事業者がすぐ理解するためのキャッシュレス・消費者還元(ポイント還元)


2019年10月1日より始まったキャッシュレス・消費者還元(ポイント還元)制度ですが、事業者(お店)にとっては

「還元制度の中身が分からない」
「経済産業省のサイトを見ても理解できない」
「何となく理解しているが、ウチの店は対象か分からないので放置している」

といったよく分からないという声がテレビのニュースや実際の声として多く聞かれ、2019年10月を過ぎた今でも、キャッシュレス決済の導入を見送っている事業者(お店)の方も少なくありません。

しかし結論から言えば、事業者(お店)も消費者も大変得をする制度ですし、2020年4月末までは申請を受け付けておりますので、制度の対象事業者であればすぐに申し込みをすべきだと筆者は考えます。

本日は、事業者(お店)にとってのメリットを中心に分かりやすくキャッシュレス・消費者還元(ポイント還元)を解説いたします。

キャッシュレス・消費者還元(ポイント還元)の制度概要

まずは、経済産業省が事務局として指定した「一般社団法人キャッシュレス推進協議会」のサイトより公表されている制度概要を一部抜粋してご紹介いたします。

・対象期間:2019年10月~2020年6月の9か月間(お店の申込は4月末まで)
・対象決済方法:クレジットカード、電子マネー、デビットカード、QRコード決済等のキャッシュレス決済
・対象事業者:中小・小規模事業者
・補助内容:
① 消費者還元5%(フランチャイズの場合は2%
② 加盟店手数料率3.25%以下への引下げを条件とし、さらに国がその1/3を補助
③ 中小企業の負担ゼロで決済端末導入

全ての事業者が対象ではありません。対象は中小・小規模事業者です。
中小・小規模事業者の規定は以下となります。

◆中小・小規模事業者の定義

業種 定義
資本金 または 従業員数
小売業 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
旅館業 5,000万円以下 200人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
ソフトウェア業 3億円以下 300人以下
製造業 3億円以下 300人以下

ただし、上記該当していても、以下2つに該当する場合は対象外となります。

① 親会社が資本金5億円以上
② 直近3年間の間で、一度でも課税所得が15億円を超えたことがある場合

上記事項や画像は「キャッシュレス・消費者還元事業(ポイント還元事業)の概要」キャッシュレス・消費者還元事業ウェブサイト)から引用または資料をもとに著者作成

それでは、制度について解説いたします。

制度の狙いは2つ!「①キャッシュレス化促進」と「②消費税増税に対する景気対策」

経済産業省が、この制度を作った狙いは大きく2つです。

狙い①キャッシュレス化促進

日本はキャッシュレス後進国です。2016年時点で、日本はキャッシュレス比率19.8%という実態。キャッシュレス先進国の韓国では96.4%、イギリスは68.7%、中国では60%以上であり、大きく後れを取っています。

◆日本と世界のキャッシュレス比率について

出典:「キャッシュレス化推進に向けた国内外の現状認識」経済産業省ウェブサイト

また、2020年東京オリンピック開催に伴い、海外からの渡航者も増えるため、クレジットカードに慣れている外国人のためにも利用できるお店を増やす必要があると国も考えております。

さらに、紙幣を発行したりなど現金決済を維持するだけでも国全体では年間1兆円の維持費がかかります。詳しくは下記記事の後半で触れましたので、興味ある方はご覧ください。

現金決済に維持費がかかる理由:世界のキャッシュレス比率から日本のキャッシュレス化の現状を解説!

狙い②消費税増税に対する景気対策

2019年10月より消費税が8%→10%に増税となりました。当然、消費者は負担が重くなり買い控えが生じます。下記は前回2014年度に消費税を5%→8%に増税したときのGDPに関するグラフです。これを見ると、消費税増税が、景気を落ち込ませる原因になっているのは間違いありません。特に民間消費の落ち込みはかなり大きい影響が出ています。

消費税が景気に及ぼす影響については、グラフを引用した下記の大和総研のレポートに素晴らしいインサイトがまとめられているので、ぜひ一読してください。

データ引用先:「2019 年の消費増税の影響度と今後の課題」大和総研ウェブサイト

この消費税増税による景気への影響を回避するために、消費者に対し購入を促すポイント還元制度を導入することになりました。5%を還元することで、消費税が10%に上がっても5%を引けば「10%-5%=5%」つまり、今の8%よりも安く購入することができるという考えなのです。

ポイント還元制度の3つのメリットを分かりやすく解釈

メリットを簡潔にまとめると

消費者のメリットは1つで「5%(フランチャイズは2%)が還元される」こと
事業者(お店)のメリットは2つ「決済手数料が下がる」ことと「決済端末機が無償」になること

事業者(お店)にとっても消費者にとっても大変お得な制度となりますが、非常に分かりにくい面がありますので、詳細に分かりやすく解説いたしましょう。

メリット①消費者還元5%(フランチャイズの場合は2%)とは?

