ECのプロが教える!ECサイトのCVRを高める7つの施策


ECサイトでCVR(コンバージョンレシオ)を高めることができれば、自然検索はもちろん、リスティングやショッピング広告の効果も高くなり、あらゆる広告施策とからめてECサイトの成果を伸ばすことができます。では、どのようにCVRを改善すれば良いのでしょうか?

CVRを高める施策は1つだけのポイントではなく「ユーザーが最初にECサイトに接触するページ」から、「カテゴリーページ」や「商品ページ」と様々なポイントを改善する必要があります。なぜならCVRの改善は、0.01%~という小さな改善の積み重ねの場合が多く、1つのポイントだけの変更では劇的な数字の変更が見込めないからです。

本日はebisumartでWEBマーケティングを担当している筆者がCVRを高める7つの施策を紹介いたします。筆者は、大手事業者で、CVR改善を対前年比120%を実現した経験があるので、この記事を安心して最後まで読み進めてください。

ポイント①ECサイトTOPページの改善

ほとんどのECサイトの流入の多くが「ECサイト名」などの指名検索によって、ユーザーが訪れるはずです。その際、ユーザーと最初のタッチポイントとなるのがECサイトのTOPページです。

では、ECサイトにおいてTOPページの役割とはなんでしょうか?それはナビゲーションです。ユーザーがECサイトにたどり着いたら、ECサイトはユーザーが欲しい商品にスムーズに誘導させなくてはなりません。この点を改善するには、TOPページにたどり着いたユーザーが、どのページに向かったのかを把握する必要があります。

それを把握する手法として、Google Analytics では「行動」タブの「行動フロー」をクリックすると、下記のように把握することができます。

◆Google Analyticsの行動フローの画面

ただ、この数字を見るだけでは意味がありません。ここでは下記のように現状の数字から仮説を立てるのです。

EC担当者「うちのECサイトで最も売れている商品が○○なのに、TOPページからの導線が弱い。TOPページから人気商品のページへの導線を強化するといいのでは?」

EC担当者「カテゴリー名がわかりにくいから?ユーザーが迷っているのではないか?カテゴリー名を一目でわかりやすくしてみよう!」

TOPページから次ページへの導線をこのような観点で見てみることです。ECサイトや企業のTOPページは、デザイン面は注力されますが、CVRを高めるためのアクションとしてはあまり注目されることはありません。TOPページがナビゲーションの役割をしっかり果たしているか?数字と仮説で検証してみましょう。

ポイント②TOPページだけがTOPじゃない!ユーザーとの最初の接触点を改善する

実は、解析ツールを使ってみると「TOPページ」以外にも、ユーザーと最初の接触点になっているページがあります。例えば、とある商品ページがランディングページ(ユーザーと最初に遭遇するページ)として、アクセス数が多いにも関わらず、その商品の注文が少ない場合は、商品の魅力の訴求や値段などに改善の余地があります。

あるいは、ECサイトでブログを開設しており、そのブログページに多くの人がランディングページとして流入していれば、なんらかのキーワードでSEOで上位に立っている場合があります。そのような場合は、関連する商品ページへの誘導を行うことで、CVする可能性が生まれます。

このように、ユーザーと最初に接触するページの改善はCVRを改善するのに大切な役割を果たします。

ポイント③商品一覧ページの改善

商品一覧ページの形には、大きく分けて二つあります。

◆情報重視の見せ方(Amaoznのスマホ画面の例)

この見せ方は写真とともに、テキスト文章である程度の情報を掲載することができます。写真の外観よりもスペックを比較したい、家電製品などの説明が必要なものに向いている商品一覧のレイアウトです。

◆画像重視の見せ方(ZOZOTOWNのスマホ画面の例)

こちらは服や靴など、画像をもとに直観や好みで商品を選びたいアパレルECなどに向いている商品一覧レイアウトです。

これは「どちらの方が、CVRが高い!」というのはありません。ユーザーが目的のものを見つけやすい方が、正しいスタイルということが言えます。ただ、ここまでレイアウトが異なると、そこには必ずCVRの違いが存在します。

一度ABテストで、どちらの方がCVRが高いかテストしてみましょう。テスト結果に差がない場合でも、実際のユーザーに、使い勝手を聞いてみたり、満足度を聞いたりしながら、定量分析と定性分析の両方の側面で、商品一覧画面を選択してみてください。

ポイント④効果的に写真を使って商品ページの改善!

