事業者がECサイトを構築する際に、利用できる3つのIT補助金


2022年10月現在、国内外の新型コロナウイルスの感染状況は未だ収束を見ないものの、徐々に規制の緩和も始まり、社会全体としてはwithコロナを受け入れつつある印象ですが、やはり国内の飲食業界や旅行業界には爪痕が残り、経済的ダメージは癒えておりません。

国内企業は、コロナ禍以降ウイルス感染拡大防止策として、これまで一般的だった対面で行う接客や商談から、非対面ビジネスやリモートで完結する業務フローへの転換を余儀なくされており、ECサイトやクラウドなどのITツールを導入して、新しいビジネスモデルに対応することが引き続き求められています。

そのため、国や各自治体では、ECサイトを含むITの導入によるビジネスモデルの転換や業務効率化のための補助金制度を用意しており、筆者が調べた限りでは、2022年時点で以下の4つの補助金が挙げられます。

①事業再構築補助金
②IT導入補助金
③小規模事業者持続化補助金
④各自治体が提供するIT補助金

もし、これからECサイトの構築を考えている場合は、これらの補助金が支給される対象となるかを一度確認するべきです。特に、①事業再構築補助金の対象となれば、数百万円から数千万円の補助金が支給される可能性があるからです。

しかし、これらの補助金の申請スケジュールには締切があり、申請を行う場合は余裕をもって申請を行う必要があります。いずれの補助金も令和4年度においては、複数回公募を行っているので、補助金の申請を検討している場合は、速やかに申請要件を確認しましょう。

本日はインターファクトリーでマーケティングを担当している筆者が、4つのIT補助金について詳しく解説します。

※当記事では、補助金制度についてなるべく分かりやすく解説するよう努めていますが、制度・スケジュールの変更や、制度に対する解釈のズレ、説明不足がないとは言い切れません。必ず、経済産業省や各自治体が提供する情報を確認し、当記事は参考や目安程度に留めておいてください。
掲載している情報の正確性について万全を期しておりますが、その内容について保証するものではありません

この記事で紹介している表やスケジュールなどは全て、2022年10月11日時点での下記補助金のホームページからの引用となります。

引用元:「事業再構築補助金」(中小企業庁)、「IT導入補助金2022」、「小規模事業者持続化補助金(一般型)

コロナ禍に利用できる、ECサイト構築などに対する補助金は4つ

コロナ禍の現在、ECサイトの構築を含めたIT導入に使える補助金は以下の4つです。

①事業再構築補助金
②IT導入補助金
③小規模事業者持続化補助金
④各自治体が提供するIT補助金

補助金の額が最も大きいのは、①の事業再構築補助金ですが、補助額が大きい分、事業・業態転換や新事業展開などの思い切った事業再構築が対象となり、細かな要件に該当しなければ、採択(審査を通過し、補助金の対象となること)されません。

①事業再構築補助金に比べると、②〜④の補助金は、一般的に「ITツールを導入することによる、事業者の業務効率化・売上アップのサポート」を目的としており、補助金額は小さいですが、申請へのハードルも低いです。

ここで注意すべき点として、これらの全ての補助金は、1事業(事業者ではなく事業の単位)に対して、複数の補助金を受けることはできない、という点です。

(3)本補助事業と同一の内容で国(独立行政法人を含む)から他の補助金、助成金等の交付を重複して受けることは出来ない。
IT導入補助金2022「公募要領(P26)」より引用

内容が異なる別の事業であれば、同じ事業者が異なる補助金を受けることは可能です。ただし、同一事業で複数の国の補助金を受けることはできません。
事業再構築補助金「その他のご質問(よくあるご質問)」より引用

自社や事業の規模感、課題、補助金の趣旨などを踏まえて、自社に最も合う補助金を選ぶべきです。単に補助額の大小で選ぶべきではありません。それでは、一つずつ解説していきます。

①事業再構築補助金

この補助金は、単なるITツールの導入や、ECサイト・WEBを構築するための補助金ではありませんポストコロナ・ウィズコロナ時代に合わせて、新分野展開、業態展開、事業・業種転換などを行う中小企業を支援するための補助金です。そのため、他のIT導入補助金よりも補助額が大きく、事業計画によっては最大1億円(※一部企業への特別枠)の補助金が受けられる可能性があります。

当然ですが、この補助金は「コロナの影響を受けている」事業者が対象であり、新型コロナウイルス感染症の影響によらない売上の減少は、対象外です。例えば、コロナ後に売上が減っていても、単なる経営手法の問題によるものであれば、この補助金を受け取ることはできません

