EC初心者が10分で理解するECサイト制作手順と費用相場


会社の新規事業として新しくEC担当者に任命されたり、あるいは「楽天市場」や「Amazon」などのショッピングモールを卒業して、自社ECサイトの制作・構築を考えている方は、以下のような不安を抱えているのではないでしょうか?

「自社でECサイトを作りたいが、どこに頼めばいいのか?」
「ECサイトの制作の手順は?予算は?」
「急にECサイトを作ることになったが、何から始めればよいのか?」

このように、コロナ禍の現在、ECサイトを導入する会社は非常に増えております。

個人で初めてECサイトを作る場合は、まずは無料で誰でも制作できる「BASE」や「STORES」を使いましょう。法人の場合、ECサイト制作の依頼先や費用相場は「ビジネスの規模」で変わってきます。ECの年商が1億円未満のECサイトは「ASP」で構築し、年商1億円以上は「パッケージ」や「クラウドEC」に制作を依頼するのが業界の一般的基準です。

本日はインターファクトリーでWEBマーケティングを担当している筆者が、EC初心者でもECサイト制作の手順と費用相場を10分程度で理解できるように詳しく解説します。

ビジネス規模で異なる3つのECサイトの制作方法!

まず、初めてECサイトを作る方はご自身のビジネス規模と照らし合わせて、以下の制作方法と費用相場を参考にしてください。

◆初めてECサイトを制作するときの費用相場

ビジネス規模 EC構築方法 必要な
リテラシー
初期費用 月額費用
①個人 無料ASP SNSが
使える
0円 0円
(決済手数料
のみ)
②EC年商1億円
未満の法人
有料ASP ECに関して
自分で
調査できる
数千円
から
10万円未満
数千円
から
5万円
③EC年商1億円
以上の法人
パッケージ
または
クラウドEC
自社の
業務フロー
を説明できる
数百万円
から
数千万円
10万円以上

※ASPも厳密にはクラウドECに入りますが、この記事ではebisumartのような「フルカスタマイズ可能なクラウドEC」をクラウドECと定義します。

ebisumart(エビスマート)公式サイト

それでは、次に個人でECサイトを制作する方法を順に解説します。

①個人の場合は無料ASPから始めよう!

もし、個人でECサイトを始める方は、まずは「BASE」や「STORES」「カラーミーショップ」という誰でもカンタンにECサイトを作れる無料ASPがありますので、こちらでECサイトの制作をするのをおススメします。なぜなら制作費用が0円だからです。しかもEC制作は、まるでFacebookのアカウントを開設するようにカンタンなので、予算が企業に比べて制限のある個人であれば、これを利用しない手はありません。

無料ASPは初期費用、月額費用とも0円ですが、商品が売れた時に「決済手数料」が3%から5%くらいかかります。(使うASPや商品の値段によって変わります)。

決済手数料:1,000円の商品がECで売れた場合の決済手数料は30円~50円

この決済手数料こそが無料ASPベンダーの収益源になっているので、無料でユーザーにECサイトを提供できる仕組みになっています。

月額1,000円程度のオプション料金を支払えば、ドメイン名を自由にしたり、分析機能が充実したり、さらに機能を拡張してECサイトを利用することができますが、EC初心者であれば、最初のオプションは最小限にして、ECサイトを運営しながら、必要に応じてオプションを追加していくやり方が良いでしょう。

無料ASPについて、もっと詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

無料ASPの解説:【完全解説】無料でECサイトを開設するための4つの方法

しかし、これらの無料ASPには、サイトの規模を大きくする際にデメリットがあります。それは、サイトの年商が高まり、機能が豊富な有料ASPへECシステムを変更する場合は、無料ASPで使っているドメインを使えないので、ECサイトのドメイン(URL)を新たに取得しないといけない点です。

最初は小規模でECサイトを始める方であっても、将来的にECビジネスを拡大するつもりでしたら、最初から自分でドメイン管理が可能な有料ASPを利用することをオススメします。有料ASPを利用する場合は「ドメイン管理(所有権を自分にすること)が可能か」を事前に情報収集しておきましょう。

それでは、次に年商1億円未満の法人がECサイトを制作する方法を解説します。

②EC年商1億円未満の法人は有料ASPでECサイトを制作する!

