【2017年版】国内EC市場のEC化率まとめ|BtoBとBtoC

経済産業省が2017年4月に2016年の日本のEC市場、日米中の3ヵ国の越境EC市場などに関する市場調査を発表しています。本日は、経済産業省の調査結果をもとに、EC化率について記事にしました。

データや図は全て、経済産業省の最新の調査結果より引用:平成 28 年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)

まず、EC化率とはなんでしょうか?例えば、経済産業省のデータから2016年のBtoCアパレル産業(衣服・服装雑貨等)の例で説明します。

アパレル産業のネットとリアル(実店舗)を含めた全商取引は、13兆9954億円。そのうちECサイトなどの電子取引されているものが、1兆5297億円です。ですからアパレル産業のEC化率は10.93%と言えます。

■アパレル産業を例にとったEC化率
1兆5297億円(EC取引総額)  /  13兆9954億円(全商取引総額)= 10.93%(EC化率)

この分野のEC化率は対前年比10.5%上昇している他、物販系分野内での構成比率は15.29%で最も高く、アパレル産業は継続的にEC化率が進んでいる分野ということができます。

EC化率からわかるのは、その産業で、どれくらいEコマースが使われているかという指標です。これからビジネスを起こす人や新規事業の担当者は、EC化率を念頭にいれてビジネスプランを立てることで、将来性や競合環境の概要を把握する事ができるのです。

EC化率が高ければ、オンラインを基軸に戦略を置くことになりますし、一方でEC化率が少なければ競合他社の参入が少なくチャンスかもしれません。(産業によってはEC化の敷居の高い場合もあります)

本日は、このEC化率について、最新の経済産業省のデータをもとにインターファクトリーでWEBマーケティングを担当している筆者が解説してまいります。

日本国内のBtoBのEC化率は?

BtoB-ECの市場は約291兆円と非常に大きなマーケットとなり、業種別に見てもEC化率は上昇しています。その背景の一つに、ECシステム各社の新規参入や、BtoBに特化したASPの展開する会社も出てきたこともありますが、経済産業省が出しているEC化率の28.3%という数値は、EDI※等の受発注システムとECが区別されていないため、BtoBのEC化率は実際より、かなり高い数値になっています。

※EDIとは、Electronic Data Interchangeの事です。企業間の商取引において必ず発生する、帳票処理(注文、請求、決済など)を電子的に交換し自動化する仕組みであり、一般的に私達がイメージするECサイトとは異なります。

EDI等の受発注システムでは様々な制約があり、時流に合わせたマーケティング施策を実行する事が難しく、EDIからEC化を検討している企業が増えている傾向があります。

◆BtoBのEC市場規模とEC化率の推移

日本国内のBtoCのEC化率は?

2016年度のBtoCにおける日本国内のEC市場規模は15兆1,358億円で、対前年比9.9%の伸び率となりました。また、BtoCの中の、物販系分野のEC化率は5.43%で、対前年比10.6%増になりました。

日本国内においては全産業で、EC市場はまだまだ伸びる余地があり、かつ、その伸び率は加速していることがわかりまが、海外のEC化率と比べると、アメリカはEC化率が7%、中国は15%を超えており、日本でのECの普及は少し遅れているのが現状です。

◆BtoCのEC市場規模とEC化率の推移

日本国内のBtoCの分野別EC市場規模は?

分野別は下記表の通りとなります。

◆分野別の市場規模及びEC化率の表

物販系分野は、8兆43億円で、伸び率10.6%(前年対比7,645億円増)
サービス分野は、5兆3,532億円で、伸び率9.2%(前年対比4,518億円増)
デジタル分野は、1兆7,782億円で、伸び率8.9%(前年対比1,448億円増)

2013年-2014年はどの分野でも伸び率が2桁台だったのに対し、2014年-2015年は1桁の伸び率となりました。しかし、これは市場が停滞しているというより、フリマアプリなどをはじめとしたCtoC-ECの台頭や、オムニチャネルによる消費者の店舗回帰が影響が考えられます。