また、中小企業の場合、補助率が3分の2のため、最低でも150万円以上の支出を伴う事業計画でないといけません。

それでは、この事業再構築補助金の活用イメージ集からオンライン事業・ECサイトに関する事例を抜粋し、ご紹介します。

◆飲食業での活用事例(業態転換)

◆小売業での活用事例(業態転換)

引用元:事業再構築補助金の概要「10.事業再構築の事例」(中小企業庁)

このように、今まで対面ビジネスを行っていた事業者が、新型コロナウイルスの影響で、思い切ってITを活用し、オンラインビジネスに事業や業態を転換するケースが補助金の支給対象となります。そういう意味では、ECサイト導入は、対面ビジネスからの脱却を代表する新しいソリューションと考えることができるのです。

もちろん、この補助金は事業計画の実現性を強く求められます。特別枠では、実施後の5年間、年次報告書の提出を求められ、当初の目的に達しない場合は、補助額の一部返金を求められる場合もあります。

②IT導入補助金

一方、②IT導入補助金とは、必ずしも事業・業種転換や業態転換などを求められているわけではなく、ITツールの導入により、業務効率化・売上アップをサポートすることを目的とした補助金です。そのため、補助金額は最大450万円ほどと、①事業再構築補助金と比較すると、小規模なものです。

この②IT導入補助金は、コロナ禍になる以前から提供されている制度でしたが、2021年には新型コロナウイルス感染症の流行により、通常枠とは別に「低感染リスク型ビジネス枠(特別枠:C・D類型)」という枠が設けられていましたが、2022年にはなくなり、新しく「デジタル化基盤導入枠」「セキュリティ対策推進枠」が新設されました。

この制度の特徴は、ITツール導入先の中小企業・小規模事業者だけでなく、導入する「ITベンダー・サービス事業者」も登録申請を行う必要があるため、IT導入支援事業者と共同して申請・手続きを行わなければなりません。下記は、事業者とベンダー・サービス事業者の申請フローの図になります。

◆IT導入補助金申請フロー

IT導入補助金2022申請フロー

③小規模事業者持続化補助金

この補助金は、日本商工会議所が提供している補助金制度で、数人〜20人以下の小規模事業者および特定非営利活動法人が対象となります。

こちらも2021年までは、コロナ禍に対応した特別枠が設けられていましたが、現在はなくなりました。ただし、一般型は継続して募集を行っており、ECサイトの導入経費などに対する補助金はこちらから申請できます

本補助金事業は、小規模事業者自らが作成した持続的な経営に向けた経営計画に基づく、地道な販路開拓等の取組(例:新たな市場への参入に向けた売り方の工夫や新たな顧客層の獲得に向けた商品の改良・開発等)や、地道な販路開拓等と併せて行う業務効率化の取組を支援するため、それに要する経費の一部を補助するものです。
小規模事業者持続化補助金「小規模事業者持続化補助金(一般型)とは」より引用

事業者の取り組み方によりいくつかの申請類型に分かれますが、単純にECサイトの構築に対する補助金としては「通常枠」になり、上限は50万円かつ必要経費の3分の2までの金額となります。

④各自治体が提供するIT補助金

最後に、全国の自治体が独自に提供しているものが、④各自治体が提供するIT補助金です。例えば、千葉市では、以下のようなIT補助金が用意されています。(※現在は募集受付を終了しています)

「ICT活用生産性向上支援事業」公益財団法人千葉市産業振興財団(千葉県千葉市)

千葉市の場合は、市内の中小企業が、働き方改革や生産性向上、企業価値の向上を目的として、ICT導入をする場合、最大300万円の補助金が支援されます。

こちらも、②と同様、「業務効率化」などを趣旨とした補助金ですが、ICTを活用した大規模の業務効率化や事業転換を目的とした枠が用意されています。審査の中で、業務転換や変革を目的としたECサイトの導入をしっかりと説明することができれば、採択される可能性は十分にあります。

また、東京都中央区では、ECサイトの構築に特化した補助金制度を提供しております。金額は上限6万円と少額ではありますが、楽天などのモール型ECサイトへの初期登録費用も対象になるため、個人店舗経営者にも比較的申請の敷居が低い補助金制度です。

ECサイト活用補助金(中央区)

