【完全解説】無料でECサイトを開設する5つの方法を徹底比較


ECサイトを無料で開設する方法を検討しているのではないでしょうか?

「実店舗の商品をECサイトで販売したいけど、初期費用をおさえたい!」
「自分でビジネスを始めたいが、ECサイトをできるだけ安く作れないか?」
「会社からEC担当に任命されたが、お金をかけずにサイトを作れるのか?」
「ECサイトを自分で作ってみたい!」

実はECサイトは無料で開設することが可能です。方法は下記の5つです。

① Yahoo!ショッピングに出店する
② メルカリShopsに出店する
③ BASEやSTORESなどの無料ASPを使う
④ オープンソースでECサイトを作る
⑤ WordPressで無料のECサイトプラグインを使う

しかし、どの方法であっても商品が売れた時に決済手数料が数%かかったり、広告費が発生するので完全に無料な方法は存在しません。

本日はインターファクトリーでWEBマーケーティングを担当している筆者が、無料でECサイトを開設する5つの方法について7つの視点から解説いたしますので、これからECサイトを始める方は、最後までこの記事を読めば、どの方法でECサイトを開設するべきか理解することができるでしょう。

目次(無料ECサイトを作るための7つの視点)

冒頭で述べた通り、無料でECサイトを開設するには「Yahoo!ショッピングへ出店」「メルカリShopsへ出店」「ASPの利用」「オープンソースで構築」「WordPressプラグインの利用」の5つの方法があります。

本記事ではこれら5つの方法を、下記7つの視点から比較しておりますので、それぞれのメリット・デメリットを把握して、自分のECサイトに最適な方法を採用するようにしましょう。

(1)初期費用無料はYahoo!ショッピングとメルカリShopsと無料ASP
(2)手数料はメルカリShopsが高い!
(3)集客力が一番高いのはメルカリShops
(4)自社ブランディングに強いのは「オープンソース」と「無料ASP」によるECサイト構築!
(5)構築がカンタンなのはYahoo!ショッピングやメルカリShops、無料ASP
(6)将来の拡張性に関してはECパッケージである「オープンソース」が一番!
(7)セキュリティーが安心なのは「Yahoo!ショッピング」と「メルカリShops」「無料ASP」!

(1)初期費用無料はYahoo!ショッピングとメルカリShopsと無料ASP

本日紹介する5つの方法は全て初期費用等は1円もかかりません。しかし、完全に無料というわけではありません。まずは下記表をご覧ください。

◆初期費用比較

無料ECサイト比較(初期費用)

「Yahoo!ショッピング」「メルカリShops」「無料ASP※」の3つの方法は初期費用はかかりません(※ライトプランなどの無料プランを選択した場合に限る)。

「オープンソース」や「WordPressのプラグイン」でのECサイト構築方法では、実はサーバー代やドメイン代がかかります。サーバーは安いものは月額で100円という安いものから、年間で2万円以上の高スペックのものまであります。その差は性能や容量、あるいは機能・セキュリティによって違いがあります。

安いサーバーを選んだ場合、特にセキュリティーに不安が残ります。特にWordPressではサイト改ざんのリスクが高いので、サーバー選びは慎重になります。また、安いサーバーは一般的に共用であることが多く、一台のサーバを複数のサイトで利用するため、他のサイトにアクセスが集中した場合、サーバーに大きな負荷がかかり、自分のサイトにも影響を及ぼすリスクがあります。

余談ですが筆者も個人でWordPressのブログを複数、レンタルサーバーを借りて運営してますが、高スペックの「エックスサーバー」を年間2万円以上かけて契約しています。

費用は高いですが、対価として4年間でサイト改善やハッキング被害を一度も受けませんでした。しかし、筆者の知り合いのWordPressを使った人が安いサーバーを使っていたため、サイト改ざん被害を受けたことがありサイト復旧まで多大の労力と、SEOランキング下落の被害を受けました。

サーバー選びは、単に安いという理由だけで選ばない方が良いでしょう。セキュリティに関しては「無料ASP」の場合にはベンダーがセキュリティ対策を行っているので、心配の必要がありません。

(2)手数料はメルカリShopsが高い!