そして、最新の2016年には伸び率が、再び9.9%と2桁近くに上昇。この要因は、フリマアプリはCtoCのため、これまでBtoCの統計からは除外されてきましたが、実態を鑑み、2016年の統計からBtoCの一部として計上されたこと、ヨドバシカメラに代表されるように、各企業のオリジナルECサイトのクオリティーが高くなっており、その成果が現れはじめたのではないか?と筆者は考えています。

 

A.物販系分野のEC市場規模

EC化率が公表されているのは、この「物販系分野」のEC化率になりますので、物販系分野について、後ほど詳しく説明します。

B.サービス系分野のEC市場規模

サービス分野とは、旅行・宿泊、あるいは飲食などのサービス分野です。例えば、

◆サービス分野のBtoC-ECの市場規模

旅行サービスはEC化の歴史は早く、1990年代後半にはスタートしていました。国内外関わらず、インターネット上でいつでも手軽に航空券や宿の予約が出来ることや、チケットレスサービスの「eチケット」などは消費者にとっては便利なシステムです。

また、「エクスペディア」や「じゃらん」といったインターネット専業の旅行代理店(通称OTA)の台頭もBtoC-ECの活用度の高さの一因とも言えます。しかし、実店舗の需要もあり、ユーザー動向は二極化している状況です。

2016年の最新の動向を解説すると、大きく伸びているのは、「飲食サービス」と「理美容サービス」です。この二つに共通するのは、事前予約サービスです。美容院やマッサージ店は、予約時に決済する方法が市場で伸びてきております。今までもこういった予約サービスはありましたが、より一般的に広まってきたことが、市場規模の伸び率からわかります。

C.デジタル系分野のEC市場規模

デジタル分野とは、電子出版・有料音楽/動画配信、あるいはオンラインゲームなどの分野です。

◆デジタル分野のBtoC-ECの市場規模

デジタル分野全体で見ると、有料動画配信が77.4%と大きく伸びていますが、これは、2016年より、Amazon Primeビデオの会員が、今年から数字に入るようになったため、大きく見えています。今まで、デジタル分野を引っ張ってきたオンラインゲーム市場ですが、わずか3.5%しか伸びておらず、この分野の伸び率の8.9%を下回り、オンラインゲーム市場が頭打ちになってきたとことが数字からわかります。


ここまでは「サービス系分野」と「デジタル系分野」の説明をしてきました。最後に、「物販系分野」について、詳細を説明いたします。

EC市場においてもっとも伸び率が高かった分野とは?(物販系分野)

1位:「化粧品、医療品」 12,11
2位:「書籍、映像・音声ソフト」  12.01
3位:「雑貨、家具、インテリア」  11.39

EC化率の「伸び率」という観点で言うと、物販系分野は、2016年度は対前年度10.6%と大幅に伸びております。

その中でも、EC化率の伸び率が最も高い分野の「化粧品・医薬品」ですが、「化粧品・医薬品」の分野の中の「美容・健康関連器具」に関しては、約 10% 程度の伸び率であるのに対し、「医薬品」の市場規模はまだ小さい(2016年度で約200億円)ものの、医薬品の売上が前年比で約 50%増と急激に伸びています。

これは、2014年6月の薬事法の変更によって、「医薬品のインターネット販売」が可能になった経緯があり、事業者側の準備と消費者側の認知が進み、2016年度に実際の売上として反映された事が原因です。

「美容・健康関連器具」については引き続き消費者の関心が強く、安定的に成長しています。「化粧品」については、SNS広告を核としたデジタルマーケティングをうまく活用した企業が成果を出しており、こういった企業のマーケーティングの成果が、「化粧品・医療品」のEC化率上昇につながっている背景にあると、考えられます。

EC化率が高い分野とは?(物販系分野)

1位:「事務用品・文房具」 33.61
2位:「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」 29.93
3位:「書籍、映像・音楽ソフト」 24.50

1位の「事務用品・文房具」のEC化率が伸びているのは、アスクルに代表されるサービスのインターネット販売が、一般的に普及してきたからでしょう。

2位の「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」はヨドバシ.comやビックカメラ.comをはじめとし、生活家電のECサイトが伸びています。その背景には、そもそも家電系はECに向いている分野であることが言えます。

