【全解説】BtoB-EC市場と4つのBtoB-ECサイト構築手法


BtoBでのECサイトの活用は徐々に伸びており、経済産業省が2023年8月に発表した2022年度の市場調査では、BtoBのEC化率は37.5%であり、市場規模は420兆円という大きなマーケットになっております。

しかし、BtoBでのECサイトの構築はカンタンではありません。なぜなら、BtoBのECサイトには、独自の商慣習やビジネススキームがあるため、EC化が困難であったり、または、レガシーシステムとなったEDIを今だに利用しているなど、システムの刷新には大きなIT投資費用がかかるために新しいECシステムへの移行が容易にはできないからです。

そのため、中長期的に考え、これからBtoBのECサイトを導入・リニューアルを検討されている企業や担当者の方は、業務の生産性を高めるためにはSaaSシステムを導入をおすすめします。なぜならパッケージやフルスクラッチのECシステムを導入すると、数年後にはシステムが陳腐化し、再度リニューアルが必要になってしまうため、費用が負担が莫大で、企業競争力が落ちていく原因となりかねないからです。

この記事では、インターファクトリーでマーケティングを担当している筆者が、BtoB-ECサイトの市場を解説し、EDIやBtoB-ECの課題を解説した上で、4つのBtoBのECサイト構築手法を解説いたします。

※当記事においてデータや図は指定がない場合、経済産業省の最新の調査結果より引用:「令和4年度電子商取引に関する市場調査報告書」(経済産業省

目次

① BtoB市場でECの利用が伸びている!最新のEC化率は「37.5%」
② BtoB-ECサイトは「クローズドBtoB型」と「スモールBtoB型」の2つに分かれる
③ BtoB-ECサイトのよくある5つの課題
④ BtoBのECサイト構築は「小さく」「早く」が基本
⑤ BtoB-ECサイトの4つの構築手法について解説

① BtoB市場でECの利用が伸びている!最新のEC化率は「37.5%」

まずは、BtoB市場におけるEC化率の推移を見てみます。下記の表をご覧ください。

◆BtoB-EC市場規模の推移

BtoB-EC市場規模の推移2(-2022)

2020年度には、市場規模こそコロナ禍の影響で下がったものの、2022年度は2018年度と比べるとEC化率は約7%も伸びております。BtoCの最新のEC化率9.13%と比べて、BtoB市場のEC化率は37.5%と極めて高いといえます。

しかし、経済産業省のこのデータには「EC」と「EDI」の区分けがないため、EC化率の数字がBtoCよりもかなり大きく見えているのです。したがって、BtoBのECを理解する上で「EDI」を知っておいた方が良いでしょう。

BtoB(企業間取引)で使われるシステムの「EDI」を理解する

では、BtoB(企業間取引)で利用されるEDIについて解説します。なぜならBtoBのEC市場にはすでに解説したとおり、EDIが深く関与しているからです。

◆EDIの仕組み

BtoB(企業間取引)では既存の取引先と、毎月多くの取引処理が発生します。具体的には下記の取引処理をご覧ください。

◆既存取引先と生じる取引処理の例
・受注・発注
・請求・支払
・納品・出荷

取引の都度、紙や電話で、伝票作成や手続きを進めるのはお互いに大きな負担となりますし、また手作業では伝票の打ち間違えなどが生じ、大きなロスとなります。こういった問題を解決るするものが「EDI(Electronic Data Interchange:電子的データ交換)」です。EDIを導入するためには企業間で、以下の3つの取り決めを行います。

◆EDIを導入するための企業間の取り決め
・取引プロセス
・データ形式
・通信プロトコル

つまりEDIとは企業間取引を専用回線でお互いをつなげ、手作業だった伝票作業を電子取引化し、効率化を図ることです。例えば自動車業界のメーカーと部品メーカー間などでは、マーケットの需要と供給に合わせて部品の受発注処理を瞬時に行う必要があるため、EDIの導入が大きく進んでいる業界であり、世界中のメーカーと自動車部品供給会社がEDIの仕組みで繋がっているのです。

EDIはインターネットが普及するより以前の、1970年代から存在するため先に解説したEC化率には、EDIの利用を含んでおり、BtoBのEC化率が37.5%と大きい数字になっているのです。

