BtoBの複数倉庫にある在庫をWebで管理する7つのメリット


BtoB事業者の中には、在庫を全国にある複数の倉庫で管理しているケースもあるでしょう。しかし、受発注システムをECサイトで構築した際、同時に複数倉庫の在庫管理もWeb化しようとしたが、対応するツールがなく困ってしまった、という経験はないでしょうか?

電話やFAXで注文を受けていたときには、担当者が近くの倉庫にある在庫を確認して出荷指示を出すなど対応していたと思いますが、ECサイトでは対応する機能がない場合がほとんどです。

そのため、外部サービスの在庫管理システムと連携させる方法があります。ECシステムをカスタマイズして複数倉庫の在庫管理ができる機能を開発しようとすると、時間も費用も膨大になってしまいます。在庫管理システムを利用することで、開発にかかる期間や費用を抑えることができるだけでなく、在庫管理がWeb化できることで多くのメリットもあります。

この記事では、インターファクトリーでマーケティングの部署に所属する筆者が、複数倉庫の在庫をWebで管理する方法と、そのメリットを解説します。

在庫管理は利益最大化とコスト削減のために欠かせない

在庫とは、例えば小売業なら、販売するために仕入れた商品のうち、倉庫などに保管する分を指し、製造業であれば部品や原材料から、完成品までを広く指します。

このように販売目的で所有するものが在庫であるため、在庫の無駄を減らすことは、事業者にとって利益の最大化につながります。しかし減らしすぎてしまっても、顧客に十分な商品を供給することができず、販売機会の損失が生まれてしまいます

また、複数の倉庫で在庫を管理する場合、出荷する倉庫を適切に判断しないと、送料などのコストが余計にかかってしまうということもあります。

以上のことから、在庫管理は事業者にとって欠かせないものと言えます。では次に、複数の倉庫にある在庫をWebシステムで管理する方法を3つ解説します。

複数倉庫の在庫をWebシステムで管理する3つの方法

受発注システムをECシステムで構築した場合、複数の倉庫にある在庫をWebシステムで管理するには、以下の3つの方法があります。

①既存のECシステムにカスタマイズで機能を追加する

現在利用している、もしくはこれから利用するECシステムに複数倉庫の在庫を管理する機能がない場合、カスタマイズできるシステムであれば、ベンダーに依頼して機能を追加してもらうことができます。

ただし、この場合、開発が複雑になるため、膨大な時間と費用がかかるので、現実的な選択肢とは言えません。検討する際は見積を依頼して、予算を十分に確保する必要があります。

②最初から対応しているECシステムを選ぶ

①のようにカスタマイズで機能を作るには時間も費用もかかるため、最初から複数倉庫管理の機能があるECシステムを選ぶという方法もあります。

ただ、筆者の知る限りでは現在、複数倉庫管理の機能を備えているECシステムはありません。エンタープライズ向けなど大規模なシステムであれば対応している可能性はありますが、中小規模の事業者が導入するような一般的なECシステムにはまず機能は実装されていないと考えて良いでしょう。

ただ、事業者にとって必要な機能ではあるため、これから対応するシステムが出てくる可能性はあります。そのようなシステムがあれば、オプション料金を支払うだけで簡単に複数倉庫管理の機能を追加できるようになるため、事業者にとっては最も導入しやすい方法と言えます。

③外部サービスを利用する

現状では①②どちらの方法も難しい場合がほとんどなので、その場合はECシステム以外の外部サービスを利用する方法があります。

利用するECシステムのホームページに、提携サービスが紹介されているので、そこから在庫管理システムを選択して、ECシステムに連携させる方法です。

ECシステムによって提携しているサービスに違いがあるので、より多くのサービスと提携しているECシステムや、自社で使用したい在庫管理システムが決まっている場合は、連携実績のあるECシステムを選択するのが良いでしょう。

弊社のクラウド型ECシステムである「ebisumart(エビスマート)」では、以下の在庫管理システムと提携しています。

zaiko Robot
ネクストエンジン
eシェルパモール2.0
クラウドK テレビ通販オプション
CAM MACS
TEMPOSTAR

提携サービス一覧(ebisumart)より(2023年3月現在)

在庫管理をWeb化する7つのメリット

次に、在庫管理をWeb化するメリットを紹介します。ここで紹介するメリットは、在庫管理の効率化に関するものなので、最終的にはキャッシュフローの安定にもつながります

◆在庫管理をWeb化する7つのメリット

①適正送料で運営できる
②販売機会の損失を減らせる
③在庫の平準化
④問い合わせを減らせる
⑤賞味期限の管理がしやすくなる
⑥需要予測ができる
⑦複数配送先に対応できる