ECのビジネス規模がまだ大きくない企業は有料ASPがオススメです。

また大手企業や、実店舗で儲かっている企業であっても新規事業で初めてECサイトを制作する場合は、まずは価格の安い有料ASPでECサイトを始めた方が良いでしょう。

なぜならECサイトで商品を販売するのは思ったより大変で、Webマーケーティングのノウハウがないと、ECサイトを成功させることは難しいからです。実店舗のノウハウとECのノウハウは、顧客目線の追求という点では本質的に同じですが、それをサイトで実現するとなると、Webマーケティングの専門知識と経験が必要になるのです。

ECサイトの運営ノウハウは走りながら積み上げて、ある程度の売上を確保するまでは価格帯の安い有料ASPでECサイトを制作するのが良いでしょう。

ASPというと機能が少なそうと不安に思うかもしれません。しかし、ご安心ください。それは昔の話で現在の「有料ASP」は、非常に多機能でECのフロント機能としては運営面でほとんど不足ががないものが多いです。

有料ASPは、多くのベンダーからサービスが提供されています。通常のEC業務であれば、大手が提供するASPで問題ありませんが、もし、あなたの会社の事業が「定期販売」「レンタル事業」「海外向けのECサイト」「BtoB」などの場合は、それに特化した有料ASPがありますので、Googleで検索して2社~3社に問い合わせてみてください。

最近話題のShopifyはアプリが9,000以上も提供されており、EC担当者が独力で多くの機能を実装させることができるますので、ITリテラシーが高い担当者には向いていますが、日本語対応されているものの管理画面のUIが日本人向けではなく、筆者も実際にShopifyを利用しましたが、設定はやや難しい印象があるので、その点も考慮してASPを選んでみましょう。

③EC年商1億円以上の企業は「パッケージ」や「クラウドEC」を使う!

EC年商1億円以上ということは注文数が1日あたり100件を超えることも珍しくありません。そうなるとASPではECのバックエンド作業が非常に大変になります(※バックエンド作業とは在庫管理や出荷作業などのユーザーの目に触れない業務のこと)。ECサイト運営の効率が悪くなり、誤発送などのミスが多発しはじめます。

そのようなミスを防ぎ、効率を上げるためにシステム連携が必要になるのです。下記の図をご覧ください。左の絵がシステム連携されていない様子です。各システムが連携されていないために、バックエンドの作業負担が大きいのです。しかし、それを「ebisumart」などのクラウドECやパッケージECでシームレスに連携させることで、作業効率が大幅に向上します。

◆クラウドECの「ebisumart」のシステム連携イメージ図

ECサイト構築ベンダー:ebisumartの公式ページ

EC年商1億円以上の企業のECサイトはバックエンド作業の負担を軽くするために、企業の顧客データーベースや、基幹システムなどのシステムとECサイトをシームレスに連携させる必要があります。これが可能なのが「パッケージ」「クラウドEC」なのです。

パッケージやクラウドECの選定も、3社ほどに声をかけてコンペを行いましょう。もし3社をコンペに呼ぶのなら、下記のように各社に声をかけるのがバランスが取れていると思います。

◆3社にコンペに来てもらう場合

1社目:自社と付き合いのあるシステム開発会社
2社目:パッケージのベンダー
3社目:クラウドECのベンダー(例:ebisumart)

この3社をコンペに呼ぶと各社のメリットとデメリットが明確に見えるので、コンペで自社にあったベンダーを選ぶことができるはずです。

また、ECサイトの構築には、予算やセキュリティ、あるいは将来の事業からの視点も必要です。そういったポイントについては、下記の記事に詳しく書きましたので、これからECベンダーのコンペを行う方はご参考ください。

関連記事:個人や企業が最適の「ECサイトを構築」するための必要な5つの視点

①無料ASP、②有料ASP、③パッケージ・クラウドECの制作手順を解説!

