【2019年版】10分で理解するEC業界の概要とトレンド


転職や部署異動で新たにEC担当者になると、知っているようで、知らないことの多いEC業界。EC業界とはどのようなものなのでしょうか?

社内やベンダーとの会議の話についていくために、知らないといけないEC業界の概要やトレンドというものがあります。新卒じゃない方は、今さら同僚や上司にも聞きにくいかもしれませんね。

しかし、ご安心ください。この記事を上から下まで10分かけて読んでいただくだけで、EC業界の概要とトレンドを全て学ぶことができます。

本日は株式会社インターファクトリーでWEBマーケティングを担当している筆者が、これからEC業界を学ぶ人のために、EC業界の概要とトレンドの全てを解説いたします。

①絶対に知っておこう!「EC化率」とは?

まず、EC業界全体を把握するために大事な指標は、EC化率です。EC化率とは、全商取引(実店舗とECを含む)の中で、ECサイトの割合を指す言葉です。それでは、最新の2018年度のBtoBとBtoCのEC化率を見てみましょう。

◆最新のEC化率(BtoC)

2018年度のEC化率は6.22%

 

◆最新のEC化率(BtoB)

2018年度のEC化率は30.2%

 

データ及び図の引用先:平成 30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)

つまり、BtoB,BtoCともに言えるのが、日本国内のEC化率はまだまだ低く、しかも、右肩上がりのため、これからも成長が見込める産業だということがわかります。

BtoBの方が、EC化率が高い理由には、EDI※とECの区別がなく、この指標にはEDIが入っているためです。

※EDIとは、Electronic Data Interchangeの事です。企業間の商取引において必ず発生する、注文、請求、決済などの取引をデジタルに変換し、企業間のやり取りをスムーズにするシステムのこと。

EDIについてはこちらの記事をご覧ください:7つのポイントでEDIをやさしく解説!EDIの必要性と今後の課題

社内で、自社ECサイトの今後の展望のプレゼンテーションを行うなら、EC業界全体の数字は資料に掲載する必要があります。そして、業界毎のEC化率や考察を押さえておく必要があります。業界毎の考察は、下記の記事の下の方にまとめておりますので、こちらをご覧ください。

【2019年版】国内EC市場のEC化率|BtoCとBtoBをプロが徹底解説!

②EC通販の売上ランキングベスト30で、EC業界のトレンドを知る

EC業界を語るには、業界で売上上位を占める有力なECサイトを知っておく必要があります。なぜなら、そこには、必ず、あなたの会社のベンチマークすべき企業があります。そして自社ECサイトのKPIや目標を定めるには、業界トップの企業のECサイトの売上を参考にするケースがあるからです。

では、以下、「ネットショップ担当者フォーラム」から引用した、ランキングを紹介いたします。

実際のページはこちらです。インサイトがよくまとまっているので、こちらのページも絶対に見てほしい:【2018年版】EC売上高ランキングまとめ――1位Amazon、2位ヨドバシ、3位スタートトゥデイ(現ZOZO)

※調査期間:2018年6月~2019年5月に迎えた決算期 /
※(*)売上高はインプレス社推定
※(◎)は純粋な売上ではなく、サイト全体の流通総額のケースやグループ会社合計値

順位 / 社名 / PC+モバイル売上高(百万円)

1位 / ◎アマゾンジャパン /  1,336,000
2位 / ヨドバシカメラ /  111,000
3位 / スタートトゥデイ / 98,432
4位 / Rakuten Drect / 74,000
5位 / 千趣会/ 65,600
6位 / ディノス・セシール / 59,657
7位 /◎イオン / 59,000*
8位 / 上新電機/ 57,000*
9位 / ジャパネットたかた / 53,800*
10位/ ◎アスクル / 50,714
11位/ ユニクロ /  48,753
12位/ ◎イトーヨーカドーキタムラ / 48,734
13位/ デル / 47,000*
14位/ ◎キタムラ / 42,681
15位/ ジュピターショップチャンネル/ 40,774*
16位/ ビックカメラ / 39,000
17位/ ◎マウスコンピューター / 36,665
18位/  ◎MOA / 32,328
19位/ QVCジャパン/ 31,410*
20位/ ニトリ / 30,500
21位/ ◎ベルーナ / 29,399
22位/ セブン・ミールサービス /  26,548
23位/ ニッセン / 25,000*
23位/ オルビス / 25,000*
23位/ ◎ピュアクリエイト / 25,000*
26位/ オイシックス・ラ・大地 / 24,799
27位/ 丸井 / 22,887
28位/ セブンネットショッピング / 22,048
29位/  ◎TSUTAYA / 22,000*
29位/ ドスパラ/ 22,000*

