、時流に合わせたマーケティング施策を実行することが難しく、EDIからEC化を検討している企業が増えている傾向があります。また、2024年にINSネット(EDIが最も使用されているネットワーク網。カンタンに言えばISDNのことです)が廃止され、EDIのIP網への移行が進むとともに、EC化を検討する企業は増加すると予想されます。

EDIについては、過去の記事でまとめていますので、下記の記事をご覧ください。

参考記事:7つのポイントでEDIをやさしく解説!EDIの必要性と課題

これからBtoBのECサイト構築やリニューアルを検討している企業、担当者の方、EDIからECサイトへの移行にはカスタマイズ可能なクラウドコマースプラットフォームの「ebisumart」も、他社とあわせてご検討ください。

ebisumartホームページ:BtoB向けECサイト

では次に、BtoBの業種別内訳のデータを紹介します。

◆BtoB-EC市場規模の業種別内訳

多くの分野で市場規模が縮小しましたがその反面、全ての分野でEC化率が伸びています。コロナ禍でも「建設」と「情報通信」は市場規模を成長させております。「建設」は東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会による好景気が続いており、その流れがコロナ禍に入っても続いていたのではないかと考えます。

「情報通信」の分野はオンラインを支える重要な分野であり、コロナ禍においても市場規模を伸ばしています。ただ、「製造」の分野はEC市場規模が縮小しています。コロナ禍の影響もありますが、米中貿易摩擦の影響が出て出荷が減ったことも予想されます。

「卸売」ですが、コロナ禍で市場規模が最も下がっている分野です。これは卸売を通さないビジネスモデルであるDtoCを実践するメーカーが増えているためではないでしょうか。その影響で実店舗の売上が減り、卸売の市場規模も下がっていると筆者は予想します。

最後に

2020年はEC業界にとっても歴史的な年となるでしょう。コロナ禍により人々は外出を控え、オンラインが普及しました。しかし、現時点でBtoC取引の約92%はEC以外のリアルで行われています。ただ、EC化率は毎年上がっており、今後の成長も期待されています。

事業者にとっては、これまで以上に実店舗とECの両立が重要になってきており、いかにユーザーが購入しやすいサービスを提供していくのか、という点が注目されています。

また、日本は少子高齢化社会に突入しており、ECの利用促進により社会全体の効率化を進める必要があります。ですからEC化率を伸ばすということは、決してEC業界関係者のみに影響することではないでしょう。

EC化率を伸ばすには、特に物流の人手不足や効率化の問題を解決しなくてはならず、この問題にあっては、政府、EC業界、物流業界、ユーザーの全てが前向きに取り組むことが必要だと筆者は考えます。

この記事を読んだ方にもできることはあります。それはECで買い物をした際は、なるべく再配達が必要のない届け先や時間帯を選択することで配送の負荷を減らすことです。こういった社会的課題は一人一人が取り組んでいくべきでしょう。


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