①無料ASPはたった3つの制作手順でECサイトが完成!

機能が制限されている無料ASPは、ECサイト開設までの手順が非常にカンタンです。

(1)無料ASPへの登録

「サイトURL」を決定し、ログインするための「メールアドレス」や「パスワード」を決定します。その際、オプション費用を払って、「独自ドメイン」か「サブドメイン」かを選択できますが、個人であるならばなるべく費用を抑えた「サブドメイン」が良いでしょう。なぜなら筆者の感覚では集客の面で「独自ドメイン」も「サブドメイン」も差がないからです。

(2)ECサイトのテンプレートを選択

無料ASPには数十種類のテンプレートが用意されています。そこから自社の雰囲気と合う画像を選びましょう。また選択したテンプレートからメインカラーなどを選択するこもできます。

ここでの注意点は、ECサイトのデザインに特にこだわりがない場合は、派手なデザインを選ぶのではなく、シンプルなデザインテンプレートを選ぶと良いでしょう。

なぜなら個人が運営するECサイトの場合、ユーザーはECサイトの世界観を求めているのではなく、純粋に商品の良しあしを見ていると考えられるからです。凝ったデザインよりシンプルなデザインの方が、ユーザーがネットショッピングにおいて、余計なことを考える必要がなく、購入率の低下を防ぎやすくなるためです

(3)商品登録

ECサイトで販売する商品を無料ASPに登録します。この作業が一番時間がかかります。しかし、だからと言って、絶対に手を抜いてはいけない作業です。なぜなら、ここで登録する商品の「写真」や「文言」が売上に相当影響するからです。

商品数が多い場合は、まずは登録作業に重点を置き、全ての商品登録終了後に、売れ筋(だろうと思われる)商品を中心に写真を複数枚いれたり、商品説明文を充実させてください。実際のお客様から寄せられるよくある質問を掲載するのも有効です。

◆登録する主な項目

・商品名の登録
・商品価格の登録
・商品画像の登録
・商品説明文の登録
・商品の在庫数の登録

登録作業においてよくある間違いは「SEO」を意識して、特定のキーワードを商品説明文に不自然に登録させるようなことです。10年以上前なら、効果はあったかもしれませんが、昨今のGoogleの検索アルゴリズムには通用しませんので、検索順位が上がることはないと考えています。

そんなことをするよりも、商品ページに来てくれたユーザーが「どんな人(主婦なのか?50代男性なのか?)」「どんなことを気にするのか?」を想像し、ユーザーがECサイトを見て「確信を得られる(私の求めている商品はこの商品で間違いない!)」説明文を意識して作成するべきです。これこそがWEBマーケティングなのです。

(4)テスト注文をしてみる

画面や商品の用意ができたら自分で商品を実際に購入してみて、注文までの流れを「購入者」と「運営者」の両方の観点から確認してみましょう。無料ASPに用意されているクレジットカード決済は、キャンセル機能がありますので、コストをかけないで、テスト注文を行うことができます。

実際の注文が来ても慌てないように事前に注文手順を確認しておきましょう。また、無料ASPであっても、クレジットカード決済以外に、代引き決済や後払い決済などが用意されている場合があります。ユーザーが利用する全ての決済方法で予行練習をしておきましょう。

②有料ASPのECサイト制作手順

ASPを利用するコツは「自社の運用フローをASPに合わせる」ことです。機能に制限があると言われているASPですが、ECとしての基本機能は充実しています。自社固有の業務フローをどうやって、ASPのシステムに合わせることができるかが?運営をスムーズにするコツです。

(1)自社に合った有料ASPの選定

2社から3社の有料ASPベンダーの資料を取り寄せたり、あるいは打ち合わせを行いASPベンダーを選定します。この時「あれもこれも実現」したいというのは、カスタマイズができないASPでは無理がありますから、下記例のような要件を事前に決めておき、要件に優先順位をつけておくことが重要です。