しかし、大手企業に比べて立場の弱い中小企業が、取引先ごとに「専用端末」を用意するケースが多く、取引先ごとに違うデータ形式や仕様の違うEDIを使う必要があったり、業界ごとに利用するEDIが異なるなど、中小企業は、複数のEDIを利用しなくてはならないために、EDIを使用する企業全体で考えた時に効率の悪さが課題となっています。詳しくは下記の記事が非常に参考になります。

参考記事;インボイス・ISDN 受発注業務に危機

また、EDIの多くは古い「ISDN回線」を使っており、このISDN回線は2024年で終了するため、EDIの回線をIP網に置き換える必要があります。

関連記事:7つのポイントでEDIを優しく解説!EDIの必要性と課題

このような状況の中、EDIを使う業界の中では、EDIのリニューアルや、この機会にEDIからECサイトへの移行を検討する企業も出てきております。なぜならECサイトであれば、EDIでは行うことのできない最新のマーケティング施策や、精度の高い効果測定を行うことができるからです。

では、EDIの話からBtoB-ECの解説を続けます。

② BtoB-ECサイトは「クローズドBtoB型」と「スモールBtoB型」の2つに分かれる

それでは、BtoB-ECサイトについて解説いたします。まず、BtoBのECサイトは以下の2つに分かれます。

◆BtoB-ECサイトの2つのタイプ
タイプ1:クローズドBtoB型ECサイト
タイプ2:スモールBtoB型ECサイト

タイプ1は、得意先のみが使えるシステム間取引(EDIを含みます)です。タイプ2は、通常のBtoCのECサイトと同様に、日本中(世界中)がマーケットとなります。それでは一つずつ解説いたします。

タイプ1:「クローズドBtoB型」のECサイト(EDIを含む)は既存の取引先のみ限定利用!

クローズドBtoB型のECサイトの目的は「自社の受注業務の負荷を軽減すること」

・ターゲット:契約がすでにある「既存得意先」
・特性:得意先によって、商品の価格や、販売可能商品が異なる
・決済:与信管理を伴う

クローズドBtoB型のECサイト(EDIを含む)は、既存の取引先と頻繁に取引が発生する場合に利用されます。このECサイトを利用するのは、自社と取引先に限定されるため、非公開のECサイトであるべきです(あるいはEDIを利用)。そのため、ログインしてページが表示されたり、WEB上で検索しても表示されず、URLを知っている人にしかECサイトにアクセスできないなどの工夫がされております。

また、BtoBのECサイトでは、同じ商品でも、取引先によって価格が異なることがあります。なぜならBtoBの商習慣として取引額の大きい企業では割引率が高くなり、少額取引の企業では、割引率が低くなることもあるからです。このため企業によって適用する割引率を変える処理が必要になります。また、取引先企業によって、表示する商品も変えることもBtoBのECサイトではよくあります。

クローズドBtoB型のECサイトは決まった取引が一定量あり、企業間同士では効率的に見えますが、決まった人しかアクセスすることがないため、サイトデザインが「売手目線」になりやすく、使い勝手が悪いECサイトも多く見受けられます。

そのようなサイトには以下のような特徴が見られます。

◆使い勝手が悪いBtoB-ECサイトの例
・商品検索の際、型番検索しかできなくて不便
・在庫数がわからない
・入力補助機能がなく、入力作業が大変
・決まった形式のファイルしかアップロードできない

このように、クローズドBtoB型のECサイトでは、買手であるユーザー目線が損なわれているケースが多いです。そのため、せっかく得意先との業務効率化のためにBtoBのECサイトを構築しても、得意先が利用したがらず、従来のFAXや電話による発注に戻ってしまうと本末転倒になります。

タイプ2:「スモールBtoB型(スモールB)」のECサイトは日本中の企業がマーケット!

スモールBtoB型のECサイトの目的==>取りこぼし受注の回収、新規顧客開拓、売上増加

・ターゲット:ロングテール層の企業や見込み客
・特性:日本中からWEBで見込み客を開拓
・決済:銀行振込・代引き、クレジットカード等で出荷単位での決済

スモールBとも呼ばれるこのタイプですが、考え方としては通常のBtoCのECサイトと同じで、インターネットで公開しているECサイトのため、ターゲット顧客は日本中(あるいは世界中)の企業がターゲットとなります。

BtoBの取引は通常、営業活動メインで行われますが、企業の営業人員には限りがあるため、営業社員は、主に大企業や、取引金額の大きい企業に優先順位をつけて営業活動を行います。そのため小規模企業や取引金額の小さい企業への営業活動まで手が回りません。しかし、ECサイトを構築することで、小規模企業も顧客にすることができるのです。

