ECで頒布会(はんぷかい)を実施する事業者へプロが徹底解説


EC業界ではない方だと「頒布会(はんぷかい)ってなんだろう?」と疑問に思われるかもしれません。筆者もEC業界に来た時は「ハンプカイ??」と初めて聞く言葉だったのでピンときませんでした。もともと頒布(はんぷ)という言葉は、広く配るという意味があります。「パンフレットを頒布する」「参詣者にお守りを頒布する」というように使われ、ここから派生して「頒布会」という言葉が生まれました。

ECや通販では頒布会は毎回異なる商品を、お届けするもの(そろえるもの)として定義され、例えばテレビCMでも広く知られている「DeAGOSTINI(デアゴスティーニ)」が頒布会として有名です。

本日はebisumartでマーケティングを担当している筆者が、頒布会について詳しく解説いたします。

頒布会と定期販売の違いは商品!「頒布会」は毎回違う商品が届くこと

お届けする商品が「毎回異なる」というのが定期販売との大きな違いになります。定期販売は、毎回同じ商品を定期的にお届けするものになります。それではワインを販売する例で「定期販売」と「頒布会」を比べてみましょう。

◆定期販売と頒布会の違いの例(商品はワイン)

定期販売ならば毎月同じワインをお届けするために

◆定期販売の商品お届け例

1月は 「Aワイン」
2月は 「Aワイン」
3月は 「Aワイン」

1月も2月も3月も毎月同じ「Aワイン」となります。しかし、頒布会であれば

◆頒布会の商品お届け例

1月は 「Aワイン」
2月は 「Bワイン」
3月は 「Cワイン」

などと異なるワインをお届けするものです。つまり、定期販売はユーザーが指定した同じ商品を毎月届けるサービスに対して、頒布会とは事業者がセレクトした「毎月異なる商品」を届けるサービスなので、ここに最大の違いがあるのです。

頒布会に向いている商材は「食料品」や「消耗品」

頒布会に向いている商材とは以下のような食料品や消耗品です。

◆頒布会に向いている商品例

① 野菜、果物
お届け例:季節による旬な野菜や果物を月ごとにお届け

② お肉
お届け例:牛サーロイン→豚ロース→鶏モモ

③ お米
お届け例:魚沼こしひかり→北海道ゆめぴりか→岩手ひとめぼれ

④ お酒
お届け例:十四代→No.6→新政

⑤ ホールケーキ
お届け例:チョコレート→チーズケーキ→ショートケーキ

⑥植物、生花、種
お届け例:季節ごとのお花、種をお届け

そして、頒布会の場合、毎月商品を届けることから、同じカテゴリーで最低でも12種類以上の商品があることも、ユーザーを飽きさせないための重要なポイントとなります。

毎月、次は何が届くのか?異なる商品にユーザーがドキドキ感を感じることが、頒布会の大きな魅力の一つですから、食料品であれば旬のものをセレクトするなどの工夫が「継続率」を高める大きな要素となってくるのです。

頒布会に不向きな商材は服や雑貨、絵画などの「耐久品」だが成功している企業もある

消耗品ではない、雑貨や洋服、絵画などのいわゆる「耐久品」の頒布会は、ある程度の数がそろってしまうと「満足」を感じるため、その時点で契約は終わってしまう可能性があり継続率は低くなる傾向がありますが、事例がないわけではありません。

服(耐久品)の頒布会では下記事例の「フェリシモ」が有名です。ユーザーは「服のサイズ」と「気に入ったテーマ」の二つを選択し、あとは毎月色やデザインはお任せした衣服が届く仕組みです。

参考記事:MarkeZine(マーケジン) 「独自の販売形式“コレクション”で高リピート率を実現するフェリシモのWeb戦略」

このような成功事例がありますが、耐久品を工夫して販売をするならば、今流行の「サブスクリプション」のビジネスモデルが合うでしょう。サブスクリプションは所有ではなく「利用」で提供する手法です。サブスクリプションについては下記の記事で詳しく紹介していますので、こちらもあわせてご覧ください。

担当者が10分でサブスクリプションを理解するためにプロが徹底解説!