それでは、一つずつ解説します。

①適正送料で運営できる

在庫管理システムを導入することで、リアルタイムで在庫状況を確認できるようになり、受注した取引先に最も近い倉庫から発送指示を出せるようになります。

また、生産拠点から倉庫へ送る際にも、より効率的なルートを指示できるようになるので、余計な送料を削減することができ、事業のコスト削減につながります

②販売機会の損失を減らせる

複数の倉庫にある在庫を一つの在庫としてまとめて管理できるようになるので、販売機会の損失を減らすことができます。

例えば、倉庫Aに近い取引先から10個の発注があったときに、倉庫Aに5個しか在庫がなかった場合、残りの5個を販売できないかもしれません。しかし、倉庫Bにも5個の在庫があった場合、在庫情報がまとまっていれば、すぐに注文を受けることができます。

◆倉庫Aに5個、倉庫Bに5個、合計10個の在庫がある場合(例)

・複数の倉庫にある在庫情報がまとまっていない場合

倉庫Aに近い取引先には倉庫Aの在庫情報(5個)しか伝えられず、10個の需要があったが、5個だけ購入

・複数の倉庫にある在庫情報がまとまっている場合

倉庫Aに近い取引先だが、倉庫Aと倉庫Bを合計した在庫(10個)が伝えられ、希望通りの10個を購入

また在庫状況も、手入力であれば、1日1回など更新したタイミング以外は正確な最新数値が分かりませんが、システムであればリアルタイムで最新の在庫状況が分かることも大きなメリットでしょう。

③在庫の平準化

②と同じ例で考えてみましょう。倉庫Aに近い取引先から10個の発注があったときに、倉庫Aに5個しか在庫がなかった場合、残りの5個を新たに生産するというケースもあるでしょう。

しかし、在庫管理システムを導入していれば倉庫Bに5個在庫があったということが分かるので、余剰在庫を消化できるという面では、在庫の平準化も実現できます。

④問い合わせを減らせる

リアルタイムで在庫状況が分かることで、取引先からの問い合わせも減らすことができ、バックオフィス業務を効率化することができます。

在庫管理システムに登録している在庫状況を、取引先の発注担当者からも確認できるようECシステムをカスタマイズすれば、在庫の確認をWebで完結できるので、取引先からも使いやすいシステムとなります。

従来では電話やメールで取引先から営業担当者などに確認していたところを、Webの発注画面で確認できるようになれば、営業時間外でも発注がしやすくなり、注文が増える可能性もあります。

⑤賞味期限の管理がしやすくなる

食品など、期限がある商品を扱っている場合、取引先に近い倉庫から発送することももちろん重要ですが、期限の近い商品から順に発送する必要があります。

在庫管理システムを導入していれば、賞味期限も考慮して発送指示を出すことができるので、より余剰在庫の削減と、業務効率化が期待できます

⑥需要予測ができる

在庫管理システムに出荷情報を蓄積することができるので、そのデータを生かして需要予測を立てることも可能です。

例えば毎年同じ時期に出荷が増える商品があれば、ある時期だけ多めに生産しておくなどの対策が考えられます。反対に需要が落ち込む時期が分かれば、原因を考えて売上増につなげることができるかもしれません。

特に期限のある食品などでは、長期間在庫を保持することが難しいため、需要予測に基づいて生産や仕入れを行うことで、欠品や廃棄ロスを減らすことも可能です。

⑦複数配送先に対応できる

BtoB取引の場合、本社の発注担当者が、全国にある支社の分もまとめて発注することがよくあります。その場合、BtoCの取引でよくあるギフト注文のように、商品ごとに異なる配送先に届けるという要望が生まれます。

ECシステムと在庫管理システムを連携し、1つの受注データを配送先ごとに分けて管理することができるようにすれば、このような複数配送先の注文にも対応が可能です。

配送先ごとに発注する手間がかからなくなるため、取引先に喜ばれるでしょう。

在庫管理システムをより活用するために、カスタマイズして連携できるECシステムを選ぼう

在庫管理システムはさまざまありますが、この記事で紹介したようなメリットを実現する場合、在庫管理システムとECシステムのそれぞれにカスタマイズが必要になることがほとんどです。

そのため在庫管理システムを利用する際は、カスタマイズできるECシステムと合わせて使うことをおすすめします。

なぜなら、たとえば在庫管理システムだけをカスタマイズして、受注データを発送する倉庫ごとに分けて運用したとしても、ECシステム側で受注データを分けることができないと、連携したときにうまく活用することができなくなってしまうからです。

また、自社と同じ業界の導入実績が多いシステムも、導入しやすいと考えられるので参考にしてみてください。

カスタマイズできるECシステムをご検討の際は、弊社のクラウドECシステム「ebisumart(エビスマート)」も合わせてご検討ください。以下から無料で資料をダウンロードできます。

BtoB(企業間取引)向けECサイト 資料ダウンロード


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ABOUT US
首藤 沙央里
2019年9月、株式会社インターファクトリーに入社。 マーケティングチームにてオウンドメディア運用を担当し、年間40本以上の記事を掲載。 社内広報、採用広報に加え、EC業界やクラウドコマースプラットフォーム「ebisumart」についての情報発信も行う。