例えば商品が財布の場合、写真で財布の上下左右がわかるだけでは不十分です。ユーザーによって気にするポイントも異なりますし、情報は多い方がCVRは高くなるため、財布の中身がどうなっているのか?お札を入れた時のイメージはどうなのか?あるいはジーンズやスーツと合わせた場合のコーディネートまで掲載すべきです。

高額商品であればあるほど、写真の枚数は多いほうがCVする可能性が高くなります。同じ商品を扱うECサイトが2つあった場合、商品の裏表の写真しか確認できないECサイトと、使用シーンまで想像できる写真が豊富に掲載されているECサイトがあった場合、どちらで商品を買うか明白な結果になります。

つまり、商品写真で必要なのは、ユーザーにその商品を購入した時のイメージを疑似体験させることなのです。疑似体験とは、ユーザーが写真から、その商品を使っているシーンを連想できることです。商品の写真を撮るのはすごく労力のかかることですが、そもそも売れないと意味がありません。

使っているECシステムによっては、商品写真の上にマウスをかざせば、商品のアップ画像を見れたりしますが、このような機能がなくとも、ほとんどのECシステムでは商品ページの写真を多数登録できます。まずはユーザーに疑似体験させることを意識して商品写真を増やしてみましょう。

そして、商品説明欄には、商品スペックをただ書き並べるだけではなく、テキストでもユーザーの疑似体験を促す文章を意識してください。

◆ポロシャツの場合
「身長168センチで体重80キロの僕が、このポロシャツのLサイズを着たらジャストフィットでちょうど良かったですが、LLサイズは少し大きいですし、Mはピチピチです」

◆煎餅の場合
「煎餅の箱がいかにも日本的なデザインで、外国人の方に喜ばれます。箱を開けると、袋で小分けにされていますから、箱を開けっ放しでも、しばらくは煎餅が湿気ることもありません。」

このように、商品を検討している人が疑似体験できそうな商品説明を入れておくことで、CVに結びつきやすくなるのです。商品登録はただの作業ではなく、EC担当者としてクリエイティビティが発揮される仕事です。商品が大量にあり、それが難しい場合でも、せめて人気商品だけでも登録してみてください。

ポイント⑤ユーザーレビューの最大化

ECサイトのユーザーは高級商品であればあるほど、検討のレベルが深くなり、より多くのユーザーレビューを参考にする傾向があります。このレビューの質をあげることで、CVRを改善することが可能です。具体的に説明します。下記をご覧ください。

◆Aさんの商品レビュー
★★★★★
良いカメラです!非常に満足しています!ありがとうございました。

よくある、レビューですね。★5ですが、商品を検討しているユーザーには何の役にも立たないレビューです。では次のレビューはいかがでしょうか?

◆Bさんの商品レビュー
★★★★☆
仕事で使うために買ったのですが、バッテリーの持ちが非常に良く1週間充電しなくても、毎日使うことができました。写真のクオリティですが、まるで一眼レンズで撮ったかのうようなボケ味を出すこともカンタンにできます。また起動時間が1秒程度とシャッターチャンスを逃さず撮影できます。しかし、望遠が3倍までしか対応していないので、5倍あれば助かったので、★4つとさせていただきました。

あなたがその商品を購入しようとしている場合、どちらの口コミを参考にするでしょうか?当然Bさんのはずです。

確かに満足度が★5であることはプラスに働きますが、それだけでユーザーを購入に至らせることはできません。ここでもユーザーは自分が疑似体験できるレビューを探しているのです。

Bさんのような、詳細なレビューが増えれば増えるほどCVRは高まります。なぜなら、どんな商品でもレビューが100個もあれば、どんなユーザーにもドンピシャのレビューが見つかるからです。そのため、詳細なレビューをドンドン増やす対策をする必要があります。

良質な商品レビューを増やす方法

商品のレビューを増やす方法は以下の3つです。

①思わず口コミをしたくなるような良質な商品を企画する
②ユーザーにレビュー依頼メールを自動送付する
③口コミ文のサンプル文章を用意する

まず、商品が良いものでないと、レビューが増えるどころが、悪いレビューで溢れることになります。レビュー対策を行う場合は、必ず人に薦めたくなるほどの商品であることが前提です。

そして、良い商品であっても、それだけではレビューは増えません。レビューを増やす仕組みが必要なります。ですから商品購入者にはステップメールを送る仕組みを作ります。

最後に、それだけでは「良い商品です!」「ありがとうございました。」という、買う時に参考にならないレビューが集まってしまうので、例文を用意しておきましょう。ユーザーも例文があると、レビューを書きやすいからです。

ポイント⑥決済方法の改善

もし、決済手段が豊富で無いのであれば、下記の決済方法も検討の余地があります。

①ID決済(Amazon Pay あるいは 楽天ペイ)の導入

Amazon Payや楽天ペイなどのID決済を導入することで、Amazonや楽天市場のアカウントで自社サイトへのログインから、決済(Amazonや楽天のIDでの)まで可能なサービスです。多くのユーザーが、ECサイトでいちいちアカウントを作りたくないですし、さらに知らないECサイトでも、Amaoznや楽天市場のアカウントならば安心して決済してくれるメリットがあります。

関連記事:2つのID決済「AmazonPay・楽天ペイ」導入前に抑えるべきポイントとは?

