担当者が10分でサブスクリプションを理解するためにプロが徹底解説!


様々なサービスが日々サブスクリプションで提供され始めています。通称「サブスク」と呼ばれ、事業者にもユーザーにもメリットが多く、2019年にはテレビでも取り上げられるなど注目を浴びたビジネスモデルです。

サブスクリプションとは定額制で、一定期間、物やサービスを利用する権利を販売する手法です。例えばGoogle Play Musicのような毎月980円で好きな音楽が聴きたい放題というサービスが該当します。ユーザーは所有しない代わりに、毎月安価な金額を払うだけで利用し放題というメリットがあり、事業者にも毎月一定の売上が入るというメリットがあります。

しかし、事業者側にはサブスクリプションビジネスの「解約しやすい」ことや「ブランド力の減退」などのデメリットからビジネスの失敗につながる可能性がありますから、新規事業の担当者は事業を始める前に、サブスクリプションのデメリットも把握する必要があります。

本日は、ebisumart(インターファクトリー)でマーケティングを担当している筆者が、これからサブスクリプションを検討している事業者向けにサブスクリプションの事例やメリットとデメリットをたった10分で理解できるように解説いたします。

サブスクリプション市場規模は右肩上がり!5年で1.5倍

少子高齢化で、日本の多くの業界の成長が鈍化している中、サブスクリプション市場は今後も堅調な成長が予想されます。下記は株式会社矢野経済研究所の調査結果です。

◆サブスクリプションサービス国内市場規模予測

注1:エンドユーザー(消費者)支払額ベース
注2:市場規模は①ファッション系定期宅配、②ファッションサービス(但し①を除く)③食品系定期宅配④飲食サービス⑤生活関連⑥住居(シェアハウスやマンスリー系賃貸住宅は対象外)⑦教育(但し通信教育は対象外)⑧娯楽(月額定額で利用できる音楽と映像サービス)の8市場の合算値
注3:2019年度以降は予測値(2019年3月現在)

出典:株式会社矢野経済研究所 「サブスクリプションサービス市場に関する調査(2018年)」(2019年4月9日発表)

矢野経済研究所によると、2018年度は5,627億円の実績で5年後の2023年度は150%の8,623億円の予測となっています。この背景には下記の3つの理由があると筆者は考えます。

◆サブスクリプションが普及する3つの理由

①所有する価値観から利用する価値観に変化
②スマートフォンの普及によりサブスクリプションの仕組みや課金方法の構築が容易に
③4Gの普及により、いつでもどこでも誰でもインターネットのデータに高速でアクセスが可能に

サブスクリプションビジネスには、紙の会員券を発行し店内商品を食べ放題で提供するような、システムを必要としないアナログなアプローチもありますが、サブスクリプションビジネスが大きく普及した理由はスマホアプリの活用です。代表的なものに以下のようなサービスがあります。

◆サブスクリプションの例

・NetflixやHuluのような動画視聴サービス
・Google Play MusicやApple Musicのような音楽視聴サービス
・NewsPicksのような会員向けコンテンツ提供サービス
・Kindle Unlimitedのような本の読み放題サービス
・オンラインサロンのような月額制のコミュニティ参加サービス
・スタディサプリのようなオンライン学習サービス

サブスクリプションが伸びている背景には、AndroidやiPhoneにはそれぞれGoogle PlayやApp Storeなどのスマホアプリのプラットフォームがあるため、ユーザーへのアプリの普及および課金が容易に行うことができ、これにより、多くの企業がサブスクリプションビジネスに参入しやすくなっていることがあります。

「サブスクリプション」と「定期販売」「頒布会」「レンタル」との違いを整理しよう

まずは、事業者の方がサブスクリプションを理解しやすくするために既存のビジネスモデルと比較を行いました。

◆サブスクリプションとの比較表

サブスクリプション 定期販売 頒布会 レンタル
契約形態 使用・利用契約、
または権利の売買契約
売買契約 売買契約 レンタル契約
契約期間 期間制限は自由 期間制限は自由 1年など期間制限あり 期間制限あり
向いている商材 【全て向いている】
消耗品でも耐久品でも全ての商品
【消耗品】
健康食品、食品など
【消耗品】
健康食品、食品など
【耐久品】
CD、DVD、車など
支払い 毎月 毎月 初回一括支払い 初回一括支払い
向いている決済方法 クレジットカード、口座振替 クレジットカード、口座振替、後払い決済 クレジット、コンビニ決済、後払い決済 クレジット、コンビニ決済

①定期販売

定期販売は契約時点で商品(サービス)を指定します。その同じ商品を契約期間中に提供し続ける販売手法です。健康食品の定期購入や雑誌の定期購読がイメージしやすいのではないでしょうか。いずれも、同じ商品が一定の間隔でお届けされるものです。

これに対し、サブスクリプションは購入ではなく権利を得る点で大きく異なります。健康食品をサブスクリプションで提供をすることも可能です。例えば、健康食品をサブスクリプションで提供すると契約期間中、月に三つまで好きな健康食品を取り寄せすることができるサービスです。

サブスクリプションは「利用し放題」のイメージが強いですが回数制限してもサブスクリプションの定義から外れることはありません。デジタルではない商材は特に提供量に制限をかけないとビジネスとして成り立たなくなる場合があるため、回数制限を設けることもあります。

②頒布会

期間を定め、事業者がセレクトした毎月異なる商品をお届けするのが頒布会です。例えば、月ごとに異なる日本酒を1本ずつ1年間お届けするサービスなどです。頒布会の場合は期間中に途中で解約するといった考え方は通常ありませんので、最初に一括でユーザーが全期間分の料金を支払うケースがほとんどです(解約できる場合もあります)。

