【2019年版】アパレルECの市場規模と3つの課題をプロが徹底解説


様々なEC業界の中でもアパレルECは市場規模が大きく、注目されている業界の一つです。2019年4月に経済産業省から発表された2018年度の物販系分野のアパレルECの市場規模1兆6,454億円で、前年比伸び率が7.74%急激に伸びている業界です。

しかし、アパレルECの各ブランドが全て上手くいっているわけではありません。

業界の中では、オムニチャネルを推進して、実店舗とWEBの会員データの一元管理を行い、顧客の囲い込みに成功し、利益をあげているブランドと、そうではないブランドの2極化が進んでおります。それを裏付けるように売上上位企業のECサイトは、いずれも会員データの統合を行って成功をおさめております。

本日はebisumartでWEBマーケティングを担当している筆者が、”アパレルEC業界”を解説し、その上で業界の3つの課題と、解決策を解説いたします。

アパレルECの市場規模とEC化率

まずは、経済産業省が発表した最新のアパレルECの市場規模””EC化率”の過去5年分データを表とグラフにまとめましたので紹介いたします。

経済産業省の最新の調査結果より引用:平成 30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)

アパレルECの2018年の市場規模は1兆7,728億円

 

青色の棒グラフ=>市場規模(単位:億円)
オレンジ色の折れ線グラフ==>EC化率(単位:%)

グラフを見てもわかるとおり、アパレルECの市場規模は右肩上がりで、EC化率も12.96%と全産業の平均EC化率の6.22%を大幅に上回っています。さらにアパレル市場は毎年EC化率が1~2%程度上昇しております。

市場規模とEC化率が高まっている要因は4つあると筆者は考えます。

◆アパレルEC業界が伸びている4つの要因とは?

①過去3~5年において、アパレルECの管理・運用をカンタンにするツールやソリューションが多く誕生したことで、業界全体で業務効率化が進んだ
②ツールやソリューションの導入によりアパレルECの業務効率化が進み、アパレルECを運営するブランドが増えた
③アパレルEC各社の戦略により、業務効率化を進めMD(マーチャンダイジング)サイクルを短くすることで、販売機会を増やし、売上が増加した
実店舗とECの会員データの統合を進め、CRM(カスタマーリレーションシップマネージメント)を行うことで、ユーザー毎に適した情報をうまく発信し、リピーターが増えた

このため、新しいテクノロジーに熱心なブランドがデジタル投資に積極的なため、売上を大きく伸ばしている一方で、情報の一元化に苦しむブランドもあり、アパレルECは2極化が進んでおり、モールについてはZOZOTOWN一強の状態になっております。

それでは次に、アパレル業界のEC市場ランキングをもとに、各企業やモールについて解説します。

アパレルECの売上高ランキング(2016年8月~2017年7月のデータ)

下記の表は、日本ネット経済新聞の2017年10月5日号に掲載されているランキングデータです。

データ引用先:https://www.bci.co.jp/

自社EC部門では、ユニクロが1位を獲得しています。

ユニクロは、自社ECサイトでの販売に力を入れております。例えばオンラインにしかない限定商品を用意したり、店舗で自分のサイズが見つからない場合は、ECサイトでの購入を促し、さらにECサイトで購入した製品の店舗受取を可能にするなどオムニチャネル施策により利便性を高めております。

また、ランキング上位企業の自社ECサイトはいずれも実店舗とWEBのデータを一元化することで、顧客の囲い込みに成功しており、これらの上位企業は、業界の平均伸び率を遥かに上回る勢いで成長しています。

実店舗とWEBのデータの一元化の開発には高いハードルがあり、会員データの一元化が、自社ECサイトの売上を伸ばすひとつの基準になっているのは間違いありません。

それでは、次にZOZOTOWNなどのアパレルEC関連のモールについて解説いたします。

アパレルECモールの流通総額ランキング(2016年8月~2017年7月のデータ)

この表を見てわかる通り、ZOZOTOWNが圧倒的なシェアを独占しており、2位~6位の流通総額を足しても、1位の2120億円には全く届きません。19年3月期では3231億円まで伸びており、ZOZOSUITとPB、ZOZOARIGATOの問題で色々指摘を受けていますが、圧倒的シェアである事に変わりはありません。