このように、各自治体でも、IT補助金が用意されているため、まずは事業拠点を置く自治体のホームページを検索してみましょう。

それでは、以下で「①事業再構築補助金」と「②IT導入補助金」に戻り、概要を詳しく解説していきます。

①事業再構築補助金の解説についてはこちらをクリック

②IT導入補助金の解説についてはこちらをクリック

①事業再構築補助金の対象は「中小企業」か「中堅企業」

まず、「事業再構築補助金」の対象は以下の規模の企業に限られますので、資本金が10億円超の大企業は該当せず、補助金を申請することはできません

以下、令和二年度第三次補正・令和三年度補正・令和四年度予備費「事業再構築補助金」公募要領(第8回)に沿って解説いたします。

事業再構築補助金の対象企業

・中小企業
・中堅企業

下記に、中小企業と中堅企業の範囲をまとめます。

◆中小企業の範囲

製造業その他: 資本金3億円以下の会社 又は 従業員数300人以下の会社及び個人
卸売業: 資本金1億円以下の会社 又は 従業員数100人以下の会社及び個人
小売業: 資本金5千万円以下の会社 又は 従業員数50人以下の会社及び個人
サービス業: 資本金5千万円以下の会社 又は 従業員数100人以下の会社及び個人
【注1】 大企業の子会社等の、いわゆる「みなし大企業」は支援の対象外です。
【注2】 確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える場合は、中小企業ではなく、中堅企業として支援の対象となります。
【注3】 企業組合、協業組合、事業協同組合を含む「中小企業等経営強化法」第2条第1項が規定する「中小企業者」や、収益事業を行う一般社団法人、一般財団法人、NPO法人等も支援の対象です。

◆中堅企業の範囲

中小企業の範囲に入らない会社のうち、資本金10億円未満の会社

中堅企業という表現だと「小さそうな企業が対象なのか?」と思われるかもしれませんが、資本金10億円未満が対象なので、一般的な感覚だと、ある程度名の知れた会社も、中堅企業に該当することが多いはずです。

引用元:事業再構築補助金の概要「3.中小企業の範囲、中堅企業の範囲」(中小企業庁)
参考資料:令和二年度第三次補正・令和三年度補正・令和四年度予備費 事業再構築補助金「公募要領」(第8回)P7

事業再構築補助金には「通常枠」と「特別枠」がある

事業再構築補助金には、全6種類の枠があります。

補助額 補助率
通常枠 中小企業者等、中堅企業等ともに
【従業員数20人以下】100万円~2,000万円
【従業員数21~50人】100万円~4,000万円
【従業員数51~100人】100万円~6,000万円
【従業員数101人以上】100万円~8,000万円
中小企業者等 2/3
(6,000万円を超える部分は1/2)
中堅企業等 1/2
(4,000万円を超える部分は1/3)
大規模賃金引上枠 中小企業者等、中堅企業等ともに
【従業員数101人以上】8,000万円超~1億円
中小企業者等 2/3
(6,000万円を超える部分は1/2)
中堅企業等 1/2
(4,000万円を超える部分は1/3)
回復・再生応援枠 中小企業者等、中堅企業等ともに
【従業員数5人以下】100万円~500万円
【従業員数6〜20人】100万円~1,000万円
【従業員数21人以上】100万円~1,500万円
中小企業者等 3/4
中堅企業等 2/3
最低賃金枠 中小企業者等、中堅企業等ともに
【従業員数5人以下】100万円~500万円
【従業員数6〜20人】100万円~1,000万円
【従業員数21人以上】100万円~1,500万円
中小企業者等 3/4
中堅企業等 2/3
グリーン成長枠 中小企業者等:100万円~1億円
中堅企業等:100万円~1.5億円
中小企業者等 1/2
中堅企業等 1/3
緊急対策枠 中小企業等、中堅企業等ともに
【従業員5人以下】100万円~1,000万円
【従業員6~20人】100万円~2,000万円
【従業員21~50人】100万円~3,000万円
【従業員51人以上】100万円~4,000万円
中小企業等 3/4(※1)
中堅企業等 2/3(※2)

(※1)従業員数5人以下の場合500万円を超える部分、 従業員数6~20人の場合1,000万円を超える部 分、従業員数21人以上の場合1,500万円を超える 部分は2/3)
(※2)従業員数5人以下の場合500万円を超える部分、 従業員数6~20人の場合1,000万円を超える部 分、従業員数21人以上の場合1,500万円を超える 部分は1/2)