一方、サブスクリプションをこのサービスに当てはめてみるとまず、期間を定めません。毎月数ある中から自分で好きな日本酒を指定して取り寄せ続けることができるサービスになります。期間がないのでユーザーから長期にわたり売上が入るメリットがありますが、逆に短期間で解約されるデメリットもあります。

③レンタル

レンタルは、ユーザーが借りたい商品を指定し契約期間中貸与する提供方法です。例えば、

◆レンタルの例

・借りたいCDを1週間レンタルする
・借りたい軽自動車を1か月間レンタカーで利用する

借りる時点で、商品(CDと車)を指定しています。一方、サブスクリプションの場合は契約期間中であれば利用し放題の権利を与えるサービスになります。上記のシーンを下記のようにサブスクリプションに当てはめてみる

◆サブスクリプションの例

・1週間好きなCDを何回でも借り放題
・1か月間、何度でも好きな車に乗り放題

商品・サービスを指定する・しないの大きな違いがあります。同じものを繰り返しではなく様々なサービス・物を使いたい放題になるため、サブスクリプションにすることで、客単価をアップさせることが可能になります。

サブスクリプションの3つの事例

NetflixやGoogle Play Musicなどのスマホアプリをメインとしたサブスクリプションサービスの紹介がメインになりましたが、その他にも衣食住を提供するサブスクリプションサービスも続々と誕生しています。

事例①カフェのサブスクリプションサービス

少しずつですがサブスクリプション型が広がっている業種です。月額3,000円~5,000円程度でコーヒーが飲み放題となるサービスです。大手チェーンではなく、数店舗展開の小業態で取り組みが行われています。都心で目にすることもあり、筆者も以前の勤務先の近隣にあったため契約しました。毎日コーヒーを飲んでいるので、結構お得感のあるサービスでした。

事例②住居のサブスクリプションサービス

「ADDress」というサービスは、月額4万円で好きな場所に住むことが可能になります。同じ場所には何日間までという制限がありますが、北海道から九州まで日本各地に敷金礼金なく、また光熱費も含まれた定額で住むことができるサービスです。

事例③自動車のサブスクリプションサービス

自動車大手のトヨタも「KINTO」という自動車が乗り放題のサブスクリプションサービスを行っております。それ以外の企業も軽自動車が乗り放題の格安サブスクリプションを展開しております。車を保有するネックであった「頭金」や「税金」も不要になり、若者の車離れが叫ばれる今の時代にあった提供形態とも言えます。

事業者にとってのサブスクリプションのメリットとデメリット

事業者のメリット①マーケティングがカンタンに

「販売」ではなく「利用契約」に変わるため、ユーザーは大きな費用が必要でなくなるために売りやすくなります。言い換えると、モノやサービスを購入するときのユーザーの心的ハードルを下げることができるのでマーケティング活動が非常にカンタンになります。

車で例えると、新車購入で数百万円するものが、月々数万円で提供することで契約しやすくなります。それにより1台を販売するためにかけていた労力が軽減するので、販管費も抑えることにつながります

事業者のメリット②キャッシュフローの改善

毎月ユーザーが課金するモデルであるストックビジネスになるために、一定数の会員ユーザーを獲得することができれば企業のキャッシュフローが非常に安定します。

とはいえ、売り切りのビジネスモデルに比べると、一度に入ってくる売上は少なくなるため事業者は、キャッシュフローを増やすために、解約防止策と、新規ユーザー獲得に注力していく必要があります。

事業者のデメリット①利益を生み出す前に解約される

利用契約のため、中途解約リスクがあります。「販売していれば得られる売上」まで到達する前に解約になると、結果売上規模が縮小する懸念があります。とくにGoogle PlayやApp Storeで継続課金を行うと、GoogleやAppleへの支払いも生じ大きな負担となりますので、解約のキッカケを与えないようにする工夫が重要です。

早い段階で、使うだけ使い切りすぐに解約にならないためにも、継続してもらえるようにサービス面を強化する工夫が必要です。具体的には、毎月新しい商品・サービスを提供し「飽き」を感じさせないことです。

事業者のデメリット②ブランド力の減退

このような意見があります。下記は記事の引用文です。

通常の購入では、高級ブランド商品の単価を考えれば、ユーザーのプロファイルにもよりますが、意思決定前に相当な吟味・検討が行われるものと思われます。高級ブランドはセンスやスタイルの象徴にもなるので、ユーザーは自分の個性、目指すスタイルなどと各ブランドの世界観を比較して、慎重に購入可否を考えるわけです。そして、一旦購入に踏み切ったら使用経験とともに愛着を重ね、ブランドへの関与は深化します。

一方、サブスクはと言うと、それぞれのブランドや商品に対してそこまでの思い入れは無く、数多あるうちの1つを次々に選ぶようなプロセスになるのではないか、と思います。商品を所持・保有した喜びは通常販売モデルと比べれば低く、そのぶん関与は限定的になるでしょう。

上記引用先:日経クロストレンド 「サブスクは万能ではない! ブランド資産を破壊するリスクあり」

定量的なデータがあるわけではありませんが、確かに「使い放題」のサービスであれば、吟味・検討を重ねた商品に比べれば、そこまでブランドに対して愛着がわかないかもしれません。ブランドが売りの事業者であれば、中長期的にマーケットで、自社ブランド力が減退しないか?という点を事前に検討する必要があります。

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ABOUTこの記事をかいた人

井幡 貴司

forUSERS株式会社 代表。 株式会社インターファクトリーのWebマーケティングシニアアドバイザーとして、ebisumartやECマーケティングの支援、多数セミナーでの講演を行う。