【2020年版】世界のEC市場規模と各国ECランキングまとめ


2021年7月に経済産業省から発表された、全世界のBtoCのEC市場規模の予測推計値(旅行・チケット販売を除く)によると537兆円※の市場規模であり、2023年まで二桁成長の高い市場成長を続ける見込みです。
※1ドル110円で計算

当記事においてデータや図は指定がない場合、経済産業省の最新の調査結果より引用:「令和2年度 産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」経済産業省

EC市場が急激に成長している背景にはインターネット人口が飛躍的に増加したことが関係します。昔はインターネットにアクセスするには高額なパソコンが必要でしたが、中国や途上国を中心に低価格のスマートフォンが普及したため、インターネット人口が急激に伸びました。

そのため先進国から途上国まで世界中、誰でもECサイトで買い物をすることが可能になり、今後も人口が伸び続けるインドやアジア新興国を中心に、さらなるEC市場の拡大が予想されます。

本日は経済産業省が2021年7月に発表した調査結果をもとに、ebisumartでWEBマーケティングを担当している筆者が、世界のEC市場規模について詳しく解説いたします。

世界のBtoC-EC市場規模の予測値(旅行・チケットを除く)

まずは、経済産業省の資料に世界のEC市場規模の2024年までの予測値のデータがありましたので、ご紹介いたします。なお、このデータの出所は「eMarketer,December 2020」をもとに経済産業省が作成したものであり、経済産業省が他で発表している統計データと異なります、あくまで予測値であるという前提を踏まえてご覧ください。

そして、下記グラフの赤字で補足した日本円のレート換算は2021年9月の平均レート「1ドル110円」で計算しており、過去や未来のレートを反映していない点もご注意ください。

◆世界のBtoC 電子商取引市場規模

 

棒グラフは市場規模、折れ線グラフは対前年の成長率を表します。成長率こそ下がっているものの世界のEC市場は右肩上がりに堅調に今後も推移して行きます。先進国では、すでにインターネットは普及していますが、物流や配送に課題を抱えていることがあり、各国によってECの普及率に差が生じます。

例えば、日本でもECの市場規模は伸びてはいますが、市場規模の大きい食品や医療業界のEC化が進んでいないこともあり、今後、画期的なサービスがこの分野において、新たに生まれないと、日本のEC化率をあげるのは困難と思われてましたが、2020年に世界中を覆った、コロナ禍の影響により、この予測よりも、今後は急激にEC市場が伸びるのは間違いありません。

では、次に経済産業省の発表のデータにある、世界各国の2019年度のEC市場規模のランキングを見てみましょう。

世界各国のEC市場規模ランキング

◆世界の各国別BtoC-EC市場規模(2019年vs2020年)

 

※出所 eMarketer,May2020 Dec 2020より作成(旅行・チケットを除いた金額)

ECの市場規模において中国が圧倒的に1位であり、対前年比が27%増で急激に成長を続けております。米国もコロナ禍の影響により、対前年比32%増と、急激に伸びておりますが市場規模において大きく中国と差がついております。

日本は市場規模において世界4位であるものの、コロナ禍においても成長率がたった14%増と程度と低く、市場規模も世界と比べるとそこまで大きくなってはおりません。先に書いたとおり日本の中でEC化が進んでいる業界と、そうではない業界で2極化しており、日本市場に画期的な新たなサービスが生まれない限り、この状況は改善していきません。

インドのECの市場規模は、世界ランキングだと8位ですが、インド企業において「ユニコーン(企業価値10億ドル以上の未上場企業)」が急増しております。

下記の記事によると、中国指導部による、中国の民間企業の締め付けにより、世界のベンチャー投資マネーの受け皿としてインド企業が注目を浴びているのが一因になっているのです。

参考記事:インドのユニコーン急増 「オンラインBtoB」がけん引

それでは、各国EC市場の状況を解説してまいります。

各国のEC市場の状況

中国EC市場の状況

中国のEC市場規模は世界一位であり、2位の米国と圧倒的な差があります。世界のEC市場を牽引しているのは間違いなく中国と言えます。その市場規模を支えているのは、中国のインターネット人口です。最新の調査によると、中国ではコロナ禍にためインターネット人口がさらに増え、10億人に迫ると下記記事では言及されております。

 

参考記事:中国ネット人口10億人迫る 普及率7割超、コロナで活用拡大

このことから中国人のインターネット人口が、世界のEC市場の伸び率に大きく影響しているのかがわかります。

EC市場の中でも、大きな市場の日常消費財ですが、利益率の低さと、配達の遅れが大きくEC市場の伸びの妨げになっています。中国のEC大手の「アリババ」と「京東」は、フルフィルメントセンターのネットワークを構築し、この点の改善に取り組んでおり、日常消費財をECで購入するユーザーも増えていることでしょう。

参考記事:アリババの「ニューロジスティックス戦略(新しい物流)」がスタート!?