頒布会の注意点①中途解約は認めない対応の決済手段が一般的

定期販売と大きく異なる点は、毎月課金するタイプではないことが多いです。なぜなら、頒布会は異なる商品の組み合わせのコースのため、料金は毎月1,000円のような回収の仕方ではなく、12か月コースで1万円といった「一括前払い」方式が事業者に採用されます。

そのため中途解約については、解約を希望するユーザーとのトラブルを回避するために、利用規約や特商法の表記で中途解約についてしっかりと明記しユーザーに誤解を与えないコミュニケーションが必要となります。

頒布会の注意点②有効な決済手段

前述の通り、毎月課金ではないため通常商品の販売と同様な決済手段で十分です。入金を確認してから、第1回目の商品を発送する運用となります。

◆頒布会に向いている決済手段

・クレジットカード決済
・コンビニ決済、ゆうちょ振替
・銀行振込

◆頒布会に向いていない決済手段

・代引き決済

代引き決済は頒布会の決済手段としては向いていません。初回分だけの商品を目の前にして、1年分の金額を配送会社に支払う行為は、初回分の商品だけなのに先に1年分払う違和感を生じさせ、購入者心理とマッチしていません。代引きは、あくまで届いた商品に対する支払いに向いている決済手段なのです。

それに対して、定期販売の場合は永続的な契約が一般的なため、最初にまとめて課金する頒布会と異なり毎月課金が向いています。

頒布会をECサイトでこれから行う場合は、こういった決済に対応しているか?という点も担当者は事前に踏まえておく必要があります。

頒布会の注意点③必要な4つの機能

頒布会は、会員の入会時期により、送る商品が異なるために手作業での運用は非常に難しいため、ECや通販で頒布会のシステムを選定するときの重要なポイントになってきます。

◆頒布会で必要な4つの機能

機能① コース登録機能
機能② 受注機能
機能③ 決済機能
機能④ 販売促進機能

機能① コース登録機能

第1回目~最終回までの商品を登録しコースを作る機能です。それぞれの商品は、単品でも購入ができることが多いため、その単品価格は考慮せず、コースの値段設定が可能なことが条件です。具体的には下記の例をご覧ください。

◆コース登録例

Aコース(12,000円)
1か月目お届け商品「a商品」(通常単品販売価格2,000円)
2か月目お届け商品「b商品」(通常単品販売価格3,000円)
3か月目お届け商品「c商品」(通常単品販売価格2,000円)
4か月目お届け商品「d商品」(通常単品販売価格1,500円)
5か月目お届け商品「e商品」(通常単品販売価格2,500円)
6か月目お届け商品「f商品」(通常単品販売価格3,000円)

※a~fの合計は14,000円ですがメリットを出すために割引を行っている例となります。

機能② 受注機能

購入するタイミングはそれぞれ、異なるため、顧客によって自動的に受注情報を生成する機能が必要です。下記のケーススタディをご覧ください。Aさん、Bさん、Cさんと頒布会の商品購入タイミングが異なるため、受注情報も下記のように購入タイミングに合わせたそれぞれの周期にする必要があります。

機能③ 決済機能

定期販売と異なり、毎月課金する決済手段は不要になります。半年や1年分のコース料金を初回に課金する決済手段が必要です。先ほども解説したとおり必要な決済手段としては、下記のとおりです。

・クレジットカード決済
・コンビニ決済、ゆうちょ振替
・銀行振込

ただし、年間購入の頒布会はクレジットカードが使えない場合があります。なぜなら途中解約を認めない場合は、事業者が決済代行会社に対して、クレジットカード決済を申し込む場合、クレジットカード会社の審査が通らないことがあるからです。そして、先ほど事例として紹介した「フェリシモ」は決済手段として口座振替の一本で成功してます。

機能④ 販売促進機能

購入を後押しする機能として下記のようなものが頒布会でよく使われます。

・キャンペーン
・クーポン
・タイムセール
・ステップメール

キャンペーン

他の単品商品と差別化するために「送料無料」や「ポイント付与アップ」などを訴求できる機能のことです。当然収益を考えながらの設定は必要ですが、1年コースの頒布会の申し込みは、12個の受注が入ったことと同じこととなります。