なお、枠には通常枠以外の特別枠が5つ用意されており、より多くの補助金を受け取ることができる枠です。

◆特別枠①「大規模賃金引上枠」

継続的な賃上げと従業員の増員に取り組む企業を支援します。要件は以下の通りです。

① 2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前と比較して10%以上減少していること
② 事業計画を認定経営革新等支援機関及び金融機関と策定していること
③ 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加、または従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること
④ 補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、事業場内最低賃金を年額45円以上の引き上げること
⑤ 補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、従業員数を年率平均1.5%以上(初年度は 1.0%以上)増員させること

◆特別枠②「回復・再生応援枠」

新型コロナウイルスの影響を受け、事業が苦しい事業者や事業再生に取り組む企業を支援。要件は以下の通りです。

① 2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前と比較して10%以上減少していること
② 2021年10月以降のいずれかの月の売上高が対2020年または2019年同月比で30%以上減少していること。もしくは、中小企業活性化協議会等から支援を受け再生計画等を策定していること
③ 事業計画を認定経営革新等支援機関と策定していること
④ 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加、または従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること

◆特別枠③「最低賃金枠」

最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な企業を支援します。要件は以下の通りです。

① 2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前と比較して10%以上減少していること
② 2021年10月から2022年8月までの間で、3か月以上最低賃金+30円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いること
③ 事業計画を認定経営革新等支援機関と策定していること
④ 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加、または従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること

◆特別枠④「グリーン成長枠」

研究・技術開発または人材育成を行いながら、グリーン成長戦略の14分野の課題の解決に取り組む企業を支援します。要件は以下の通りです。

① 事業計画を認定経営革新等支援機関と策定すること。補助金額が3,000万円を超える案件は認定経営革新等支援機関及び金融機関と策定していること
② 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均5.0%以上増加、または従業員一人当たり付加価値額の年率平均5.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること
③ グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決の取り組みであって、その取り組みに関連する2年以上の研究・技術開発または従業員に対する人材育成をあわせて行うこと
④ 既に事業再構築補助金で取り組んでいる。または取り組む予定の補助事業とは異なる事業内容であること
⑤ 既存の事業再構築を行いながら新たに取り組む事業再構築を行うだけの体制や資金力があること

グリーン成長戦略について、詳しくは下記をご覧ください。

グリーン成長戦略(概要) – 経済産業省

◆特別枠⑤「緊急対策枠」

原油価格や物価の高騰など、予期せぬ経済環境の変化の影響を受けている企業を支援。要件は以下の通りです。

① 足許で原油価格・物価高騰などの経済環境の変化の影響を受けたことにより、2022年1月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、2019年~2021年の同3か月と比較して10%以上減少していること。また、コロナによって影響を受けていること
② 事業計画を認定経営革新等支援機関と策定すること。補助金額が3,000万円を超える案件は認定経営革新等支援機関及び金融機関と策定していること
③ 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加、または従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること

「特別枠」には採択件数に制限がありますが、不採択となった場合も、「通常枠」で再審査されます。また、一定の加点措置を受けて再審査されるため、その他の事業者に比べて、通常枠で採択される可能性が高くなります。

3つの主要な申請要件

まず事業再構築補助金の主要な申請要件を把握しておきましょう。

要件1:売上が減っている

申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少している。

前述のとおり、この事業再構築補助金はコロナ禍によって、売上が下がっている事業者が対象となります。そのため、経営手法による売上減は対象となりませんのでご注意ください。

要件2:事業再構築に取り組む

事業再構築指針に沿った新分野展開、業態転換、事業・業種転換等を行う。

例えば、今まで店舗事業において、顧客と対面ビジネスが中心だった事業者は、ECサイトやアプリを構築・導入することで、新しいビジネスモデルを取り入れることが前提となっています。

要件3:認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する

事業再構築に係る事業計画認定経営革新等支援機関と策定する。補助金額が3,000万円を超える案件は金融機関(銀行、信金、ファンド等)も参加して策定する。金融機関が認定経営革新等支援機関を兼ねる場合は、金融機関のみで構いません。

補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(グリーン成長枠は5.0%)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(同上5.0%)以上増加の達成を見込む事業計画を策定する。※付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したものをいう。

この要件は非常に分かりにくいのですが「認定経営革新等支援機関」とは、以下が該当します。

◆認定経営革新等支援機関の例

・税理士
・公認会計士・監査法人
・中小企業診断士
・金融機関(銀行・信用金庫)

