ECサイトと実店舗を連携させて実現する5つのポイント


「ECサイトと実店舗の連携を他社はどのように実現しているのか?」
「ECサイトと実店舗を連携するとどのようなことが自社で行えるのか?」

と考えるEC事業者の方も多いのではないでしょうか?
ECサイトと実店舗を連携させることで、ユーザーの利便性が高まります。その結果、店舗・ECサイトの利用回数が増え、大きく売上を向上させることが可能です。

しかし、一方で、

・ECサイトと実店舗のシステム連携
・店舗スタッフのモチベーション向上
・ECサイト利用率の改善

などの取り組みを行わなければ、大きな成果を上げることはできません。

なぜなら、ECサイトと実店舗のシステム連携のハードルは高く、さらにシステム連携に成功したとしても、そもそもECサイトがユーザーに認知されていなかったり、あるいは店舗スタッフからECサイトが疎まれてしまっていたりしては、事業者は連携によるメリットを享受することができないからです。

本日はインターファクトリーでマーケティングを担当している筆者が、ECサイトと実店舗の連携について5つのポイントに分けて解説いたします。

ECサイトと実店舗を連携させることで実現する5つのポイント

それでは、ECサイトと実店舗を連携させるとどのようなことができるのか、実際の事例を交えて5つのポイントに分けて解説します。

ポイント①ECサイトで注文し、店舗で商品を受け取る

ユーザーがECサイトで購入した商品を自宅で受け取る場合、以下のような不便さを感じる場合があります。

◆ECサイトで購入した商品を自宅で受け取る場合にユーザーが不便さを感じる2つの点

①送料がかかる
②不在で商品が受け取れない

便利なECサイトですが、このような点は不便に感じたことがあるはずです。

そこで、商品の受け取り場所を自宅ではなく実店舗にすることで、送料が無料になり、さらに商品を自分のタイミングで受け取ることができます。これはユーザー及び事業者の双方にメリットがあります。

なぜなら、ユーザーが商品を受け取りに来店するということは、ユーザーへの店舗誘導施策にあたるからです。事業者は店舗内での「クロスセル」を見込め、売上向上が期待できます

この点は、ユニクロがアプリから実店舗への誘導を強化しています。下記の事例記事が非常に参考になるので、あわせてご覧ください。

参考記事:ユニクロの実店舗とネットの融合をめざす「有明プロジェクト」の進捗状況は?通販新聞

ポイント②店舗にない商品をECサイトで受注する

来店してくれたユーザーに対して、ユーザーが好んだ商品のサイズや色の在庫が店舗にない場合、

スタッフ「店舗にないので、お取り寄せしましょうか?」
ユーザー「いえ、今日はやめておきます」

となるケースも多いのではないでしょうか?このようなケースは1店舗だけならばそこまで頻繁にはないかもしれません。しかし全店舗で起こると考えた場合は、無視できないくらいの大きな機会損失となります

もし、ECサイトと実店舗が連携できていれば、ユーザーに

スタッフ「ネットショップに在庫がございます。こちらから注文していただくと、ご自宅に配送できます!」

とECサイトに誘導することができ、機会損失を防ぐことができますし、何よりもECサイトを認知していなかったユーザーに対して、ECサイトの利用を促すことができます。このような誘導は機会損失を防ぐだけでなく、ECサイト利用率を高めることにもなるのです。

もし、事業者がAmazonや楽天市場、ZOZOTOWNなどに出店している場合も、なるべくなら、モールよりも利幅が大きい自社ECサイトで購入してほしいはずです。ですからユーザーに自社ECサイトを認知させ、購入してもらうことは、今後繰り返し利用してもらうキッカケとなるので、事業者には多くのメリットがもたらされるのです。

アパレルブランドのGU(ジーユー)では、店舗の専用ショッピングカートにモニターとセンサーが付属しており、店舗の商品をセンサーにかざすことで、店舗とECサイト、両方の在庫状況がモニターに表示される仕組みになっており、ECサイトの商品を選ぶと、店舗受け取りか自宅配送が選択することができるようになっています。

下記の記事は、実店舗とECサイト連携の最新の形が紹介されているので、あわせてご覧ください。

参考記事:大手小売のEC連動施策――ユニクロ、イケア、ジーユー、青山商事の4事例ネットショップ担当者フォーラム

ポイント③アプリ(ECサイト)でキャンペーンやクーポンを訴求して店舗へ誘導する

ユーザーがアプリ(ECサイト)をスマートフォンにダウンロードしていれば、店舗で使えるキャンペーンやクーポンを発行して、実店舗への誘導を強めることができます。

さらに、アプリはプッシュ通知を行うことができるので、ユーザーが店舗にいないときでも、自社のアピールを強く行うことができますし、開封率を見ても、メルマガよりも効果的です。弊社のパートナーである、株式会社ヤプリの記事※によると、