◆ECシステムの要件の例

「画面は自社のデザイナーで自由に作りたい!」
「定期販売の周期を商品ごとに決めたい!」
「使いたいECのツールが、このASPに連携できるのか?」

システム連携のない通常のECサイトであれば、どの会社のASPを導入しても、要件定義の段階では差を感じられないことが多いでしょう。

そうすると価格で選定することになりますが、その前に「そのASP」を利用している知り合いを探して実際の使い勝手を聞いてみたり、「そのASP」の事例ページに掲載されているECサイトにアクセスし、商品を購入する寸前(買ってみてもいいでしょう)まで試してみて、違和感などないか確かめてみてください。

そして、「定期販売」「BtoB」「越境EC」などが要件の場合は、それぞれに特化したECベンダーがいますので、事前に「定期販売 ASP」「BtoB EC ASP」「越境EC ASP」というキーワードでGoogle検索すると、そのジャンルに特化したECベンダーが検索できますので、それらのベンダーもコンペに含めておきましょう。

(2)ECサイトの画面制作

有料ASPであれば、事前に用意されたテンプレートからECの画面デザインを選択することもできますし、自社WEBデザイナーや制作会社に依頼して、HTML・CSSを編集して画面を制作することも可能です。テンプレートを使えば追加費用がかかることはありませんが、制作会社に依頼すれば追加費用が20万~100万円程度かかります。

筆者の意見ですが、無理してWEB制作をしなくても、事前のテンプレートにはシンプルで優れたデザインのものが用意されているはずです。独自の画面デザインはECの採算が取れてからでも、遅くはありません。またECサイトの開設はなるべく早いに越したことはありません。テンプレートを利用することも検討してみましょう。

ECサイトのコツは「走りながら考えること」ですから、完全に整えてECサイトをスタートするよりも

(3)商品登録

無料ASPでも解説したとおり、商品の写真と説明文が売上を左右する大きな要素です。下記の登録を行いましょう。

◆登録する項目

・商品名の登録
・商品価格の登録
・商品画像の登録
・商品説明文の登録
・商品の在庫数の登録

有料ASPであれば、商品登録を一括で行うための「CSVファイルのアップロード機能」が用意されています。大量の商品がある場合は、大変便利なツールですが、業務効率ばかり意識して「ユーザーの心が動かない商品説明文」ばかりでは意味がありません。

全ての商品の登録作業が終われば、主力商品を中心に、商品画像と商品説明文をしっかり作りこみ、それぞれのユーザーのシチュエーションに対応した説明文を用意することが理想的です。例えば、同じ商品でも男性と女性では気にするポイントは異なります。社内でも良いですから、女性スタッフと男性スタッフの双方の意見を聞いて、商品説明文に反映させましょう。

また、予算がある企業であれば「プロのライター」を雇って、実際に商品をライターに見せて説明文を書いてもらうことで、売上に良い影響を与えることができるでしょう。

プロのライターであれば、説明文で競合他社の商品と差をつけることができる可能性があります。ライターには商品写真を見せて書いてもらう場合と、実際の商品を提供して書いてもらう場合がありますが、後者の方が、ライターの商品に対するインサイトも多くなるため、ライターがより良い説明文を書きやすくなります。

(4)注文から発送までのフローを確認

画面や商品の用意ができたら、ECサイトの運営フローに不備がないか確認してみてください。フローだけでなく、注文したユーザーから見て、「確認メールの内容は分かりやすいか?違和感や不安を抱かないか?」なども確認してみましょう。ユーザーにとっては小さいテキスト文言ひとつで、購入するかしないかの分岐点になることがあるからです。

③「パッケージ」や「クラウドEC」でECサイトを開設するまでの手順

ASPと違い、パッケージやクラウドECの制作はシステム開発の部類に入るため、ECサイト開設までは早くても3か月から半年かかります。1年以上かかることも珍しくありません。