②コンビニ決済や後払い決済

もし、ターゲットユーザーが10代や20代前半の若者が多ければ、クレジットカードの所有率は低いです。そういったユーザーに、クレジットカード決済だけでは、不十分です。若いユーザーにはコンビニ決済や後払い決済の対応を検討してみましょう。

③ペイディ決済で分割払いを可能にする

1万円を超える高額商品には、分割払いを可能にすることで、CVRを高めることが可能です。ペイディを導入すれば、金利手数料無料で分割払いを実施することができるので、導入するだけで確実にCVRを高めることができます。

ポイント⑦WEB接客ツールの導入

WEB接客ツールを導入して、CVRを高める施策です。WEB接客ツールには様々な機能がありますが、ここでは、CVRをあげる施策として2つ紹介いたします。

(1)クーポン券を出す

ECサイトを訪れた、全てのユーザーにクーポンを出すことも可能ですし、特定の行動(回遊行動や、訪問履歴、滞在時間)をしたユーザーにだけクーポンバナーを提示することが可能です。

ただ、クーポンの乱発は利益を減らす可能性があるため注意が必要です。ゼンクラーク社のWEBクーポンは、新規ユーザや、事前に設定したサイト上で特定の行動をするターゲットに狙いを定めて、クーポン券を表示できるため、無駄が発生しません。他にもKARTE(カルテ)などは詳細なターゲットやシナリオを自分で組むことも可能です。

(2)チャットの利用

ECサイトにはいくつか鉄板の施策があり、その中の一つに「ユーザー初回購入は絶対に成功させなくてはいけない!」というものがあります。なぜなら初回購入を検討しているユーザーが「クレジットカード番号がエラーになる!」など、注文寸前で購入できなければ、そのユーザーは2度と訪問してくれないためです。

それを防ぐ対策として、注文寸前に困っているユーザーにだけ、チャット画面を出す施策です。例えば注文画面で3分以上画面を遷移しないでそのままのユーザーにだけチャット画面を出す、など切り分けができます。24時間対応するのは困難ですが、営業時間だけでも対応することで、CVRを高めることができます。

(3)レコメンドの利用

ユーザーが、とある商品を見ている時に、他のおススメ商品も表示させるやり方です。下記をご覧ください。

◆ZOZOTOWNの商品画面

上記の赤枠を見るとわかるように、ZOZOTOWNの商品詳細画面では、必ず類似の商品などがレコメンドとして表示されます。このように類似商品をユーザーに提案することで、CVRを高めることができるのです。このよな機能はWEB接客ツールの多くで機能が実装されております。

アクセス数が少ない場合は!CVRとともにアクセス数を増やす対策が必要!

いくら、CVRの改善に努めても、訪問してくれるユーザーが少なければ意味がありません。CVRの改善とともにECサイトにアクセス数を増やすことも検討しなくてはなりません。

ECサイトの商品単価の平均は3,000円であり、ここからの利益を考えると広告を打つと利益が減ってしまします。そのため、EC事業者であれば、広告費用のかからないオウンドメディアの立ち上げによる集客(アクセス数アップ)に中長期的に取り組まなくてはなりません。

ECサイトの集客については、下記記事にまとめてあるので、あわせてご覧ください。

関連記事:ECサイトの商品ページに流入を増やすSEO施策

CVR改善のまとめ

本日はECサイトにおける7つのCVRの改善方法を解説しました、中にはECシステムのカスタマイズが必要な施策も多くあったと思います。まずは、ECシステムに左右されない商品ページの改善から進めていただければと思います。

また、WEB接客ツールやID決済などの導入は積極的に行うべきです。それらを導入して効果が出るか?出ないか?という点も重要ですが、それよりも重要なことはEC担当者の経験値が増えることです。デジタル施策に積極的でない事業者はやはり出遅れる傾向にあります。

WEB施策に実は「失敗」はありえません。つまり「成功」か「学ぶ」のどちらかです。つまり効果が出ても出なくても、ノウハウが積みあがった分プラスになるのです。ですので、CVRの改善やツールの導入は積極的に行い、EC担当者としての経験やノウハウを積み上げてください。

もし、EC事業においてプロのノウハウやサポートが必要な場合は、株式会社インターファクトリーでは、EC事業者向けにEC支援サービス「ebisu growth」を展開しており、EC事業の継続的な成長を支援しております。

本記事で解説したCVR改善など、ECの売上を高めるための実践的なマーケティングをお考えの方は、ぜひ本サービスをご検討ください。詳しくは下記公式ページをご覧ください。

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ABOUT US
井幡 貴司
forUSERS株式会社 代表取締役。 株式会社インターファクトリーのWEBマーケティングシニアアドバイザーとして、ebisumartやECマーケティングの支援、多数セミナーでの講演を行う。著作には「図解 EC担当者の基礎と実務がまるごとわかる本」などあり、執筆活動にも力を入れている。