・メルマガの開封率は約10%
・プッシュ通知の開封率は約30~40%

となっています。ただし、いくら開封率が高くてもアプリが普及していなければ効果が望めません。そのためには、アプリを利用者にダウンロードしてもらう仕組みが必要となるので、実店舗で、会計時にユーザーに特典を案内して、アプリダウンロードを勧めるなどの施策が必要となります。

下記の事例記事には、プッシュ通知を送るべき時間帯なども解説されているので、ぜひご一読ください。

※参考記事:【事例あり】プッシュ通知の基礎知識。アプリの効果を最大化するプッシュ通知3つのメリット株式会社ヤプリ

ポイント④実店舗ユーザーをECサイトの定期販売商品へと誘導する

もし、店舗やECサイトで扱っている商品が

・高級シャンプー
・サプリメント
・プロテイン

などの、その店舗でしか手に入らないものであり、繰り返し消費される消耗品であるなら、店舗のスタッフが

スタッフ「ECサイトで定期販売をお申し込みいただければ、毎月ご自宅にお届けできます!」

と「定期販売」を訴求することもでき、確実に毎月の売り上げを積み上げることができます。

また、ECサイトで定期販売の申し込みを受け付けることで、店舗スタッフにも特別な定期販売用のシステムや業務フローを導入させる負荷や手間もかかりません。

ただ、定期販売登録したユーザーが来店する回数が少なくなる懸念もあるので、それを踏まえて、ECサイトに定期的に訪問してくれるような工夫をするなど、WEBマーケティングも必要となります。

定期販売については、下記の記事をご覧ください。

参考記事:ECでこれから定期販売を始める事業者が押さえるべき5つのポイント

ポイント⑤スムーズな返品対応

アパレルECサイトでは、いかに返品をスムーズに行うかが、ユーザー満足度を追求するにあたって、非常に大切なことです。なぜならアパレルECサイトでは、サイズ感が分かりにくいからです。

アパレルECサイトで買い物するユーザーの中には、サイズに満足していないユーザーがどうしても一定数存在してしまうので、繰り返しECサイトをユーザーに利用してもらうためには、スムーズな返品対応が必要なのです。

例えば、Nike.comで買った靴には「返品・サイズ/カラー交換用紙」が同梱されており、サイズが合わなければ、スムーズに返品可能です。返品対応がスムーズであれば、ユーザーはそのECサイトで買い物をすることに抵抗を感じにくくなるため、リピート施策ともなります。

そして、店舗とECサイトがあるのなら、ECサイトで買った商品を店舗で返却できるフローがあれば、非常に魅力的です。なぜなら返品対応を現場のスタッフがしっかり行うことで、下記記事にあるようにユーザーのロイヤリティを高めることにつながるからです。

事例:リピーターを生む「返品対応」とは? EC事業者のピンチをビジネスチャンスに変える5つのヒントネットショップ担当者フォーラム

また、ニトリでは、ネットショップで購入したものは店舗で返却できる、とご利用ガイドに記載があり、これは大変便利な仕組みだと思います。

ご利用ガイド(ニトリネット)

ECサイトと実店舗を連携させる3つの注意点

注意点①ECシステムと実店舗のシステム連携はフェーズを分けて行う

中・大規模の事業者の場合、ECシステムと実店舗で運営している基幹システムの連携には、膨大な費用がかかり、おおよそ数千万円から数億円という大規模なシステム開発となります。そのため開発期間が1年を超えることも珍しくはありません。

また、昨今はDX(デジタルトランスフォーメーション)に対応するため、企業のECシステムと店舗の基幹システムの刷新に取り組む企業も多く、数年後に全てが完璧に連携(完成)できてからリリースするという開発手法だと、当初想定していない事象が発生したり、開発期間中に業務プロセスとギャップが生じたりするなどのリスクが大きくなります。

下記の記事によると1年以上のシステム開発プロジェクトの平均成功率は67%であり、残りの3割以上の確率でプロジェクト失敗の可能性が潜んでいるのです。

参考記事:4年前と変わったか?プロジェクト成功率の実態日経クロステック

そのため、ECシステムと実店舗の連携のような大規模開発は、フェーズを分けて、実現できる機能ごとにリリースしていくのが、開発プロジェクトの成功率を高めることにつながります。

◆フェーズ分け段階的リリースの例

フェーズ①ECシステムのみリニューアル(データ未連携)