また、ECサイトを設けることで、今までに問い合わせがなかった、地方からの新規取引や、個人からの購入も見込めます。スモールBのECサイトは、BtoCのECサイトに近いため、ECサイト構築は、クローズドBtoB型のECサイトと比べると比較的容易であることが多いです。

さらに、ECサイトを構築することで、営業支援(SFA)や顧客管理(CRM)アプリケーションを導入したり、最新のWEB施策を行うことができます。この点は、クローズドであるEDIには難しいことです。

③ BtoB-ECサイトのよくある5つの課題

それでは、これからBtoB-ECサイトの導入を検討される方も、すでに導入されている方にも知っていただきたい、よくある5つの課題を紹介いたします。

課題1:独自の業務フローや商慣習があるため、ECサイトの構築・リニューアルの負担が大きい

特にクローズドBtoB型のECサイトでは、特定の企業間取引が多く、独自の業務フローや商慣習が存在し、通常のECサイトと仕様が大きく異なります。そのため、ECサイトの構築は労力的にも金額的にも大きな負担となります。一般的に構築費用も数千万円から数億円になることも珍しくありません。

また、ECサイトを利用する得意先、代理店ごとに業務フローが変わるケースなどもあり、要件定義で業務フローをしっかり把握する必要があり、全ての業務フローを把握することは容易ではありません。

また、ECサイトのリリースまでに1年以上もかかる場合もあり、要件定義を行った時点と業務フローが異なってしまうこともあります。要件定義が終わり、システム開発のフェーズになっても、ECサイトを使用する現場スタッフと密にコミュニケーションをとり続ける必要があります。

課題2:自社の業務フローが属人化しており、ECサイト化できない

BtoBのECサイトは、取引先によって業務フローが異なったりすることや、取引先によって割引率が違うことから、担当ごとに独自のノウハウや、割引率や顧客を管理するエクセルなどのローカルドキュメントが存在し、それらの属人化しているノウハウやドキュメントを事前に把握しないとECサイトの導入に失敗してしまうこともあります。

このようなケースでは、属人化した業務の棚卸しを実施して、業務内容をドキュメントに整理をすることから始めます。

担当者が業務の棚卸しに積極的ではない場合は、担当者の仕事を奪うのではなく、業務効率化によって空いた時間で、担当者にはもっと売上を高める領域に関与して等のコミュニケーションを行わないといけません。

課題3:ECサイトの使い勝手が悪い

先にも解説しましたが、売り手の都合だけで、受発注処理のECサイト化を行うと、非常に使い勝手が悪いECサイトになる恐れがあります。使い勝手が悪いと、得意先のECサイトの利用率が下がり、従来のアナログの受発注方式に戻ってしまい、いつまでたっても業務効率化ができません。

このようなことがECサイトのローンチ後に、起きないように事前に得意先の担当者に管理画面のデザイン画面を見せて、意見をもらって開発するようにするべきです。

管理画面が使いやすいとなれば、得意先も自然とECサイトを利用してくれるようになり、年間で見ると売上増加に結び付くことにつながりますので、管理画面の使い勝手は非常に重要です。

課題4:基幹システムとの連携にはコストも労力もかかる

BtoB事業者でも、大手事業者であればECサイトを基幹システムと連携させて運用しなくてはなりません。その際に単にシステム連携を行うだけでなく、

「受注残管理はECサイトで行うべきか?それとも基幹システムで行うべきか?」
「取引先管理を従来どおり基幹システムで行いたいが・・それは正しいのか?」

など、機能をどちらにもたせるか?あるいはデータ連携をどのように行うべきか?という課題があります。その際は、変更が多い要件はECサイトで行い、変更の少ない要件は基幹システムに機能を持たすべきでしょう。

なぜなら、基幹システムのシステム改修は非常にコストがかかります。それに比べるとECサイトの改修は安価です。例えば受注残管理などの要件が固まっている機能は基幹システム側で行い、ECサイトは利便性を高める方に集中すべきでしょう。

課題5:せっかく導入した新システムを利用してくれない社員がいる

従来の受発注システムに慣れている社員や、あるいは実績が豊富なベテラン社員の中には、新しい仕組みやシステムに反発する声があります。

筆者の経験ですが、BtoB向けのサーバー販売部門に、新しい受発注システムを1年以上かけて導入しましたが、営業社員の中には、反発して使ってくれない方が多くおりました。