やはり、アマゾンがダントツの1位です。そして店舗とECサイトの連動するオムニチャネルに成功したヨドバシカメラが日本企業では最高位につけています。ビックカメラも16位につけており、家電系は、型番や製品名がわかれば、どの店で買っても、品質に変わりなく、より安い製品をインターネットで探す傾向が強いので、ECに向いている業界と言えます。

ZOZOTOWNで有名な、スタートトゥデイ(現ZOZO)も急激に順位を上げて3位につけています。ZOZOTOWNは、売上を伸ばすためにECサイトを徹底的にチューニングをいれ売上を伸ばしつづけています。集客に関してはWEARというファッションコーディネートアプリが1,000万ダウンロードを超え、世界中のユーザーが利用しており、気に入った服をアプリで見つければ、ユーザーはそのままZOZOTOWNで購入することができます。

また、オムニチャネルに力をいれている、セブン&アイ・ホールディングスのイトーヨーカドーが12位につけております。セブン&アイHDの総力をあげたオムニチャネル戦略を実施しておりましたが、上手く機能せず苦戦をしており、グループのオムニチャネル戦略の転換が迫られています。この動きで、Amazonやイーオンとの今後のネットスーパーの覇権争いがどうなるか、注目しましょう。

このようにEC企業のランキングから、各業種のECのトレンドを読み取ることができるのです。

③EC業界で知っておくべき単語やトレンドとは?

EC業界で、押さえておくべき単語やトレンドが存在しますので、紹介いたします。

オムニチャネル・O2Oとは?

EC業界を知るには絶対に、「オムニチャネル」「O2O」という言葉を理解しておく必要があります。またこの2つは似ている施策のため、混同している人が多いので、どのポイントが違うのかも明確に分けて解説いたします。

O2O

O2Oとは、オンライン to オフライン(逆の場合も使われます)の略語です。具体的には、「スマートフォンで受けとったクーポン券を、実店舗に持っていき、店員に見せて、割引で製品を購入する」という行為が代表的でしょう。つまりWEBクーポンなどを、実店舗の集客を目的に使う手法です。効果は限定的で、短期的な施策になります。

この施策を行うためには、会員のポイントデータの統合を行う必要があります。

オムニチャネル

オムニチャネルとは、ECサイトと実店舗の会員情報、受注情報、ポイント情報など、全てのデータベースを統合して、顧客は、店舗やスマートフォンなどの全ての接点から、自由に買い物や返品ができる仕組みのことで、目的は顧客満足度を追及することで、リピーターを増やして売上を向上させる長期的施策になります。

O2Oとオムニチャネルの違いは?

O2Oとオムニチャネルの違いがわからない新人を多くみかけますので、この違いを紹介いたします。O2Oはポイント情報の統合により、WEBクーポンを使って実店舗に集客する短期的施策です。

それに対して、オムニチャネルは全てのデータベースを統合し、実店舗とECサイトの境界を無くして、顧客は店舗でも、スマートフォンでも、電話でも、シームレスに買い物ができる仕組みになり、利便性が向上し、リピーターが増える施策で、長期的に利益を上げることができます。

オムニチャネルの弱点は、店舗を多く持つ企業がECサイトを積極的に展開した結果、実店舗より、ECサイトの売上が向上するため、実店舗の閉鎖や、店舗スタッフのモチベーション低下があります。そういう意味でも、Amazonのような、Eコマースがメインの会社が、実店舗を展開する方が、メリットが大きい施策でもあります。

オムニチャネルやO2Oに関して、もっと詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

国内・海外事例やO2Oとの違いでオムニチャネルを理解する【完全解説】

越境EC

2015年から16年は、業界では中国人向けの越境ECが大いに盛り上がりました。特に世間を騒がしたのは、中国人による爆買いです。多くのEC事業者は、中国人の旺盛な消費力に目をつけて、越境EC施策に興味を持ったため、業界では、越境ECがトレンドになったのです。

2016年には、中国人の日本旅行者への関税率の引き上げや、中国人の日本旅行への目的が購入から体験にシフトしたため、越境ECは少し落ち着きましたが、今でも中国人向けの越境EC施策を検討している企業は多いです。

中国向け越境ECがこれだけ、騒がれたにも関わらず、越境ECで成功している企業は少ないのが現状です。それには中国の事情が障壁として立ちはだかっています。

障壁①中国ではGoogle検索ができないため、SEO対策ができない
障壁②中国ではクレジットカードは普及していない
障壁③日本から中国国内への配送には時間がかかる

といった事情があるため、現在では、自社で作るECサイトより、中国の2大モールの「天猫(T-mall)」と「京東(ジンドン)」に出店する方法が、現実的です。なぜなら中国人がインターネットで購入するときは検索エンジンではなく、モールで検索する人がほとんどであり、中国で最も普及しているAlipay(支付宝)やWeChat Payment(微信支付)といった決済方法にも対応しているからです。

越境ECサイト構築や課題については、下記の記事をご覧ください。

中国向け越境EC構築のポイントと実現する3つの方式とは?