「消費者」が受けられるメリット!買い物の際の5%(あるいは2%)の還元のこと

ここで言う消費者とは、商品やサービスを購入するユーザーのことです。消費者と呼んでいますが、購入者が企業であっても、その場合は消費者となります。つまりBtoBの取引でも制度の対象に該当すれば、ポイント還元の適用となります。対象の店舗で対象期間中、対象決済で購入した場合は、5%の還元を受けられるものです。

「還元」という言葉が分かりにくさを生んでいます。簡単に言えば、5%値引きされた価格で購入できるというものです。値引きの仕方には、大きく3通りあります。

◆ポイント還元の3つの種類
種類①購入時点で5%値引きでお支払い
種類②後日5%値引かれた金額の請求を受ける
種類③ポイントとして5%付与される

事業者(お店)は自分たちで、①~③を決められるわけではなく、決済会社、決済代行会社、システム都合などいろいろな要因があり還元の仕方を選択することとなります。

クレジットカードの場合は、ほとんどのカード会社が「②後日5%値引かれた金額の請求を受ける」方式での還元となります。一部ポイントを売りにしているカード会社(楽天カードなど)は、「③ポイントとして5%付与される」方式での還元になります。

また、フランチャイズ(FC)は2%還元についてはコンビニ、飲食店などのFC展開されている場合は、2%と還元率が低くなっております。もしあなたがフランチャイジーであれば、本部に確認を取ってみてください。

メリット②加盟店手数料3.25%以下への引下げを条件とし、さらに国がその1/3を補助とは

「事業者(お店)」が受けられるメリット!決済手数料が従来の半分程度に!

国は決済代行会社に対して、キャッシュレス決済の決済手数料を3.25%以下にすることを「キャッシュレス・消費者還元事業」に参加できる条件としています。

決済手数料とは、クレジットカード決済や電子マネー決済、QRコード決済を事業者(お店)が導入する場合、利用金額に応じて決済手数料を決済代行(決済会社)に支払う必要があります。この手数料は、業種や商材、売上規模に応じて条件が異なりますが、通常は、4~5%程度が一般的な条件となっています。

この4~5%の高い決済手数料が、特に個人事業者にはクレジットカードなどのキャッシュレス決済導入のハードルとなっていて、いまだに現金だけの店舗が多いのです。

国はキャッシュレス化を進めるために、事業者(お店)の負担を軽くするのが狙いであり、決済代行会社に対してポイント還元などの「キャッシュレス・消費者還元事業」の制度を利用するためには3.25%以下に手数料を下げることを条件としたのです。

さらに、事業者(お店)は下がった決済手数料より1/3の手数料が国から援助されます。

3.25%の内1/3の「1.08%」これが国から事業者(お店)に援助されます。つまり、実質の負担は、

3.25%-1.08%=2.17%

程度となります。今まで5%の手数料と比較すると半分程度の負担になるわけです。

メリット③加盟店の負担ゼロで決済端末導入とは

「事業者(お店)」が受けられるメリット!決済端末費用が無料になる!

クレジットカード決済や電子マネー決済、QRコード決済はそれぞれ専用の決済端末機が必要になります。最近CMでも目にする「Airペイ」や「コイニー」などがその端末機の一つです。これ以外にも様々な会社から決済端末機が提供されていますが、価格は従来ですと2万円程度でした。

例に出した「Airペイ」や「コイニー」はそもそも無償(プリンターだけは有償など)ですので今回の国の支援では恩恵は薄いのですが、決済代行会社の中には有償の端末機もあります。有償の場合はその導入コストが無償になります。

クレジットカード決済の導入メリット

制度によって決済手数料はずいぶんと下がりますが、それでも導入に二の足を踏んでいる事業者(お店)も多いと思います。
しかし、考えていただきたいのは、支払手段が「現金」→「クレジットカード」に変わるだけではないのです。