ZOZOTOWNが強い理由

ZOZOTOWNは代表の前澤氏共々、様々なトピックで話題になっておりますが、実際にZOZOTOWNはどのような取り組みを行い、高い業界シェアを獲得しているのでしょうか?一つ具体例を挙げると、ECサイトに売上を高めるための徹底的なチューニングが施されています。

ZOZOTOWNは初回購入を絶対に失敗させないように、ECサイトで購入を戸惑っているユーザーに対しては、チャットボックスを表示して顧客対応したり、使えるお金の少ない10代のユーザーに対しても購入しやすいようにクーポン券の利用を促したり、見ているだけで楽しい商品一覧画面など、売上を高めるための改善が積み重ねられているのです。

さらに、集客面では、ZOZOテクノロジーズが運営するファッションコーディネートアプリのWEAR(ウェア)は、1000万ダウンロードを超え、世界中のユーザーが利用しているアプリです。

WEARをダウンロードしたユーザーは、コーディネートの写真をアップロードし、公開することができます。そしてユーザーの中にはフォロワーが多い有名人がおり、フォロワーは彼らのチョイスした商品をWEARと連携しているZOZOTOWNで、気になった商品をスムーズに購入できる仕組みになっており、ZOZOTOWNでの売上を大きく伸ばす一因になっているのです。

ZOZOは新しい取り組みに貪欲な企業で、新しいサービス開発や改善を次々と行っており、また社員の自社サービスを改善する思いは強いものがあります。こういった取り組みの結果、高い業界シェアを獲得しているのです。

アパレルECの3つの課題

アパレルECの市場規模やランキングを把握したところで、それではアパレルEC業界には、どのような課題があるのでしょうか?具体的に解説します。

課題①ECサイトでは自分に合ったサイズがわかりにくい!

EC化が進んでいるアパレル業界ですが、実はアパレルはECサイトとは最も相性の悪い業界の一つです。なぜならアパレルは、店舗であれば、試着してサイズ感を確かめることができますが、ECサイトでは、なかなか自分のサイズ感を掴むことができません。

それにも関わらず、アパレル業界のEC化率が伸びている背景には、この問題を解決するための多くのソリューションが生まれており、アパレルECのサイズ問題が解消しつつあるからです。

例えば株式会社メイキャップが提供するunisizeというサービスは、1分間の簡単アンケートに答えると、自分の身体にあったサイズを推奨してくれるサービスです。

◆unisize

画像引用先:unisize公式サイト

このようなサイズをリコメンドしてくれる仕組みは、メイキャップに限らず多数出現しており、その中でも一番大きく話題になったのはZOZOスーツでしょう。

また、Nike.comでは1回に限り「サイズやカラーの返品」を無料で行っており、NikeのECサイトで靴を買うと返品に必要な書類が梱包されており、ユーザーはサイズ感の不安を払拭する努力を行っており、とても満足度の高いサービスになっています。

◆商品と一緒に梱包される返品に必要な用紙や着払い用紙

今後、アパレル業界全体で、このような取り組みやソリューションが普及してくると、サイズ感はほとんど問題とならなくなり、EC化率がもっと高くなっていくでしょう。

課題②モールに依存せず、自社ECサイトでも活路を見出す!

アパレルEC業界首位のZOZOTOWNやAmazon、楽天ブランドアベニューには抜群の集客力があり、モールに出店・出品することで、大きく売上を伸ばすことができます。しかし、モールで利益をあげている企業も、価格競争に巻き込まれにくい自社ECサイトでも活路を見出し、売上を最大化する必要があります。

自社ECサイトの構築には大きな費用がかかり、システム使用料や決済手数料も発生しますが、それでもモールに比べるとコストコントロールしやすいメリットがあるため、集客が上手くいけばモールと共に大きな売上を生むことができます。

自社ECサイトを作るだけで、上手くいくものでもありません。自社ECサイトで成功した企業は下記のようなマーケティング施策などに取り組んで、売上を最大化しております。

・InstagramなどSNSを利用したインフルエンサーマーケティング
・デジタル広告の最適化
・検索エンジン対策
・アプリによるファンの囲い込み施策
・カート(買い物かご)周りの徹底したチューニング
・スマートフォンに最適化された画面表示