下の図の手順がパッケージやクラウドECの一般的な導入手順です。

◆ECサイトを自社用にカスタマイズして導入する5つの手順

年商1億円を超すECサイトの制作の場合は外部システムとの連携が重要になってきますので、ASPと違って、⑤の外部システムとの連携テストを行う必要があります。

また、パッケージやクラウドECでも、カスタマイズを行わないで導入する手法があり、費用と開発期間を大幅に短縮することが可能です。外部連携や画面開発を後回しにして、まずはECサイトをリリースし、将来必要な連携はその時に行います。

パッケージとクラウドECの違いは?

パッケージとクラウドECの差は、システムの最新性です。パッケージは自前で用意したサーバにインストールして使うため、ECサイトをオープンした瞬間からバージョンが古くなってきて、5年後には完全に時代遅れのECシステムになってしまうデメリットがあります。

しかし、クラウドECは、クラウド環境上のシステムを使い、システムが自動更新されるため、一度導入すると二度と、リニューアルが必要ありません。またセキュリティや時流(例えばスマートフォン対応など)の機能なども、自動で実装されるのが、クラウドECの大きなメリットです。

弊社のebisumart(エビスマート)もクラウドECなので、クラウドECの具体的な特徴を知りたい場合は、下記のebisumartの公式サイトをご覧ください。

クラウドコマースプラットフォーム「ebisumart(エビスマート)」の公式サイト

ECシステムの乗り換え(引っ越し)で気を付けたい5つのこと

もし、既存のECシステムから、新しいECシステムに乗り換える場合には、以下の5点を事前に知っておかなければなりません。

①ユーザーがクッキーでブラウザに登録しているECサイトの「ID」と「パスワード」は無効になる

ECシステムが変更になると、通常の場合、既存ユーザーのブラウザに登録してあるECサイトのIDとパスワードが無効になります。つまり、今まではユーザーが会員ログインの際に、自動ログインを行っていたものが、再度ユーザーにログイン認証を求められることになり、既存会員の離脱の原因になります。

※筆者はIT技術者ではないので、これを回避する方法があるのかもしれませんが、聞いたことはありませんし、解決策は分かりません。

ですから、ECシステムをリニューアルした際は、会員の離脱が起こらないようにログインを促進するキャンペーンや仕組みを同時に考えておくと良いでしょう。

②前のECサイトからSEOの設定を引き継がないと、アクセス数が落ちる

例えば、リニューアル前のECサイトで流入が多かったURLなどを、リダイレクトの設定を何もせずに、新しいECサイトに変更し、異なるURLにしてしまえば、SEOが弱まり一気に流入数が減ります。

こうならないためにも下記のポイントを踏まえる必要があります。

◆ECリニューアル前に把握しておきたい3つのポイント

①リニューアル前にSEOが強いURLを把握
②上記URLに対してリダイレクト設定、あるいはリニューアル後にも同じURLを残す
③旧URLのコンテンツを新URLでも引き継ぐ。情報を削らない

自然検索(SEO)で流入してくるユーザーは、コストがかからず重要度の高いのお客様です。そういったユーザーをリニューアルで失うのは本当にもったいないことですから、事前に上記の3つを確認しておきましょう。

③レスポンシブ対応を進めると、CVRが下がることも!

例えば、新しいECシステムへのリニューアルとともに、スマートフォン対応のためのレスポンシブデザインにECシステムをした場合、スマートフォンサイトではCVRが向上しても、PCサイトではCVRが下がることがあります。

当たり前のことですが、レスポンシブデザインではPC画面もスマートフォンのようになるので、PCではユーザーにとっては見にくい画面となるのです。そのため、大手EC事業者では特にレスポンシブデザインを採用しないのがトレンドとなっています