フェーズ②実店舗のシステムリニューアル(データ未連携)

フェーズ③ECシステムと実店舗の一部データの連携実施

フェーズ④ECシステムと実店舗の全データの連携実施

フェーズ⑤ECシステムと実店舗のデータ連携を利用した新サービスをスタート

なぜなら、フェーズを分けて機能ごとにリリースすることで、フェーズ(機能)ごとに本番環境で検証し、問題がないことを確認してから次の工程に移ることができるため、結果としてリリース時のギャップを少なくすることにつながるからです。

注意点②実店舗のスタッフのモチベーションを下げないようにする

先に紹介した事例のように、ECサイトと実店舗が連携することで、来店したユーザーがECサイトで注文することも可能になります。ユーザーにとっては利便性が高まりますし、事業者にとっても、ユーザーがECサイトを認知して、ECサイト会員を増やすことができるなど多くのメリットがあります。

しかし、この施策は連携を推進する本社スタッフと、店舗スタッフとの意思疎通ができていないと、店舗スタッフのモチベーションが下がってしまうケースがあるのです。

なぜならECサイトの存在をユーザーに勧めてしまうことは、店舗スタッフや店舗の売上を減らすことにつながるからです。下記記事によると店舗のアパレルスタッフのうち、約8割はECサイトを勧めていないそうです。

参考記事:【店頭スタッフの本音】接客時に「ECは勧めていない」は8割超、「ECは脅威と感じる」は5割ネットショップ担当者フォーラム

店舗からECサイトの誘導は、店舗スタッフや店舗側が不利にならないよう、「ECサイト紹介数」などのKPIを設定するなど、店舗スタッフとコミュニケーションをしっかりとる必要があります。

注意点③ECサイトの利用率を高める工夫が必要

もし、実店舗の売上が99%以上で、ECサイトの利用率が1%程度だとすると、そこからECサイトの利用率を高めるのは容易ではありません。例えば、私が最近耳にした実際の話ですが、とある靴のチェーン店では、ECサイトの利用率は1%しかなく、ほとんどが実店舗で買い物をするユーザーだそうです。

アパレル業界のEC化率は平均13%※程度ですから、自社のEC化率(利用率)が10%に達していなければ、実店舗とECサイトの連携による売上増や顧客満足度の効果を感じることは難しいかもしれません。

※参考記事:【2020年版】国内EC市場のEC化率|BtoCとBtoBをプロが徹底解説

ECサイトの利用率を高めるには、主に以下のような施策があります。

・ECサイト限定商品やキャンペーン実施
・店舗からECサイトへの誘導
・ECサイトを利用した返品対応
・ECサイトのアプリ化

とはいえ、実店舗が多くあるような大手小売事業者ほど、実店舗の利便性が高く、ECサイトがなくてもユーザーが不便さを感じていないために、ECサイトの利用率を高めるのはかなり難易度が高い場合があります。

現在はコロナ禍で、人々は外出を控える時代となったため、残念ながら多くの実店舗の売上が下がっているはずです。しかし、一方ではコロナ禍はEC利用率を高めたい企業にはチャンスとも言えます。

この機会にECサイト利用率を高め、コロナが収束した後には、ECサイトと実店舗を連携させたサービスをユーザーに普及させ、競合他社に差をつけることができるからです。

ECサイトと実店舗を連携させる場合は、カスタマイズ可能なクラウドECが向いている

ECサイトと実店舗を連携させるのでしたら、ECサイト側のシステムに拡張性や柔軟性がなくてはなりません。また、ECサイトと実店舗を連携させる開発は大規模となるため、開発期間が1年を超えることも珍しいことではありません。

そうなると、パッケージやスクラッチ開発の場合、その開発期間の間にもシステムが陳腐化してしまうため、ECサイトリリース時には、新たなセキュリティ対策が必要になったり、時流から遅れたECサイトになったりする可能性があるのです。

その懸念を払しょくするためにも、中・大規模向けのカスタマイズが可能なクラウド型のECプラットフォームを利用すべきです。なぜなら、クラウド型のシステムは常に最新のバージョンとなるためシステムが陳腐化しないからです。

弊社のebisumartは、多くの連携実績のあるカスタマイズ可能なクラウドコマースプラットフォームです。ECプラットフォームを検討中の方は、ぜひebisumartの公式ページもご覧ください。

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ABOUTこの記事をかいた人

井幡 貴司

forUSERS株式会社 代表。 株式会社インターファクトリーのWebマーケティングシニアアドバイザーとして、ebisumartやECマーケティングの支援、多数セミナーでの講演を行う。