結局、全社員が使うに至るまで半年以上かかった経緯があり、このようなことにならないためには、ECサイトを導入する際は、営業社員との意思統一しながらECサイトの導入を推進したり、現場リーダーの強い指導力が必要となります。

④ BtoBのECサイト構築は「小さく」「早く」が基本

クローズドBtoB型のECサイトの目的は「自社の受注業務の負荷を軽減すること」です。そのためBtoBでECサイトを構築・リニューアルする場合は、現在の全ての業務フローやスキームをシステム化するのではなく、取引量が多い(業務負荷が多い)処理をメインにECサイトに業務反映させることが重要です。

最初から複雑な処理や、ニッチ処理全てをシステム化するのは、非常に時間がかかりますし、実現できないこともあります。また、開発中に業務フローが変わってしまうこともよくあるからです。まず、目指すは80点のECサイトを作り、ECサイトでカバーできない処理は、従来の運用でカバーし、徐々にECサイトを使った業務改善をしていくことをおすすめします。

筆者も10年以上前に、大手メーカーの受発注システム導入にITコンサルタントとして携わったことがありますが、いきなり全てのシステム化を行わずに、営業がエクセルで「見積書兼発注書」の作成に大きな時間を割いていることを分析した上で、見積書兼発注書をPDFファイルに自動作成するシステム化を行い、業務効率を大幅に改善したことがあります。

この事例のポイントも、全体の20%程度存在するシステム化が複雑な見積書兼発注書の作成に対しては、従来のエクセルの手作業を残したことです。

残りの20%の開発を行わなかったことで、開発期間を大幅に短くし、すぐに現場に使わせることで、改善点を改修し、現場に利用してもらえるシステムになったのです。

⑤ BtoB-ECサイトの4つの構築手法について解説

BtoBでECサイトを構築するためには主に下記4つの手法があります。

・ASP
・パッケージEC
・クラウドEC
・フルスクラッチ

これらの手法について一つずつ解説します。

手法1:「ASP」を利用して安く早くECサイトを構築する

ASPとはApplication Service Provider(アプリケーション サービス プロバイダー)の略で、ブラウザーの管理画面でサービスを提供しているSaaSシステムで、手軽に安くシステムを導入できます。デメリットは各社毎に独自のカスタマイズが難しいことや、基幹システムなどと外部連携がしづらいことです。

ASPの大きなメリットの一つは「システムが古くならない」ことであり、初期費用も数十万円、月額も数万円と自前でシステム開発を行うよりかなり安くECサイトを作ることができます。もし、業務フローをASPにあわせることができるなら、非常に費用対効果の高いECサイトを構築することができます。またECサイトのデザインに関しても、テンプレートデザインが数多く用意されており、ある程度のデザインカスタマイズも可能です。

まずは、ASPの仕様が、自社の業務フローをどのくらいカバーできるか?事前調査を行います。昨今では、下記のようなBtoB専用のASPもサービスが提供されており、予算が限られている企業や、基幹システムとの連携が不要な場合では導入を検討すべきECシステムは「ASP」となります。

BtoB EC・Web受発注システム「Bカート」

手法2:「パッケージEC」をカスタマイズしてECサイトを構築する

もともと、ECとしての基本機能が実装済みのパッケージのECシステムを自社のBtoB-EC用にカスタマイズしてECサイトを作る方法です。カスタマイズや基幹システムと連携することがパッケージECを導入する前提ですから、費用は数百円万~数千万円が相場となります。パッケージECは、各社よりサービスが提供されておりますが、ベンダー選びの基準は、やはり自社の業務フローに対応したパッケージECを選ぶことや、自社に近いBtoBの事例があるパッケージベンダーを選ぶことにあります。

なぜならカスタマイズが前提とはいえ、カスタマイズがなるべく少ない方が開発費用・期間を圧縮できますし、新規の開発部分が少なければバグも少なくなり品質も高まるからです。パッケージを検討する際は、パッケージベンダーの事例を情報収集しておきましょう。

パッケージのデメリットは、ECシステムが数年で陳腐化することです。つまりパッケージとは、開発時は最新のバージョンのパッケージであっても、開発期間には半年から1年以上かかることからリリースする頃には、古いバージョンにならざるを得ないからです。そしてBtoBのECサイトは複雑な開発であることが多いため、開発期間が長い傾向があり、どうしてもECシステムの陳腐化が生じてしまうのです。