これらのマーケティング施策に加えて、先に解説したようにオムニチャネルやO2Oを導入し、実店舗とWEBの会員データを統合することで、顧客を囲い込み、リピート購入を増やすことができるのです。

これらの施策や取り組みにはノウハウがあるため敷居が高く、カンタンではありませんが、積極的なデジタル投資を行うことで、自社ECサイトで売上を最大化し、モールへの依存度を下げることにつながるのです。

課題③「在庫問題」ZOZOTOWNと自社ECサイトの在庫が一元管理できない!

ZOZOTOWNと自社ECサイトの両方を展開しているブランドも多くおりますが、売上を最大化できるメリットがある反面、大きなデメリットがあります。それが在庫問題です。

まず下記の図をご覧ください。

◆ZOZOTOWNと自社ECサイトを展開するブランドの在庫問題とは?

ZOZOTOWNに出店する場合、ZOZOTOWNで販売する商品在庫は全てZOZOBASEと呼ばれるZOZOが運営する倉庫へ納入する必要があります。

 

自社ECサイトを持っている場合、その在庫とは別に自社サイト分の在庫を、それぞれ別々に管理する必要があり、必然的に在庫ロスが発生し易くなってしまいます。このように在庫情報を一元化できないと、在庫が分散して売上の最大化が困難になります。

 

特にアパレル商品はシーズン性が強いため、売れ残りが発生すると大きなLOSSとなります。そのため、在庫の一元管理や効率化、あるいは運用フローの構築が必要とされるのですが、システムでの実現が困難であり、ボトルネックとなる企業が多いのが現状でした。

 

しかし、2019年10月にこの問題を解決する「Fulfillment by ZOZO(フルフィルメント バイ ゾゾ)」というサービスがZOZOグループ会社である株式会社アラタナからリリースされます。元々は、2018年から「aratana gateway」というサービス名で展開をしていましたが、サービスの内容などを一部リニューアルし、今回のリリースとなりました。

特徴は、ZOZOTOWNと自社ECサイトの在庫データを一元化することにより、在庫ロスを無くす事です。この度のリニューアルでは課題となっていた利用料金について見直しを行い、運営手数料が発送金額の15%から0%に大幅に引き下げられています。下記の図をご覧ください。

Fulfillment by ZOZOの仕組み(ZOZOTOWN在庫と自社ECサイト在庫のデータを一元管理)

つまり、自社ECサイト分の在庫も全てZOZOTOWNの倉庫に(ZOZOBASE)預け、在庫一元管理をします。あとはZOZOBASEが、在庫をまとめて管理をしてくれるので、販売機会を逃さず、効率的な販売が可能になるのです。さらにZOZOBASEの在庫がなくなった場合、店舗の在庫を引き当てることも可能です。

◆Fulfillment by ZOZOによる在庫の一元管理のビフォーアフター

ZOZOTOWNに出店するブランドにとって、在庫を分けて管理する事は非常に悩ましい問題でしたが、在庫一元管理サービス(Fulfillment by ZOZO)を導入することで、さらなる効率化を進めることができるのです。詳しくは下記公式ホームページをご覧ください。

株式会社アラタナhttps://www.aratana.jp/service/fbz/

Fulfillment by ZOZOを利用して自社サイトを構築する為には、基本的に連携実績があるECプラットフォームを利用する必要があり、ebisumartではFulfillment by ZOZOとの連携サービスを提供しています

アパレルECのまとめ!アパレルECで重要なのは徹底的な効率化!

本日はアパレルEC市場の課題について解説しました。

アパレルECの市場規模が増えている背景には、最新のECツールやソリューションを活用した徹底的な効率化が背景にあり、さらに成功しているブランドは、オムニチャネル施策により自社ECサイトのデータの一元化を実現し、リピーターの囲い込みを行っております。これにより利益をさらに高めることができているのです。

冒頭で述べた通り、アパレルEC業界は2極化が進んでおり、今後ECサイトを展開するブランドは、最新の仕組みを導入し、効率化を進めていかなければ、生き残るのは難しいでしょう。

 


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