しかし、このように好調な中国のEC市場において、大きな出来事がありました。それが中国当局による、アリババやテンセントなどのプラットフォーマーに対する規制強化です。

中国当局は、プラットフォーマーとは緊密な関係を築いておりましたが、アリババやテンセントなどが「出店者への価格のつり上げ」「ライバルサービスへのリンク禁止」などの独占的行為があったとして、中国当局は、市場の競争が阻害されることを懸念したために、規制強化を実施するにいたったのです。

参考記事:〝聖域〟はなぜ崩れたのか 中国「アリババ規制」の真意

市場が巨大企業によって寡占が進むと、第二のアリババが生まれにくくなります。そのような状況は中国当局も望まずにプラットフォーマーへの規制へと繋がりました。今後はこのような規制を乗り越えて、どのように中国のEC市場が伸びていくのか?あるいは鈍化するのか?今後の推移に着目しましょう。

米国のEC市場の現状

中国に続き2位の米国のEC市場は、絶えず、新しいITサービスを生み出す国で、世界中のIT関係者が、その動向を注目しております。特に有名なECサイトはAmazonですが、実はAmazonだけではなく、アメリカにはそれぞれのジャンルで高いシェア率のECサイトがあり、大手小売で世界一のWalmartやTargetなどのチェーン店もECを展開しております。またCtoCでは、eBayが最も人気があります。

近年は、米国ではモバイルでのECショッピングが伸びており、その伸び率を支えているのがGoogle PayやApple Payといったモバイル決済です。モバイル決済は音楽や書籍などのデジタルコンテンツの決済方法として使われていましたが、ECサイトでの導入も進んでいます。モバイル決済の普及がEC化率の伸び率に影響を与えていくでしょう。

米国では、AmazonやGoogle、Apple、Facebookといった超大手インターネット企業だけでなく、Uberなどのユニコーン企業も次々と誕生しており、世界のインターネット産業の中心地であり、誰もが想像のしないサービスが生まれれば、一気にEC化率が伸びるポテンシャルがあります。

データ及び考察の参考サイト:E-commerce in the United States – Statistics & Facts

米国は、コロナ禍において大きなダメージを受けた国の一つです。そのため各都市でロックダウンが行われ移動が制限されたことから、急激にECサイトの需要が高まりました。下記は、日本貿易振興機構が発表している2020年10月時点の米国におけるECサイトの売上ベスト10です。

◆米国のECサイト売上ベスト10

アマゾン EC売上高:3,095億8,000万ドル、EC市場シェア:39.0%
ウォルマート 462億ドル、5.8%
イーベイ 388億ドル、4.9%
アップル 275億1,000万ドル、3.5%
ホームデポ 167億1,000万ドル、2.1%
ベストバイ 157億ドル、2.0%
ターゲット 138億2,000万ドル、1.7%
ウェイフェア 116億6,000万ドル、1.5%
クローガー 112億8,000万ドル、1.4%
コストコ・ホールセール 111億8,000万ドル、1.4%

データ引用先:2020年の米EC売上高、新型コロナ感染拡大で急増(JETRO)

Amazon以外にも、WalmartやTargetなどのスーパーのECサイトが売上ベスト10に入っており、日用品や食料品などの需要も相当高まっているのです。どの国においても、ECの普及を広めるにはこのような日用品や食料品においてのECの普及が必要であり、コロナ禍においてECの普及が進んだと言えるのではないでしょうか?

イギリスのEC市場の現状

イギリスのEC市場規模は人口(約6500万人)の割には大きく、人口が1億2,700万人である日本を抜いて世界で3位に位置しております。その理由は、ECサイトの高い利用率です。

51%のイギリス人ユーザーが店舗より、オンラインでの買い物を好むデータがあります。その中でも25歳~34歳のグループが最も活発にオンラインで買い物をしており、平均で月8回の買い物をしているアンケート結果があります。この結果からもわかる通り、ECの利用率が高いために人口がイギリスの約2倍の日本よりも、ECの市場規模が大きいのです。

イギリスで人気のある大手ECサイトはAmazon(16%)、TESCO(9%)、ebay(8%)です。また英語であることから、他国からの越境ECでの購入や、イギリス人による他国サイトでの購入も盛んです。

決済方法はクレジットカード決済が40%、デビットカードが35%、ペイパルが21%と、アメリカと似ており、クレジットカードやデビットカードでの決済が支持されております。

イギリスのEC化率の課題は、物流業者の配送の品質が高くないことですが、Amazonなどのネット事業者が物流体制の整備に乗り出しており、こういった課題は中国と同様にEC事業者によって整備されていくことが考えられます。

データ及び考察の参考サイト:Ecommerce in The United Kingdom

イギリスも、コロナ禍においてはECの重要が急激に高まりました。下記の記事によると下記のような特徴があっと書かれております。

✓オンライン購入が増えた
✓食料品のオンライン購入が増えた
✓65歳以上のオンライン購入が増えた

参考記事:コロナウィルスによるイギリス食料品EC市場の動き

イギリスにおいては、2019年度の2020年度のEC市場規模を比較すると34%も伸びております。ECの市場規模が近い、日本は14%しか伸びておらず、このような急激な伸びはオンラインに馴染みのない65歳以上のユーザーの利用がコロナ禍によって進んだことが一因ではないでしょうか?