手法3:「クラウドEC」をカスタマイズしてECサイトを構築する

ASPのデメリットは、カスタマイズがしづらいことです。しかし、フルカスタマイズ可能なクラウドECであれば、システムが常に最新に保たれたまま、個社ごとの独自のカスタマイズに対応することができます。「ASP」と「パッケージ」の両方の良いところを持っているのが最大の特徴です。

クラウドECのコスト感は、初期費用、月額費用ともパッケージとほぼ同じ相場感になりますが、パッケージやフルスクラッチで作ったECサイトは3~5年でシステムが古くなってしまい、数年後にはシステムをリニューアルする必要がありますが、クラウドECはシステムが古くならないので、リニューアルが不要のため中長期的にコストが安くなります。

特にBtoBのECサイトを構築することは大きな負担となるため(一度導入すれば)リニューアルが不要なシステムを選択することは、メリットが中長期的にみて大きいのです。ただし、クラウドのため、ソースコードが公開されておらず、導入企業にしてみればブラックボックスですから、ソースコードの開示性が必要な企業とは相性が良くありません。

手法4:フルスクラッチでBtoBのECサイトを作る

フルスクラッチとは開発会社に依頼して、ゼロからECサイトを作る方式です。

最大のメリットは、ECサイトを完全に自社用にカスタマイズできるので、予算があれば全てを実現でき、システム連携などを含めて最も拡張性がある開発手法と言えます。またBtoBのECサイトの開発は、通常のECサイト開発には少ない、個社ごとの独自のフローを実現させる必要があることから、フルスクラッチはBtoBのECサイト開発には相性が良いとも言えます。

しかし、フルスクラッチは、費用とコストが最もかかる開発手法であることと、またECサイトには独自のノウハウがあるため、それを知らない開発会社がECサイトを作ると、ユーザービリティが悪かったり、古いデザインのECサイトになったり、最新のWEB施策が行えないことになる可能性があります。

昨今は、パッケージECやクラウドECがBtoBの機能を拡張し、BtoBの事例が増えてきたため、フルスクラッチの柔軟性や拡張性のメリットが薄れてきております。フルスクラッチではコストがかかり過ぎる大きなデメリットがあります。

BtoBのECシステム導入のような大きなIT投資ではなるべくSaaSシステムを導入すべき!

BtoBのECシステムを導入する4つの手法を解説しましたが、どの手法を導入すべきでしょうか?

まず、パッケージやフルスクラッチを導入してしまうと、システムのセキュリティや最新性を保つために追加改修が発生しますし、適宜更新を行っていってもシステムの陳腐化が3~5年で必ず発生します。それを避けるにはシステムの最新性が常に保たれる「ASP」か「カスタマイズ可能なクラウドEC」を導入するしかありません。つまりSaaSシステムの導入です。

また、下記をご覧ください。JUAS(一般社団法人 日本情報システムユーザー協会)の調査によるものですが、約7割の企業が、自社で開発したレガシーシステムを採用しているために自社のデジタル化の足かせになっているとの調査結果があります。

◆約7割の企業が、老朽システムが、DXの足かせになっていると感じている

データ引用先:DX(デジタルトランスフォーメーション)レポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~(経済産業省)

こういった背景から、ECサイトにおいてもSaaSシステムを使うことで企業の生産性や投資効率を高めていかなくてはならないのです。

ECシステムに投資できる予算が少ない企業や、基幹システムなどの外部システムとの連携が不要なBtoBの構築であれば「ASP」でECサイトを構築し、クローズドBtoB型のECサイト構築や、EDIからのECサイトへの移行、独自のビジネスフローをECサイトで実現させるならば、クラウドECをカスタマイズして、ECサイトを作るべきです。

なぜなら、ASPもクラウドECも、「システム保守」や「セキュリティ」「ECの時流」を運営者が意識しなくても最新に保たれるため、ECの運営に専念できるためです。

これからBtoBのECサイト構築やリニューアルを検討している企業、担当者の方、EDIからECサイトへの移行には弊社のカスタマイズ可能なクラウドECの「ebisumart」も、他社とあわせてご検討ください。料金など詳しくはお気軽にお問い合わせください。

ebisumartホームページ:BtoB向けECサイト


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ABOUT US
井幡 貴司
forUSERS株式会社 代表取締役。 株式会社インターファクトリーのWEBマーケティングシニアアドバイザーとして、ebisumartやECマーケティングの支援、多数セミナーでの講演を行う。著作には「図解 EC担当者の基礎と実務がまるごとわかる本」などあり、執筆活動にも力を入れている。