まず、①〜⑤の方法に月額費用などの固定費は発生しないのですが、商品が売れた時にクレジットカード手数料などの決済手数料がかかります。決済はECサイトでは決済会社が間に入るため手数料が発生します。決済方法や決済会社によって手数料が変わってくるのです。

◆手数料の比較

無料ECサイト比較(手数料)

③〜⑤の方法は決済手数料のみかかります。④と⑤の方法では決済方法をいくつか選択できるので「手数料」や「ユーザーに浸透している決済方法」あるいは「決済会社のサポート対応・実績」という観点で決済方法を選択すれば良いでしょう。

一方、「Yahoo!ショッピング」は決済手数料にプラスして「ストアポイント」の原資が1%〜15%(1%は必須)、「キャンペーン」の原資が1.5%、さらにアフィリエイト広告手数料と報酬費用が発生します。しかも、Yahoo!ショッピングは加盟店が多いため、こういった原資を積極的に使わないとなかなか商品を売ることができません。

しかし、手数料が高いからといって悪いわけではないのです。Yahoo!ショッピングは、「Yahoo!」からの流入や、「Yahoo!ショッピングTOPからの検索流入」、そしてアフィリエイト流入があるため、他の方式に比べて集客力が高い方法なのです。

そして、手数料が最も高いのはメルカリShopsです。商品が売れると10%もかかりますが、メルカリShopsには月間2,000万人のユーザーがおりますので、大きな集客力があるのです。これはECサイトを開設する上で、非常に有利と言えます。

WEBマーケーティングノウハウが無く、またノウハウを蓄積する暇もメンバーもいない場合は①の方法が有力な選択肢になるでしょう。

(3)集客力が一番高いのはメルカリShops

自社ECサイトの弱点は「集客力」がないことです。しかし、ショッピングモールの「Yahoo!ショッピング」や、フリマアプリの「メルカリShops」には非常に強い集客力があります。しかし、その分手数料が高くなるデメリットがあります。

ただ、手数料が高くともコストコントロールができれば、集客力があるプラットフォームは非常に有利と言えます。

◆集客力比較

無料ECサイト比較(集客力)

Yahoo!ショッピングも集客力は高いですが、Yahoo!ショッピングは出店企業も非常に多いため、広告原資や「PRオプション」と呼ばれるYahoo!ショッピング内の広告を使わないとなかなか商品が売れません。集客力があるのは間違いありませんが、Yahoo!ショッピング内で商品を販売するのは、それなりのノウハウが必要となります。

一方、自社ECサイトの方式の中では「WordPressプラグイン」を導入する方法が優れていると筆者は考えます。その理由は、SEOやコンテンツマーケティングが成功している会社は、ほとんどがWordPressによるブログ記事です。WordPressにはユーザー目線のサイトデザインや機能を実装するためのプラグインやテーマが無料で無数に提供しているからです。

また、WordPressによるSEOの集客方法は、インターネット上であらゆる情報が公開されているので、素人でも努力すればSEOを成功させることが可能です。当メディアでも過去にWordPressによるECサイトの集客記事を書いたので、興味がある方は、下記のリンクをご覧ください。

関連記事:ECサイトの商品ページに流入を増やすSEO施策

無料ASPやオープンソースでは、フリーページ機能やブログ機能を使うことで費用をかけずに集客ができますが、この点に関してはWordPressに軍配があがります。また当記事もWordPressで作られており、BtoBという分野に関わらず月間10万PV以上ある要因は、WordPressによるコンテンツマーケティングのノウハウを使っております。

(4)自社ブランディングに強いのは「オープンソース」と「無料ASP」によるECサイト構築!

メルカリShopsやYahoo!ショッピングは強力な集客力がありますが、自社ブランディングを行うのは困難です。それはAmazonや楽天市場にも共通するショッピングモールのデメリットです。ユーザーから見れば、YahooやAmazon、楽天で買い物をしたのであって、「A商店」から買い物した体験が乏しくなるのです。

◆自社ブランディング比較

無料ECサイト比較(自社ブランディング)

それに比べると「オープンソース」と「WordPressプラグイン」による方式は「自社ECサイト」ですから、自社ブランディングが可能です。しかし「信頼感のあるサイトデザイン」も欠かせない要素であり、無料テンプレートだけでは厳しいでしょう。

また「無料ASP」による方法も「自社ECサイト」という方式ですが、有料プランにしないと、独自ドメインが使えなかったり、無料プランだとASPサービスへのリンクがヘッダーにあるためブランディングという意味では「オープンソース」や「WordPressプラグイン」にやや劣ります。

(5)構築がカンタンなのはYahoo!ショッピングやメルカリShops、無料ASP

「Yahoo!ショッピング」「メルカリShops」と「無料ASP」はfacebookの登録くらいの労力とITリテラシーで、ECサイトを開設することが可能です。

◆構築の手間を比較

無料ECサイト比較(構築の手間)