◆クレジットカード決済の導入メリット

「クレジットカード決済でしか購入しない層を取り込むこと」
「リピート購入を促進(購入障壁を除外すること)」

ができるのです。

クレジットカードで支払うとカードのポイントが貯まるため、利用したいユーザーはとても多いのです。

「マイレージを貯めたい」
「楽天ポイントを貯めてポイント利用をしたい」

など最近のクレジットカードは、使えば使うほどユーザーに特典が付いています。こういったカードユーザーは、購入と同じくらいポイントを貯めることが目的になるため、現金のみのお店を敬遠する傾向があります。つまりクレジットカード決済を導入することで、売上拡大が見込める場合があるのです。

とはいえ、クレジットカードの決済手数料を負担に感じる事業者(お店)の方も多いと思います。以下試算をしてみますと決して手数料は大きくないのです。クレジットカード決済を導入した場合のクレジットの手数料を3.25%と想定して、下記のように試算してみることが大切です。

クレジットカード決済導入後の利益を試算してみる!

ケース1:利益率20% → 売上25%UPでカード手数料をPAY
ケース2:利益率30% → 売上15%UPでカード手数料をPAY

◆ケース1 利益率20%の事業者(お店)の方でカード導入で25%の売上増と試算した場合

100万円の売上で利益率20%  利益=20万円
ここでクレジット決済を導入した場合、全てがクレジットカードの売上に切り替わったとして

カード導入で25%売上増 → 売上125万円
カード手数料125万円×3.25%=40,625円
利益 売上125万円×利益率20%=25万円
利益からカード手数料を引く 利益25万円-カード手数料40,625円=209,375円

カード決済により==>9,375円の利益アップ

 

◆ケース2 利益率30%の事業者(お店)の方でカード導入で15%の売上増と試算した場合

100万円の売上で利益率30%  利益=30万円
ここでクレジット決済を導入した場合、全てがクレジットカードの売上に切り替わったとして

カード導入で15%売上増 → 売上115万円
カード手数料115万円×3.25%=37,375円
利益 売上115万円×利益率30%=345,000円
利益からカード手数料を引く 利益345,000円-カード手数料37,375円=307,625円

カード決済により==>7,625円の利益アップ

ここでの計算はポジティブに試算したものだけです。もちろん売上増が想定通りいかなければ、利益が下がるケースも少なくないでしょう。しかし、重要なのは、しっかり試算してみることです。上記のケースを参考にあなたのお店の売上や利益も試算してみてください。

キャッシュレス・消費者還元事業への手続き

2019/10/1現在、キャッシュレス制度を申請し承認済みの事業者は全国中小・小規模事業者200万店舗の内50万店舗にとどまっていますが、駆け込みで申請が増加傾向にあります。

参考記事:菅原経済産業大臣の閣議後記者会見の概要(経済産業省ウェブサイト)

具体的に申請の手続きを説明いたします。

既にクレジットカードや電子マネー決済、QRコード決済を利用している事業者

①契約している決済会社(カード会社など)や決済代行会社に連絡し、キャッシュレス・ポイント還元制度の利用希望を伝える
② 決済会社、決済代行会社経由で、事務局に申請
③ およそ2週間程度で事務局は決済会社(決済代行会社)に結果を返却

おおよそ1か月程度で手続きは完了します。

これからクレジットカードや電子マネーを導入する事業者

①決済を導入するための加盟店契約が必要になります。
同時にキャッシュレス・ポイント還元制度の申し出も行います。
(中には、一度に手続きができない先もあります)
②決済の加盟店契約を締結しないと事務局への手続きができないため時間を要します。決済の締結には決済手段や決済会社によって異なりますが約1か月はかかります。
③決済加盟店契約が締結した後に、事務局への申請となります。
④ およそ2週間程度で事務局は決済会社(決済代行会社)に結果を返却

おおよそ2か月程度で手続きは完了します。

まとめ

事業者(お店)のメリットを中心に解説いたしました。当制度は、確かに分かりづらいです。しかし、制度が世間に浸透してから動きだしても上記解説の通り手続きには1~2か月時間を要します。

10月1日の制度初日では全国中小・小規模事業者200万社の内50万社が登録済みです。これから駆け込み申請が予想されています。制度を活用することにデメリットはなくメリットのみです。他社がやっていなければチャンスと捉えて、差別化を図るべきです。

制度の対象で「まだ申請をしていない」「決済手段を増やしたい」事業者(お店)は、早期に決済会社もしくは決済代行会社に相談してください。年内中に認可を取り付ければ半年は恩恵を受けることができるからです。

キャッシュレス・ポイント還元事業については下記の公式ページもあわせてご覧ください。

キャッシュレス・ポイント還元事業(キャッシュレス・消費者還元事業)


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