PCでの購入は一定数あるため、スマートフォンとPCをそれぞれに最適化したECシステムこそが、売上を上げるためには理想的なECサイトと言えます。

④乗り換え前のECシステムのベンダーとも良好な関係を維持する

なんらかの理由があり、新しいECシステムに乗り換えるのですが、やはりデータの引き継ぎや、ドメイン変更など乗り換え前のECシステムベンダーに頼らないといけない部分は多数あります。乗り換えが決まっても、乗り換えが終了するまでは、良好な関係をキープしておきましょう。

筆者の経験ですが、システムの乗り換え時などは「私は乗り換えたくなかったんだけど、上司が乗り換えに積極的で止めれなかった。申し訳ない(本当は自分が積極的に動きましたが)」といったことを伝えて、ベンダー会社のモチベーションを下げずに良好な関係をキープしてきました。EC担当者であれば、このような配慮も必要なことなのです。

⑤リニューアル後の問題発生に備えて、旧システムに戻せる体制を作る

大規模ECシステムであったり、複雑なシステム連携の場合は、リニューアル後に意図しない事態が発生し、ECサイトが止まってしまうリスクもあります。実際に有名ECサイトには、リニューアルのタイミングでオンライン販売が全てストップし、ニュースになることもあります。

そのため、EC担当者はリニューアル時には、障害発生した際は、旧システムに戻すことも選択肢として入れておきましょう。また、それが不可能である場合にも、そういった事態を事前に想定しておくことで、被害を最小限にすることができます。

2024年4月1日までに全EC事業者必須の「WEBアクセシビリティ対応」とは?

2024年4月に施行される「改正障害者差別解消法」によって、国内の全事業者は、高齢者や障害者であっても平等にWEBサイトを見れるようにする配慮が義務化されます。具体的には以下の通りです。

◆高齢者への配慮

文字を大きく見やすくする

◆弱視者への配慮

文字を読み上げる

◆色盲者への配慮

文字の色を変更できる

具体的対応は、以下のガイドブックをご覧ください。

参考:ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック

ASPやパッケージなどのECベンダーのシステムを利用している場合は、おそらくWEBアクセシビリティ対応したアップデートが入ると思われるので、ベンダーからの情報収集に努めましょう。

ECサイトを構築するのはカンタンな時代になった!ECサイトで難しいのは集客!

ECサイト構築のためのソリューションやベンダーが数多くなったこともあり、2000年代初頭よりECサイトを持つことは個人も企業も、随分とカンタンになりました。現に3分もあれば無料でECサイトを構築することが可能です。

しかし、ECサイトを作ることと、ECサイトで成功することとでは全く違うノウハウが必要となります。なぜならECサイトへの集客にはWebマーケティングのノウハウが必要となり、そのノウハウや経験を持った人材は、業界には非常に少ないからです。さらに、そういったスペシャリストを雇うにしても、それに見合う年収は大手企業など、名の通った企業でなければ困難です。

ですから、予算の少ない企業であれば、自社でECサイトに集客するためのノウハウを積み上げる必要が、KPIを定めて、積極的に施策を行い、失敗と成功を重ねるのが近道となります。

そのためのECサイトの構築のコツは、最初から完璧なものを作るのではなく、ある程度のECサイトを制作し「走りながら考えるEC運営」を行っていくことです。最初から「完璧なECサイトをまずは作る」ということでは、ECサイト構築に時間がかかり、なかなかノウハウを積み上げることができなくなるからです。

弊社のカスタマイズできるクラウドECの「ebisumart(エビスマート)」であれば、カスタマイズやシステム連携をせずにECサイトを導入し、ECサイトを運営しながらカスタマイズをいれていく運用も可能です。中・大規模のECシステムを検討の際は、他社とともに検討していただければ幸いです。

クラウドコマースプラットフォーム:ebisumart(エビスマート)


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ABOUT US
井幡 貴司
forUSERS株式会社 代表取締役。 株式会社インターファクトリーのWEBマーケティングシニアアドバイザーとして、ebisumartやECマーケティングの支援、多数セミナーでの講演を行う。著作には「図解 EC担当者の基礎と実務がまるごとわかる本」などあり、執筆活動にも力を入れている。