※及び、上記に準ずるもの等。また認定されていなくてもこれに該当するケースがあり、詳しくは下記のリンクをご覧ください。

参考資料:「認定経営革新等支援機関等の一覧(令和2年11月30日時点)」(中小企業庁)
参考:「認定経営革新等支援機関」(中小企業庁)

つまり、上記の「認定経営革新等支援機関」に該当する方と、一緒に事業計画を策定しなくてなりません。まずは、顧問の税理士に相談して、その税理士が対応できない場合に、認定経営革新等支援機関を探してみるのが良いでしょう。

補助対象経費

補助金の性質上、全ての経費が対象になるわけではありません。例えば、人件費や車両購入費、あるいは商品の原材料費などは対象になりません。詳しくは下記資料をご覧ください。

事業再構築補助金_補助対象経費

引用元:事業再構築補助金の概要「4.補助対象経費」(中小企業庁)

補助金支払までのプロセス「補助金は後払い!先に自社で費用を支払う必要あり」

当補助金に限らず、国から提供されている多くの補助金は「後払い」が基本です。ですから、事業のために支払う費用は、いったん自社で賄う(金融機関からの援助を含む)必要があります。

下記をご覧ください。

図を見てもらうと分かる通り、補助金の支払いは事業者により支出を確認した後に支払われます。また、補助金を受け取った後も、5年間は経営状況等の年次報告が必要となり、補助金で購入した設備の厳格な管理が求められます。報告を怠った場合は、補助金の返還が求められてしまうので注意しましょう。

また、特別枠では、当初予定している成長を達成できなかった場合、状況に鑑みて、補助金の一部返還が求められる場合があります。当然、不正・不当行為があった場合も、補助金の返還が求められ、法令に基づく罰則が適用される可能性があります。

スケジュール:令和4年10月現在で既に8回公募されている!

令和4年(2022年)10月3日より第8回公募を開始しております。詳しくは、下記の経済産業省の事業再構築補助金のホームページで確認してください。

参考:事業再構築補助金事務局ホームページ(中小企業庁)

【第8回公募】
公募開始:令和4年10月3日(月)
応募締切:令和5年1月13日(金)18:00まで(厳守)

事業再構築補助金の3つの注意点

注意点①定款の変更

この補助金の支給を受けることになり、業種転換、事業転換などを実行する場合は、法人の定款を変更する必要があります。しかし、これは採択後でも問題ありません。

注意点②ITベンダーを迅速に選定する

事業者がITベンダーを選定する場合は、十分な時間をかけて、数社からの提案やコンペを行い、選定していく方法が一般的です。しかし、事業再構築補助金の申請スケジュールには期限があるため、早い段階で、ITベンダーを選定し、補助金を使う前提で話を進める必要があります。

補助金の種類は違いますが、以前、政府の補助金申請を検討されていたお客様に、限られたスケジュールの中で、サイトリリースまでの対応のスピード感と標準機能の豊富さを評価いただき、弊社サービス「ebisumart」を採用いただく事例がございました。それだけ、スピードが重要となるのです。

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注意点③事業が異なれば、1事業者で複数の申請ができる

もし、1事業者において、内容が異なる別の事業がある場合は、それぞれの事業において、事業再構築補助金を申請することが可能です。

なお、これ以外にも多くの疑問点などあると思いますが、下記のFAQが非常に参考になるので、一読ください。

事業再構築補助金に関するよくあるご質問(中小企業庁)

②IT導入補助金

IT導入補助金はもともと、IT導入による業務効率化のための補助金でした。それが下記表のA・B類型に該当します。さらに、中小企業や小規模事業者の、企業間取引のIT化を支援するために、新たに追加されたものが、「デジタル化基盤導入枠」です。

IT補助金は主に3種の枠に分かれる

この補助金の枠はA・B類型の通常枠の他に、「デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)」「セキュリティ対策推進枠」の2枠があります。

◆通常枠(A・B類型)およびデジタル化基盤導入枠

==>企業のIT促進による業務効率化が目的

◆セキュリティ対策推進枠

==>サイバー攻撃事案の潜在リスク低減が目的

まず、下記のIT導入補助金のITツール登録要領によると、ECサイトを導入する場合は、通常枠(A・B類型)およびデジタル化基盤導入枠が補助対象となります。

引用元:IT導入補助金2022 ITツール登録要領(サービス等生産性向上IT導入支援事業事務局)