ID決済の流れ

ID決済とは、クレジットカード番号の入力が不要で、IDとパスワードだけで、決済が行える仕組みのことで、代表的なものは下記の二つです。

・Amazon Pay
・楽天ペイ

ID決済のメリットは、例えば、認知度の低いECサイトに欲しい商品があった場合、ユーザーの心理としては「この商品は欲しいけど、聞いたことがない。信頼できるサイトなのかな?」という不安があります。しかし、決済方法に「Amazon Pay」や「楽天ペイ」のボタンがあれば、安心して、決済を行うことができるのです。

ログインしてしまえば、名前や住所の入力も不要です。ユーザーの不安と手間を省くことにより、EC事業者は、CVR(コンバージョンレシオ)を向上させる、売上を伸ばすことができるのです。

Amazonや楽天にとっては、手数料収入がありますし、楽天は楽天ポイントの「楽天経済圏」をさらに広められるメリットがあるのです。

今後、EC業界で普及していくのは確実ですから、「ID決済」については押さえておきましょう。詳しくは下記の記事で解説しております。

2つのID決済「AmazonPay・楽天ペイ」導入前に抑えるべきポイントとは?

経済産業省より「クレジットカード取引におけるセキュリティ対策強化に向けた実行計画」

多発する、クレジットカード番号の流出や、ハッキング被害により、2016年4月に、経済産業省から「クレジットカード取引におけるセキュリティ対策の強化に向けた実行計画」が発表されました。これにより、EC加盟店は2018年3月までに、下記のいずれかに対応しなくてはなりませんでしたが、2019年現在も対応できていない企業が多いのが現状です。

・PCIDSSに準拠する
・クレジットカード番号を非通過にする

この両方の対応はEC加盟店にとって、大変なことです。まず「PCIDSSに準拠する」には、数千万円の費用がかかります。一方、「クレジットカード番号を非通過にする」は、決済画面のクレジットカード番号入力画面を、外部の決済会社のURLで持つことになり、実装はカンタンですが、外部のURLに飛ばすと、CVRが下がり、売上が下がるデメリットがあります。

PCIDSSについては、下記記事で詳しく解説しております。

ECサイト事業者行うべきセキュリティ対策を徹底解説!PCIDSSへの準拠が必要な理由とは?

新しいECサイト構築手法のクラウドECが普及

下記のリンクは2017年2月16日の日本ネット経済新聞の記事に、クラウドECの導入拡大が取り上げられました。今までは、ECサイトを構築する手段としては、下記の4つが主流でした。

◆今までのECサイト構築方法

1.フルスクラッチ
2.ECパッケージ
3.オープンソース
4.ASP

しかし、ASP以外の構築方法では、システムが陳腐化してしまうため、導入から3年もたてばシステムリニューアルを検討する必要があるため、3年から5年ごとに莫大なシステム投資が必要になります。(ASPは陳腐化しませんが、カスタマイズやシステム連携が不可のため、中小規模のECサイト向きの構築方法です。)

そこで、生まれたのがクラウドECという「常に最新で」「カスタマイズ・システム連携が可能」なEC構築方式です。

◆新しいECサイト構築方法

・クラウドEC

そして2017年現在、フルカスタマイズできるECプラットフォームの導入数においては、弊社のebisumartがナンバー1のシェアを持っています。長期的にシステム投資が安くなる、クラウドECによる、ECサイト構築方法は普及するでしょう。

あらゆる産業がECに進出する!EC業界は面白い!

私の経験ですと、日本の大手の小売業では、EC部門は、決して花形部門ではない、認識の会社が多いのが実情です。しかし、冒頭で紹介したとおり、日本国内ではEC化率は毎年右肩上がりで、今後も、さらなる成長が見込める分野であることは確実です。

今後、企業が成長を重ねるには、ECへの参入や、店舗とECの垣根を無くすオムニチャネル戦略が増えていくでしょう。そしてEC業界は、移り変わりの激しい業界です、毎年新しいトレンドや、施策が生まれる、非常に面白い業界であることは、私は断言します!


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