なぜなら、型番等や製品名の指名買いができる点と、どこで買っても品質がかわらないのであれば、店舗で商品を確かめて、1円でも安い商品をWebで探すという消費者の傾向があるからです。本来、こういったWEBショールーミングを嫌う家電大手でしたが、ヨドバシカメラは、それを逆手にとり、店舗の製品横にバーコードを設置し、顧客がカカクコムやAmazonで、購入する前に、ヨドバシ.comで購入させる戦略をとり、大成功した経緯があります。

逆に市場は大きいのですが、EC化率が最も低いのは「食品、飲料、酒類」です。家電とは正反対で、食品の分野は実際に目でみて、鮮度を確かめる必要がある分野ですから、EC化率は低いのが特徴です。しかし、2017年にはアマゾンがAmazonフレッシュをスタートし、生鮮品を最短4時間で顧客に届けるサービスをはじめました。こういったサービスの普及が、この分野のEC化率の上昇につながるか?今後に注目しましょう。

ECの市場規模が大きい分野とは?(物販系分野)

1位は「衣類・服装雑貨等」 1兆5,297億円
2位は「食品、飲料、酒類」 1兆4,503億円
3位は「生活家電、AV機器、PC・周辺機器」 1兆4,278億円

EC市場規模では「衣類・服装雑貨等(アパレル)」は市場が1位ですが、靴やスーツ、パーティードレスなど、実際に着て見てサイズを確かめる必要のある分野とECとは相性が悪い分野も含みます。

しかし、「サイズが合わない」「イメージが違う」などいったアパレルECならではの悩みを解決してくれる、返品無料のサービスを提供しECでの購入ハードルも下がってきました。(例)靴の販売サイト:ロコンド また、マガシークナノ・ユニバースが導入する、自分の体のサイズをWEBに登録して、WEB上で試着するような仕組みやサービスが続々と登場しており、今後も拡大が見込める分野です。

2位の食品市場は、ECの市場規模が大きいにも関わらず、EC化率が低いため、前述した通り今後、Amazonフレッシュやネットスーパーなど様々な企業が参入してきていることから、EC市場はさらに拡大することが考えられます。

今後のECトレンドは?

ここ数年、「パンダアップデート」や「ペンギンアップデート」により企業のSEO施策が変化、検索エンジンからの新規顧客獲得が困難になり、来訪顧客のCV率と既存顧客のLTVがより重要な指標になりました。更に、マーケティング予算の変化によって追客系サービスが充実しているのが現状です。

現在の主流は、来訪履歴や購入履歴に応じてレコメンドをかけるリターゲティング広告です。国内でいうと、「Criteo(クリテオ)」が最も有名かと思います。

このような時代の流れの中で、筆者が今注目しているのは「ビッグデータを活用したレコメンド」です。これは、サイトに訪問したことのない人に対しても広告配信ができるサービスです。ビッグデータを活用し、潜在顧客データを創出できるので、新規顧客の開拓が可能になります。また、2015年は「Web接客」が広く浸透しました。Webでも実店舗で買い物をしているかのような接客が出来るサービスやシステムの提供が各社より急増しています。

2017年も引き続き、新しいマーケーティングが世に出現。AIのチャットBotの技術を使って、ECサイトを経由せず、チャットのやりとりで、そのまま購入させるフローが誕生しました。その中でも、LINE社が提供するサービスでは、LINEトーク上で、商品の予約や購入させてしまうツールです。AIの技術革新や普及により、User Local社よりサポートチャットBotサービスがリリースされるなど、この分野での新しいサービスがECのトレンドになっていくのではないでしょうか?

さて、話は変わりますが、今回の経済産業省のEC市場調査レポートには、新たな項目について、データや見解が掲載されておりましたので、最後にこれらの調査においても、解説いたします。

日本のネットリユース(CtoC)の市場規模

◆ネットオークションの推定市場規模

「メルカリ」に代表されるCtoC市場が、急速に拡大しています。この影響で、「ブックオフ」などのリユース大手が大きな打撃を受けています。なぜなら急拡大しているフリマアプリの影響により、商品の仕入れに影響が出ているからです。ただし、ネットリユース市場にも、大きな課題があります。それは、新しい市場のため、法規制が整っておらず、「現金」や「入金済みSuica」が出展される行為が問題になっておりました。