「ITツール登録要領」11ページによると、ECサイト制作のためには、以下のような条件があります。

・スクラッチ開発については、通常枠(A・B類型)セキュリティ対策推進枠におい ては補助対象外となるが、令和5年(2023年)10月1日より施行されるインボイス制度に対応する取り組みを支援する目的でデジタル化基盤導入類型においては補助対象となる
・電子決済機能(クレジットカード・デビットカード・キャリア決済等)が実装されていなければならない
・ECサイトには安全性を向上させるセキュリティ対策が施されていなければならない
・新たにECサイトを制作する場合が対象(既存HPをリニューアルして、ECサイト機能を追加した場合は、新規導入した部分のみ対象。デザインリニューアルのみは対象外)
・モールの出店は新規のみ
・実績報告の際、BtoB-ECサイトのようなクローズドサイトはテストIDとパスワードの提出が必要
・契約前に制作・着手されたものは対象外

ECサイトといっても、全てが対象となるわけではありません。当該サイトが「売上に直接繋がるシステム(ITツール)」として認められなければいけないので、条件をしっかり事前に確認しましょう。

◆補助対象比較表

下記は補助額や、要件の表の引用です。

[2022]IT導入補助金

※上記は大まかな相違点の抜粋のため、詳しくは下記をご確認ください。

参考:
IT導入補助金2022「公募要領(通常枠(A・B 類型))」
IT導入補助金2022「公募要領(デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型))」

IT導入補助金の手続き

IT導入補助金の申請・手続きは「事業再構築補助金」に比べれば、ずいぶんシンプルです。下記をご覧ください。

IT導入補助金2022申請フロー

ここで気を付けないといけない点は、ITベンダー側でも「IT導入支援事業者」への登録が必要となることです。補助金により導入を検討しているITツールがあれば、まずは先方にIT導入補助金について聞いてみることがスタートとなります。

そして、IT導入補助金も事業再構築補助金と同様に、後払いとなりますので、最初にかかる費用は全て自社で賄う必要があります。

IT導入補助金のスケジュールは細かく区切られている!

IT導入補助金のスケジュールは、直近で下記の通り予定されています。

◆通常枠(A・B類型)

【7次締切分】
締切日:令和4年10月31日(月)17:00 予定
交付決定日:令和4年12月6日(火)予定

【8次締切分】
締切日:令和4年11月28日(月)17:00 予定
交付決定日:令和5年1月18日(水)予定

◆デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)

【14次締切分】
締切日:令和4年10月31日(月)17:00 予定
交付決定日:令和4年12月6日(火)予定

【15次締切分】
締切日:令和4年11月14日(月)17:00 予定
交付決定日:令和4年12月20日(火)予定

【16次締切分】
締切日:令和4年11月28日(月)17:00 予定
交付決定日:令和5年1月18日(水)予定

※これらのスケジュールは、当記事を作成した時点の情報のため、必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。

IT補助金2022:事業スケジュール

補助金制度を活用して、ECサイトを検討している方へ

本日は、ECサイトを構築する場合に利用できる補助金について、解説しました。

もし、国や自治体の補助金を活用してECサイトを構築する場合は、実績のある弊社サービス「ebisumart」もご検討いただければと思います。各補助金には、それぞれの申請スケジュールがあり、ECベンダーの選定や補助金申請までのスピードが重要です。そのため、ゼロから作るスクラッチのECシステムでは非常に時間がかかり、補助金申請には向きません。

弊社は、クラウドベースのECサイトでありながら、パッケージのECシステムと同じように個別カスタマイズが可能であり、中・大規模以上のEC事業者に支持されており700社に導入した多くの実績がございます。詳しくは下記ホームページよりご覧ください。

クラウドコマースプラットフォーム:ebisumartの公式ホームページ

※当記事では、補助金制度についてなるべく分かりやすく解説するよう努めていますが、制度・スケジュールの変更や、制度に対する解釈のズレ、説明不足がないとは言い切れません。必ず、経済産業省や各自治体が提供する情報を確認し、当記事は参考や目安程度に留めておいてください。
掲載している情報の正確性について万全を期しておりますが、その内容について保証するものではありません


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井幡 貴司
forUSERS株式会社 代表取締役。 株式会社インターファクトリーのWEBマーケティングシニアアドバイザーとして、ebisumartやECマーケティングの支援、多数セミナーでの講演を行う。著作には「図解 EC担当者の基礎と実務がまるごとわかる本」などあり、執筆活動にも力を入れている。