多くのユーザーにオンラインの利用が広がると、ECの市場規模が増えていきます。イギリスは今後も高いEC市場規模の成長が見込めるでしょう。

日本のEC市場の現状

日本のEC市場の特徴は、EC市場規模の伸び率の低さにあります。EC市場規模が伸びない原因はいくつかありますが、筆者は以下のような点が問題だと思います。

・日本の企業風土が古く、オンライン化に対応できていない企業が多い
・食品業界など市場規模の大きい分野でEC化率が進んでいない
・シニア層は特に現金決済が主流であり、クレジットカードを使うことに抵抗がある

しかし、2020年からのコロナ禍の影響により、巣ごもり需要が高まりECの利用率は急激に高まりEC化率は2019年度の6.76%から8.08%まで高まりました。これはかつてないほどの伸び率となりました。

◆日本のEC化率

下記記事のデータによると日本国内においても65歳以上のオンライン利用は進んでおります。

参考記事:高齢者層のネットショッピング利用率が3割を突破。緊急事態宣言でECシフトがさらに進みそう【ネッ担まとめ】

高齢者層のオンライン利用の普及は、EC化率を伸ばすための大きな要因となり、今後はイギリスのように伸びていくことに筆者は期待いたします。なお、日本のEC市場については過去の記事で詳しく解説しておりますので、こちらをご覧ください。

過去記事:【2020年版】国内EC市場のEC化率|BtoCとBtoBをプロが徹底解説!

ドイツのEC市場の現状

ドイツはヨーロッパ最大の経済大国で、人口もロシアに次いで多く8,200万人で、その8割がインターネットユーザーに該当します。ドイツのEC企業は、Amazon、Otto、Zalandoの3社が市場で高いシェアがあります。

ドイツで支持されているECサイトの決済方法は、特色があります。

◆ドイツでの決済方法ベスト3

オンライン請求書による決済が40%
後払い決済が29%
クレジットカード決済が10%

ドイツでのECの決済方式のメインはオンライン請求書による決済と後払いです。これらは日本でのコンビニ決済のようなもので、請求書が手元に届いたら振り込むという決済方法です。ドイツは街の買い物でも、現金決済が中心でキャッシュレス化が進んでおらず、他の先進諸国と比べても保守的であることが伺い知れます。

こういった要素は、EC市場の伸び率にも大きな影響があり、ドイツは日本に次いでEC市場規模が伸び率が2番目に低く、このままだと近い将来、日本と共に他国に追い抜かれる状況に陥るかもしれません。

データ及び考察の参考サイト:Ecommerce in Germany

下記の記事によると、コロナ渦においては、ドイツも特に食料品においてECの利用が進みました。ドイツは日本と同様に、食品スーパーやディスカウントショップの利便性が高かったために、ECの利用が進んできませんでした。

しかし、2020年において、フードデリバリーの利用が高まり、ネットスーパーとフードデリバリーが融合する動きが加速しております。ネットスーパーの課題は物流にありますが、実店舗と連携することで、ネットスーパーの普及が加速しております。

参考記事:ウーバーイーツにウォルト、ゴリラスも…ドイツでネットスーパーとフードデリバリーが融合している事情

コロナ禍が世界のEC化率を急激に高めるキッカケに!

EC化率を高めるためには、筆者は下記の要素が必要であると考えていました。

①食料品・日用品においてのEC利用
②高齢者のEC利用
③新しいサービスやソリューションの誕生

しかし、世界中で新しいサービス(③)は誕生しているものの、①や②の普及においては、実店舗の利便性も高いために、多くの世代にはなかなか普及しないのではないか?と思っておりましたが、コロナの影響によりパラダイムシフトが起こりました。

コロナ禍はいつか終わりを迎えるでしょう。しかし、一度オンラインの利便性を知った多くのユーザーは、ECの利用を続けていくのは間違いなく、コロナ禍がECの利用を一気に高めるキッカケとなったは間違いない事実です。

筆者が心配なのは日本です。先に紹介した世界各国のEC市場規模を比較してみると、日本のEC市場規模の伸び率は他国と比べると低い傾向にあります。日本は2019年度と比べると14%増であり、EC市場規模の近しい国と比べてもイギリスは34%増、ドイツは21%増と、ECの利用がそれほど進んでおりません。

特に少子高齢化社会に突入している日本においては、社会の生産性、利便性を高めていく必要があり、ECの普及は絶対に必要です。日本のEC化率については下記の記事でまとめておりますので、あわせて読んでいただくと、EC市場の理解が深まるでしょう。

参考記事:【2021年版】国内EC市場のEC化率|BtoCとBtoBをプロが徹底解説


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ABOUTこの記事をかいた人

forUSERS株式会社 代表取締役。 株式会社インターファクトリーのWebマーケティングシニアアドバイザーとして、ebisumartやECマーケティングの支援、多数セミナーでの講演を行う。