これらの問題が社会問題化し、ネットリユース市場に法規制がかかれば、市場成長にも影響しますので、そうならないためにも、ネットリユース各社の対応が求められます。

スマートフォンの普及

◆インターネット利用端末の種類

特定のターゲットや業界別の傾向だけではなく、あらゆる分野において、スマートフォンが基準となりつつあります。インターネット利用端末として、スマートフォンが過去5年で急上昇していおり、15年末にはついに、過半数を超え、54.3%となりました。このデータからインターネットのデバイスにおいてはPCから、スマートフォンがインターネット端末の基準となりつつあることがわかります。

特に10代後半から20代までがターゲットのサイトでは、9割以上のユーザーがスマートフォンからの購入というケースもあり、ガラケー時代同様、若年層や女性ユーザーのほうがモバイル端末からの購入の親和性が高いという傾向が見られます。

業界別の傾向では、アパレルや化粧品・医薬品業界の様に女性ユーザーがメインターゲットになる業界程、スマートフォンの利用率が高い傾向があります。

また、Googleが、2017年中にMFI(モバイル・ファースト・インデックス)の対応を発表したため、今までは、検索順位の基準はPCサイトだったのが、SEOの検索結果をスマートフォンが基準になります。

このため、スマートフォン対応の必要性が薄い、BtoBなどの分野においても、スマートフォン対応が無視できなくなってきております。今後は、どの分野においても、スマートフォンがインターネット端末の基準になることは確実です。

物流

◆宅配便取扱個数の推移(単位:百万個)

ニュースでは、ネット購入の普及による宅配荷物増加と、宅配業者の人手不足や残業が社会問題になっております。もはや物流業界だけの問題だけではなく、ECに係る業界全体の問題として取り組まなくてはなりません。例えば、再配達を減らせる仕組みをECサイトで対策するなどの抜本的対策が必要です。このままだと、この問題がボトルネックになり、ECのマーケットが発展しません。

国も宅配ボックスの設置に補助金を出すなど対策を行っておりますが、設置個数に限界があり、それだけでは解決に結びつきません。

例えば、Amazonも倉庫内のピッキングや梱包の効率を追求した結果、過剰包装により、小さな荷物でさえも均一の大きさの箱で包装されており、物流全体、つまり宅配便の車のキャパシティーに無駄ができ、この問題を加速させている背景があります(あくまで小さな一例です、課題は各社、政府及びユーザーにも多く存在します)。

この例からもわかるとおり、業界を超えて、この問題を対策する必要があります。

決済

◆インターネットで購入する際の決済方法(複数回答)平成27年末アンケート結果(n=12,513)

決済方法としては、圧倒的に「クレジットカード払い」が多いですが、同時にクレジットカードの個人情報漏えいの事故が社会問題になっています。この問題を受けて、経済産業省は「クレジットカード取引におけるセキュリティ対策の強化に向けた実行計画」を指導しており、EC事業者には、以下のどちらかの対応を2017年3月までに迫られています。

・クレジットカード情報の非保持化
・PCI DSS準拠

この動きを受けて、EC事業者は、クレジットカードの決済システムの入れ替えを検討していますが、時間もないために、間に合わない企業が出てくることが想定されています。もし、実行計画へ対応できていない企業がクレジットカード情報漏えいの事故を起こした場合、遅くとも、2018年6月以降は割賦販売法違反となる事が決定しており、EC事業者は責任ある対応を求められています。

最後に

現時点でBtoC取引の約95%は非ECで行われていますが、ECの取引が占める全体シェアは毎年上がっており、今後の成長も期待されています。事業者にとっては、これまで以上に店舗とECの両立が重要になってきており、いかにユーザーにとって使いやすいサービスを提供していくのかという点が注目されています。

また、デジタルマーケティング分野の伸びにより、これらの広告のCVR先であるECには非常に注目が集まっており、それに比例してEC関連サービスはマーケティング分野を中心に新しいサービスが誕生し続けています。

これらのサービスをキャッチアップし、ユーザーへの利便性をいかに追及するかが、これからのEC事業者に求められている事ではないでしょうか

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