最も手間がかかるのは「オープンソース」になります。レンタルサーバへのインストールや、もろもろの設定が必要になるからです。ディフォルト機能メインでやれば、比較的早く構築できますが、オープンソースのECサイトにはITリテラシーが求められます。

また、WordPressによるECサイト構築は、WordPressの知識や設定が必要になりますので、それなりのリテラシーが必要になります。WordPressは本来ブログ用のCMSですから、ECには独自のノウハウがあるため、それを知った上でのECサイトの構築の知識があった方が良いでしょう。

ただし、WordPressのプラグインの設定は非常にカンタンですので、構築の手間としてはオープンソースよりはかなり楽になります。代表的なWordPressのECプラグインは下記などがあります。プラグインは豊富にあるので、扱いやすいものを選びましょう。

◆WordPressのECプラグイン

・WooCommerce
・Ecwid Ecommerce Shopping Cart
・Welcart

(6)将来の拡張性に関してはECパッケージである「オープンソース」が一番!

もし、あなたのECサイトの年商が1億を超えるような極端なケースを想定した場合、この5つの方法の中では「オープンソース」が一番、将来の拡張が可能な方法になります。サーバを変更することも可能ですし、ECのバックエンド作業を自動化する仕組みを開発することが可能だからです。

◆拡張性比較

無料ECサイト比較(拡張性)

ただし、これにはカスタマイズできるだけの技術力、あるいはそれをカスタマイズを依頼するだけどの予算が必要となりますまたオープンソースはセキュリティーに脆弱性をかかえるため、昨今の開発手法のトレンドではないことも念頭に入れておきましょう。このことについては、下記の記事をあわせてご覧ください。

オープンソースの関連記事:ECサイトをオープンソースで作る3つのプラットフォーム

「無料ASP」には、有料のプランが用意されているので途中の変更も可能なのですが、やりたいことを実現する拡張性とは意味が違いますので「×」になります。「WordPress」の場合は拡張性は開発により可能ですが、そうするとWordPressのアップデートの適用ができなくなり、セキュリティが脆弱になり現実的ではありません。

(7)セキュリティーが安心なのは「Yahoo!ショッピング」と「メルカリShops」「無料ASP」!

ECサイトを作る時にあまり、注目される要素ではありませんが、実は一番大切な要素なのです。なぜなら、せっかく時間をかけて集客やブランディングをしても、ハッキング被害を受けてると甚大な被害があります。自社にインフラチームのメンバーが入れば対応可能ですが、そうではない場合は「③オープンソース」や「④WordPressプラグイン」ではリスクが大きいのです。

◆セキュリティー比較

無料ECサイト比較(セキュリティ)

そういう意味では「Yahoo!ショッピング」と「メルカリShops」「無料ASP」は提供会社がセキュリティーを日々チェックしており、EC事業者のあなたは全くセキュリティーをケアしなくて良いのです。

専任のインフラ担当のいないことの多い中小の事業者には大きいメリットになります。このあたりはブランディングや拡張性などほかのメリットと比較して考えることになるでしょう。

【まとめ】ECサイトのノウハウが全くない方は「Yahoo!ショッピング」か「メルカリショップ」で始めよう!

本日は5つの方式を7つの切り口で解説いたしました。筆者の結論としては無料を前提とした場合は、

「Yahoo!ショッピング」か「メルカリショップ」

がおススメです。その大きな理由は、ECサイトで一番困難な集客ができるプラットフォームだからです。

予算もノウハウもない方が、ECサイトを成功させるコツは、担当者がどんどんECサイトを経験して、ノウハウや知見を広げることです。そういう意味でも「Yahoo!ショッピング」と「メルカリショップ」を同時に始めるのもおススメです。無料で始められるのでリスクが最小限で始められます。

そしてカスタマイズが必要なECサイトの規模になった頃には、弊社のクラウドECのebisumartも検討していただければ幸いです。

中・大規模用のECプラットフォームのebisumart(エビスマート)

スモールスタート向けクラウドコマースプラットフォーム:ebisumart zero(エビスマート ゼロ)


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ABOUT US
井幡 貴司
forUSERS株式会社 代表取締役。 株式会社インターファクトリーのWEBマーケティングシニアアドバイザーとして、ebisumartやECマーケティングの支援、多数セミナーでの講演を行う。著作には「図解 EC担当者の基礎と実務がまるごとわかる本」などあり、執筆活動にも力を入れている。