広告費をかけずに12個の受注を得られると考えると、送料を無料としても一定の利益が確保できるのであれば積極的に活用すべきです。

例:ECシステム「ebisumart」のキャンペーン機能

クーポン

商品をカート投入し、クーポン番号を入力することで、割引で購入することができる機能です。頒布会商品のみに利用ができるクーポンを発行し、ターゲットを決めたユーザーにメルマガなどでお届けし誘導するイメージです。さらにクーポン番号と顧客IDをひも付けると、他人にクーポン番号を渡しても利用できないように制御を行うことができます。

例:ECシステム「ebisumart」のクーポン機能

タイムセール

期間を設定し、その間であれば割引価格で購入できる機能です。今だけのお得感でアピールし、購入を促します。

例:ECシステム「ebisumart」のタイムセール機能

ステップメール

あらかじめ条件を設定し、それに合致するユーザーに対しシナリオ通りのタイミング・内容のメールを送信する機能です。条件の中で「頒布会の購入」をゴールとして設定することで、購入するまでユーザーに案内を出し続けることも可能です。

例:ECシステム「ebisumart」のステップメール機能

頒布会を実現するための4つのECシステム構築方法

頒布会に限りませんが、ECシステムをこれから構築する場合は、主に下記の4つの手法に集約されます。

◆4つのECシステム構築方法

①ASP
②パッケージ
③クラウド
④フルスクラッチ

システム構築方法①ASP

カスタマイズが一切できませんが、必要最低限な機能がそろっています。外部システムとの連携が「できない」制限があります(一部連携可能なものもあり)。こういった制限があるため、事業規模としては、年商1億円未満の事業者に向いています。

また、大手事業者でも新規事業で「頒布会」をスタートする場合は、費用が安く、システム構築期間も短いためASPは「お試し」としては最適なシステムです。

システム構築方法②パッケージ

ASPと異なり欲しい機能を追加カスタマイズで実現したり、システム連携することが可能です。一番多いカスタマイズは自社で利用している基幹システムやCRMなどの外部システムとの連携です。そのためパッケージの開発費用は、数千万円する規模のシステム構築費用が多く、事業規模としては、年商1億円以上の事業者に向いています。

システム構築方法③カスタマイズ可能なクラウドEC

カスタマイズ可能なクラウドECで実現できる機能や費用感は、パッケージとほぼ同等です。パッケージは提供されたその日が最新で、年月がたつにつれ陳腐化してしまいカスタマイズを繰り返し、いつかはシステム自体の入れ替えリニューアルのリスクが残ります。

しかし、一方クラウドECであれば、時流に合った新機能が随時アップデートされるため、利用中にいつの間にか最新の機能が備わっていることとなります。ですからパッケージと違ってシステムが陳腐化しないというメリットがあります。

カスタマイズ可能なクラウドEC:ebisumart

システム構築方法④フルスクラッチ

ゼロからシステム構築する手法ですので、全て要望通りの機能をそろえてスタートすることができます。その分、費用や構築期間が最もかかる方式です。Amazonや楽天市場、ZOZOTOWN、Oisixなどの超大手企業がECシステムで利用する手法もフルスクラッチです。

ただし、昨今は「パッケージ」や「カスタマイズ可能なクラウドEC」が機能を向上させており、フルスクラッチでシステムを作るメリットが薄れてきたため、中・大規模ECサイトの構築であれば「パッケージ」や「カスタマイズ可能なクラウドEC」が一般的です。

頒布会のまとめ

事業者が、頒布会を検討する際はまとめて商品を売れるビジネスモデルであるために、その「キャッシュフロー」や「頒布会のビジネスモデル」が議論の中心になりがちですが、ビジネスを成功させるために一番大切なのは商材です。

ユーザーにとってみれば、毎月「福袋」のようなドキドキ感が楽しいのが頒布会の良さですから、まずは毎月送付する商品でいかにしてユーザーに高い満足度を提供していくか?という点を追求していきましょう。

そういった商品を開発できれば、継続率を高め、長く自社の売上に貢献できる頒布会を実施できることにつながるからです。


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